「テキサスチェーンソー・ビギニング」「SAW3/ソウ3」でホラー三昧 | 忍之閻魔帳

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ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)

「テキサス・チェーンソー」と「SAW/ソウ」は、
ここ数年間で最もヒットしたホラー映画の2大ビッグタイトルであり、
その2作の続編が相次いで公開されることは
ホラーファンにとって盆と正月が一気に来たようなものである。

★「テキサス・チェーンソー」は、数多のフォロワーを生み出した
ホラー映画の金字塔である「悪魔のいけにえ」を
現代風にリメイクしたもの。いわば古典の血を受け継ぐ者。
「SAW/ソウ」は、練り込まれたシナリオが
スピード感のある演出と共に展開する新感覚ホラーの代表格。
同じホラー映画でも、テイストはまるで違う。
今回は、無理を承知で2作を同時に取り上げてみる。



■DVD:「テキサス・チェーンソー・ビギニング
 アンレイテッド・コレクターズ・エディション (初回限定生産)」

■DVD:「テキサス・チェーンソー・ビギニング」

「テキサス・チェーンソー・ビギニング」は、
前作で手応えを掴んだマイケル・ベイの悪ノリが炸裂した
強烈に悪趣味な仕上がり。
広告文では「チェーンソー男の誕生の秘密が明かされる」などと
手緩いことが書かれているが、惨劇の幕開け的な静けさはまるでなく、
序盤から滅多矢鱈と残虐シーンが続く。
ラストまで緊張が解けなかったおかげで肩こりになってしまったほどだ。

また、前作ではバッサリと切り捨てられていた
サブカル的なノリ(精神的にイッた人々の奇行の数々)が
「悪魔のいけにえ」並か、それ以上に盛り込まれていることも見逃せない。
特に保安官が凄い。
今回の主役はほとんど保安官である。
いっそ「テキサス保安官」でも良いぐらいの大活躍で、
彼を中心とした、チェーンソー男を含む悪魔の家族全体を描いている。

「悪魔のいけにえ」を彷彿させるシーンや
前作の種明かし的なエピソード(車椅子の老人は何故両足が無かったのか、等)も
随所に入っているため、出来れば「悪魔のいけにえ」と
「テキサス・チェーンソー」の両方を、最低でも「テキサス」だけは
観てから観ることをお勧めする。

惜しいのは、チェーンソー男誕生の瞬間を描いておきながら、
オープニングの数分間であっという間に大人になってしまったこと。
「学校でお前をイジメた友達と一緒だ」という台詞を使うぐらいなら、
もう少し幼少期のエピソードも描いて欲しかった。
筋金入りのホラーファンならばお勧めだ。



■DVD:「ソウ3 DTSエディション」



■DVD:「ソウ トリプル・パック」


★「SAW3/ソウ3」は、死にそうでなかなか死なないジグソウの第3弾。
鮮やかなトリックとハイスピードな展開が持ち味だと思っていた
「SAW」シリーズだが、今回はぐっとストーリー重視になっている。
同じタイトルを冠していながらテイストはほぼ別物で、
「キル・ビル」の「vol.1」と「vol.2」に近い、と言えば
お分かりいただけるであろうか。
私は「キル・ビル」の「vol.1」も「vol.2」も楽しめたクチなので
本作も充分楽しめたが、スピード狂な若者には物足らないかも知れない。

トリックに関しては前2作と比較にならないほど稚拙で
序盤でオチが見えてしまうため面白味は薄いが、
「SAW」「SAW2」で投げっぱなしになっていた疑問点や
登場人物の過去についてきちんと描かれていたことは感心した。
シリーズ化を念頭に入れて作られていなかったはずの「SAW」と、
別作品向けに用意されていたシナリオを強引に書き換えた「SAW2」が
(多少の無理は見逃すとして)見事に1本の線で繋がっている。
本作でもいくつかのキーワードを残したまま終了するので、
それらについては「SAW4」に持ち越しか。

気になったのは、映画の組み立て方があまりにもパターン化している点。
今作の冒頭でも、本編とはあまり関係のない
ジグソウの残虐な犯行が行なわれるのだが、
「SAW」におけるあのシーンは、映画の核となった
自主制作の短編に陽の目を見させることが目的だったはずなので、
商業映画としてスタートしたのなら、無理矢理挿入する必要はないように思う。
本編の彩りとしても機能していないし、
映像表現もグロテスク方面にエスカレートし過ぎだ。
本編に絡まない枝葉の部分で「グロいだけの映画」として
敬遠されてしまうようでは本末転倒ではないか。

書き掛けのまま放置しているうちに随分と時間が経過してしまい、
既に公開終了した劇場も多いと思うが、
ホラーファンならどちらも観ておいて損はない。
DVDを待つのも手だが、ホラー映画は劇場での連帯感が
面白さに直結するジャンルなので、出来れば劇場で。



■DVD:「テキサス・チェーンソー」


映画としては前作だが、
時代設定で言えば今回紹介した「ビギニング」の後になっている。
現代風リメイクのお手本のような出来映えで大満足の1本。



■DVD:「SAW ソウ DTSエディション」

■DVD:「SAW ソウ2 DTSエディション」

シリーズ2作。
2作をセットにした「ツインパック」は絶版のため入手困難で、
現在はプレミア価格で取り引きされている。
「3」がDVD化された時に「トリプルパック」が出そうな気はするが。

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  タイトル:テキサスチェーンソー・ビギニング
 公式サイト:http://www.texaschainsaw.jp/top.html
  タイトル:SAW3/ソウ3
 公式サイト:http://saw-3.jp/
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