目に見えるもの、頭に浮かぶもの | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)

今年もE3が近づいてきた。
ようやく正式名称が決定した任天堂の次世代機Wiiや
SONY復活の鍵を握るSCEのプレイステーション3など、
昨年以上に大きな発表が目白押しとなりそうで、
最近、一段と懐古趣味が進んでいる私ですら楽しみにしている。

ここ数日、Wii向けの新作タイトルの画像が海外経由で入ってきたり、
一部のサードパーティが第1弾タイトルを発表したりと、
にわかに周辺が騒がしくなってきたが、
任天堂から正式発表されたゲーム画面はまだ1枚も無い。
コントローラーの形状やバーチャルコンソールなど、
周辺の情報だけは小出しにされているが、
いの一番に発表されてもおかしくない
ゲームの画面が未だに発表されないのは何故なのか。
Xbox360やPS3は、去年のE3でもデモ映像を出展していたというのに。
「出せるほど出来てなかったんだろう」と突っ込むことも出来るが、
私の確信に近い予想としては、
任天堂は「敢えて出さない」姿勢を貫いているのだと思う。

これまで、「次世代」をアピールするためには、
何よりもまず視覚に訴える必要があった。
少々乱暴な括り方と承知して言うが、
ファミコンからプレイステーションに至るまでの
「ゲームの進化」とは、「見た目の進化」とほぼイコールであった。

こんなことを書くと、
「ゲームの面白さは、そもそも見た目ではない。
 そんな基本的なことはファミコンの頃から変わっていない」
とお怒りのクリエーター様もいらっしゃるかと思うが、
少なくともPSあたりまでは、
見た目の進化があまりにも劇的であったために、
言い方は悪いが、いくらでも誤魔化しが利いたように思う。

私は、誤魔化しが利かなくなった「瞬間」をよく覚えている。
あれは6年ほど前、PS2の初お披露目の時だ。
どのソフトを触っても「ふーん」しか出てこなかった。
少し前に発売されたドリームキャストと比較しても
(素人目には)大差なかったことも大きかった気はするが、
あの日、私の中で「次世代」=「見た目の進化」は終わった。

徒歩から自転車へ、自転車から自家用車へ。
プレイステーション3やXbox360は、
既に自家用車を持ち、ほどほど満足のいく生活をしている者に、
「ベンツはどうですか」「BMWはどうですか」と
声をかけているに過ぎない。
もちろん、高級車の需要もそれなりにあるとは思うが、
一部のマニア向けアイテムの枠を超え、
広く一般にまで普及するかと言われれば・・・難しい気がする。
知人のライターに意見を聞いた時も、

>ネクストコンソールはホントに売れるのか、というところが興味が大です。
>というのも、価格は今より高くなりそうだし、
>ハイビジョンだのオンラインだの、
>女子供は黙ってろみたいな印象があるじゃないですか。
>本当にコアゲーマーしか買わないでしょう。
>2011年になっても日本人の半数はHDテレビを買わずに、
>今あるテレビにデジタルチューナーをつないで
>視聴するんじゃないかと思いますし。。。


と返って来て、「あぁ、皆感じることは同じだな」と思った。

そんな時に発表されたWiiのコントローラーは、
ハイクオリティなデモムービーを何十分見せられるよりも
遥かに大きなインパクトを私に与えてくれた。
昨秋の東京ゲームショウ開催後のユーザーアンケートで、
「最もインパクトのあったニュースは」との問いに対し、
数百タイトルが展示された新作ソフト群を押し退け、
Wiiのコントローラーの発表が1位を獲得したのも、
「目に見えるもの」に感心することより、
「頭に浮かぶもの」に想像を膨らませる楽しさを
ユーザーが選んだからに他ならない。

もちろん、Wiiが成功するかどうかはまだ未知数だ。
メーカー、クリエーターの中でも、
「当たって欲しい気持ちは大きい、、、が」という、
心情的には一番惹かれるが、不安要素も消し切れないという意見が
けっこう見受けられる。
これらの不安を払拭することが、Wiiの当面の課題であろう。

PS2の圧倒的なシェアを武器にPS3が順当にトップを守りきるのか、
DSの爆発で勢いに乗る任天堂がここでも「風」を起こすのか、
奇跡のウルトラCでXbox360が・・・はないか。
とにかく、今年のE3では、
昨年よりはっきりとした形で「未来の片鱗」が見られるはずだ。

泣き虫殿、レポートを頼むぞ。

「Wonder Egg」の管理人殿、現時点ではこんなところで如何か。

【関連記事】

●E3後の妙な膨満感(過去ログ)
●スピークジャパニーズ(過去ログ)