白くてふわふわ。後日談 | 妄想最終処分場

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白くてふわふわ。シリーズ、終わったと思ったのに後日談です。

…最近どうもスランプのスパイラルから抜け出せずにあがいていますが、妄想は降りた時が肝心!

はんぺん雪花のリアルトークをふっとおもいだしたのでメモ代わりに。

今までのおはなし↓


白くてふわふわ。   白くてふわふわ。その後  

白くてふわふわ。リターン 白くてふわふわ。リターン2



白くてふわふわ。後日談



蓮とのひと騒動があったその夜、奏江の家に泊まることになってキョーコは舞い上がっていた。

色々あってパニックな頭を一度別方向で満たして、現実逃避したかったのも事実。


せっかくだし泊めてもらうお礼にとキョーコが夕飯・朝食の賄番を申し出ると、確かな料理の腕前を知っている奏江は「ダイエットと美容に良いメニュー」をリクエストしてきた。


そんなわけで、キョーコは奏江と二人でスーパーマーケットに来ており、親友とのお買い物に上機嫌だった。


「モー子さん、何が食べたい?」

「何って…さっきリクエストはしたでしょ?これっていうのが無いからアンタが考えてちょうだい」

「ん~、ダイエットと美容ねぇ。ベタだけど野菜たっぷりでお鍋とか作り置きしてもいいなら煮物とかお惣菜とか…」


はっきりコレ!と思いつくメニューもないため、スーパーの中を入口から順に奏江と回っていく。

親友とのデートに浮かれていたキョーコは、現実逃避もあってすっかり忘れていたのだ。


あーでもないこーでもないと、奏江との会話を楽しんでいたキョーコは、不意に目にはいったものに一瞬表情をこわばらせてしまった。


そう、すっかり忘れていたのだ。いや、忘れていたかった。


急に立ち止まったキョーコに奏江が訝しげに声をかけた。


「…ちょっと、どうしたの?」

「……」


奏江の声にキョーコははっとした。


(…なんでもないっ、何でもないのよっ!)


加工品のコーナーにあったそれにキョーコは固まってしまった。

ある程度意識していればスルーできたはずなのに。


「…はんぺん?」


幸いキョーコの表情より急に立ち止まったことに気を取られた奏江は、ちらりとキョーコの目線の先をたどっていた


「アンタもコレ好きなの?」

「え?」


奏江に振られた話題に頭が付いて行かず、キョーコはちいさく疑問の声をあげた。


「ほら、おでんとか恋しい時期になったでしょ?」


(…!!)


『おでん』という言葉にキョーコの肩がピクリと揺れた。

奏江の視線は商品に注がれていて、キョーコの反応に気づかない。


「このはんぺん美味しいんだって話題になってね?」


(…!!!!)


「この前現場でなんだかそんな話になってね。このはんぺん、リーズナブルなのに美味しいんですってね。練り物苦手な子がこれは食べれるって言って…!?」


はんぺん雪花を手に取って振り返った奏江とキョーコはばっちり目が合ってしまった。


「…!!」


(…モー子さん、すっごい顔してこっち見てる…!)


「………さっさと買い物して帰るわよ」


奏江は問答無用で籠の中に適当に買い物の品を放り込んで、キョーコをレジに引きずっていきそのままの勢いで自宅マンションに向かった。


******


「さて、何があったのか話してもらおうじゃないの」


キョーコは奏江のマンションの床で正座をしていた。


「何って…」

「しらばっくれても無駄。なんでこれ見て、そんな顔してるの?一体全体なんなのよ?」


キョーコを問い詰める奏江の手にはパッケージがピンク色に縁どられたはんぺん雪花。


「えっと、それは…」


言い淀むキョーコに、奏江ははんぺんとキョーコを見比べた。

はんぺんを見て顎が外れんばかりの怯え顔を見せたキョーコ。その表情に奏江は見覚えがあった。

…そう、誰にでも優しく温厚が代名詞の先輩に対して、世間と真逆の印象を語るときの表情と同じだ。


(…なんでこのはんぺんと敦賀さんが結びついて居る訳?)


本当にキョーコの反応は不可解だった。


「も…モー子さんも、ソレ…食べたいの?」


(私『も』…ってことは、敦賀さんも、食べた?ってこと??)


いよいよもって不可解。

この様子だと『何か』があるのは確実だけど、『何なのか』をキョーコの口から引っ張り出すのは難しい。

慎重に言葉を紡いでキョーコの反応をうかがう。


「だって美味しいって聞いたし、アンタのその反応も気になるし」


(…『美味しい』に反応したわね?)


「敦賀さんにごちそうしたこともあるんでしょ?私にも作ってよ」

「なななな…、モー子さん、エスパー!!??」


(ビンゴね。分かりやすいったらありゃしない)


「アンタのそんな顔見てればね、親友の目はごまかせないわよっ」

「…モー子さぁん」


(やだ、今度は『親友』に反応したわね。逃避すんのもいい加減にしなさいっ!)


瞬時にうっとりトリップしたキョーコに、奏江は容赦なく切り捨てた。


「『敦賀さん』と『はんぺん』と『美味しい』…これがどう絡まると、アンタはそんな顔になるわけ?」

「…そんな顔?」


心底わかってないキョーコに奏江はため息をこぼした。


「顔、真っ赤よ?」


*****


「…分かんない。何ソレ?」


奏江の追及に逃げ切れないと覚悟したキョーコは、ひとまず蓮と恋人認定されたことを告白した。

「分かんないでしょ?なんで『はんぺん』と『美味しい』で敦賀さんとアンタがつきあうわけ?」

「うぅぅ~…」


事の顛末をすべて話すとなると、極秘ミッションのBJについても話さなくてはいけない。いくら親友でもこの秘密漏洩をキョーコの独断でできる訳が無い。

言い淀むキョーコに、奏江も何か察したようだった。


「分かったわよ。なんか事情があって全部説明できないんでしょ?」

「……う、はい」


自分を見透かすような奏江の言葉に、キョーコはありがたくも身が縮む思いだった。


「ともかく、アンタは『美味しく』敦賀さんにいただかれたって訳ね」

「なっ…」

「良かったじゃない」

「そっ…」

「違うの?」

「…………チガイマセン」


小さくなって、湯気を上げているキョーコに奏江はやれやれごちそうさまとぼやいたが、これから先キョーコをつついて楽しむのもいいわね、と娯楽を見つけて少し気分がよかった。


****


後日『事情』が解禁され、事の顛末をキョーコの口から聞いた奏江はあまりのバカらしさに盛大に笑って、事務所の先輩俳優で遊ぶという貴重な権利を手に入れたのだった。


~~~~~


モー子さんとキョーコのじゃれ合い、何気に書くの大好きなんだなぁ自分。そしてもっとコンパクトにまとまるはずだったのにやっぱりズラ長くなりますね…。私が悪い。


こちらははんぺん雪花は大変リーズナブルで美味ということを先日お会いしたゆみーのん様から聞いたことが元です。

あああ、リアルはんぺん雪花まだお目にかかってもいないし口にすることもできていない!

読者さんからはちらほら買いました!とかご報告いただくこともあるのに~!


はんぺん雪花1枚95円で東京に存在しているようです…。ああ、食べてみたい。