ウールスパッツをもっと良い製品に進化させたい! | シルクふぁみりぃブログ

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雨が降って、桜の花びらの絨毯ができていました!
この絨毯はアカデミーショーのレッドカーペットや国会の赤絨毯ではなく、誰もが踏める絨毯です。
自然が用意してくれた素適な桜色の絨毯を踏むと、なんだかもったいない気がしましたさくら







ウールスパッツ改造計画の発端は、この冬にお客さまからいただいた1本のお電話でした。
ずっと、前からウールスパッツのご愛用者さまとのこと!!

お名前は言われませんでしたが、
「昔から愛用してきたウールスパッツの風合いが、今回変わっていました。
大変残念です……。」

お電話を取らせていただいたスタッフ松田から私に連絡が入りました。
(いえ、彼女の机の前に私の机があるので、お電話が切れてすぐに話してくれた形です!)

松田もとっても残念そうでした。
私もこれまでご愛用いただいていた製品の変化がわからなかった自分が歯がゆい、そんな気持ちでした。

すぐに現行のウールスパッツを開封して確認しました。
確かに、編み目が少し乱れている感じで、感触も粗く思えました。

「糸が変わったのかなぁ……?」
「ずっと同じ糸を同じ糸商さんに発注して編んでもらっているけど、原糸が変わったのかなぁ?」
「編み上げ工場、変えてないけどねぇ???」

とりあえず、現在の在庫を0にして、出荷を止めました。

製品の品質管理のスタッフが、すぐに糸商さんを呼んで来てもらいました。
そして編みたて工場の社長さんにも来てもらいました。
(小さい工場は社長さんが機械を管理して編んでくれています!)

ウールスパッツを前に置いて、3社会談の始まりです。
原糸にまで及び、ウールの原産地の確認、紡糸の過程の確認……。
数ヶ月かかって原因を探しました。

それから少し気をつけて、別に編み上げてもらって、いつもに限りなく近く出来上がった製品は販売できました。(少し安心しました……!)

先週末に、ようやくウールスパッツ風合い変化の原因究明の結果が出ました!

それは、編み上げたスパッツを最後に100℃近い蒸気に当てて、それ以上縮まないようにする過程で、その業者さんが温度を上げすぎていたのでした。
(ウールを縮ませるのではなく、弾性糸を縮ませます。そのときに、ウールスパッツの表面が少し凸凹になる感じです!)

たとえば、股上股下合わせて90cmのスパッツでしたら、180cm丈に編み上げます。そして、半分の長さになるまで縮めてしまうのです。
そうすることによって、見た目は短いけど、フワーっと伸びの良いスパッツになるのです。
お洗濯しても縮みません!!
背の高い人も、足首で止まれば股下75cmも充分にカバーできますし、長くない方にはそのまま履いていただけます。

ゆったりフワ~の感触はこうして生まれるのです。

でも、そのときのロットは全部、少しだけ温度が上がりすぎて風合いが変わってしまっていました。急激に温度を上げて、生地面の編み目が乱れて、手に持った感触が少し粗かったのです。

業者さんも、団塊の世代が交代時期で、ベテランさんが変わると、微妙なタイミングが難しいのだそうです。
今までが当たり前と思っていましたが、実は神業的なタイミングだったようです。

それで、これからも同じことが起こらないように、仕様変更したいと思いました。
今まで、ウールと弾性糸を使って編み上げてきましたが、この際この弾性糸を人気のCSYに変えようかということになりました。

CSYという糸は、髪の毛よりも細い収縮糸にコットンを巻きつけて作った糸なんです。
絹コットンスパッツは、相変わらずうちの編み上げスパッツの中でダントツ人気ですがCSYは、このスパッツの外側に使われている糸です。

高級肌着用の糸で、スパッツに使ったのは、当時うちが初めてくらいでした。

この糸をウールスパッツの内側に配して編み上げますと、ウールの温かさは同じで、肌面にはコットンが当たります。
コストは上がりますが、良いものになるのでは……!!

そんな変更を考えているのです。
いろいろなパターンのウールスパッツを30本くらい試作しましたが、とりあえず大きな差は下の4本で説明ができます。

下の写真の左から説明させていただきます。

内側コットンのウールスパッツ
 
 ウールの糸は細めですが、内側にコットンの伸縮糸CSYを使っています。
編み目をきれいにするために試作したスパッツ
 
 ウール糸を少し太めにして、表面はきれいだけど、縦伸びがあまりない。
編み目が乱れがちな以前と同じ仕様のウールスパッツ
  従来品と
同様に作っているけど、表面が少し乱れている。
人気だった今までのウールスパッツ
  もともとのウールスパッツで従来品です。




結局、履き比べてみて、感触の良さやゆったり感などの履き心地は従来品か、CSYを使ったリニューアル品が良かったです。

これから、まだ検討を重ねますが、CSYのふんわりウールスパッツになる可能性も大きいです。
または、従来品の最終加工ができるベテランが居なくなったので、編み目は多少乱れても今までと同じウールスパッツか……ですね。
現在、近いところまでできていますので、このまま続行も考えられますが、いつまた編み目乱れができるかもしれません。

単に編み目が乱れているだけならいいのですが、表面が少しデコボコになると感触が変わり、まるで安い糸に変えて編んでいるように見えてしまうのです。

現在編み目乱れで販売中止した数百本のスパッツが、シルクふぁみりぃの倉庫で眠っています。
その場合、こちらは、アウトレットで出させていただく形になります。
ただ、最初のお電話を受けた松田が再度伝えてくれました。

「その方は、履き心地については、現在のスパッツも申し分ないです。
 市販のウールスパッツとは比べられないくらい良いんです。
 でも、元々のが良すぎたので比べると表面の編み目が粗くなったようで……。」

そんなことも伝えてくださったそうです。
糸も変えていないし、編み機も同じ……。
これから、まだまだ何度も履き比べたりして検証を重ね、もし、乱れててもいいから、従来品を……となると、この眠っているスパッツもアウトレットではなく正規品で出させていただく格好になります。

そのへんの判断は、本当に難しいです。
こうしてご愛用くださっている方のご連絡はありがたいのです。
少しの変化も気付かれるということは、本当のご愛用者さまですネ!!
こんなお客さまに支えていただき、何とか今まで続けてこれたシルクふぁみりぃなんです。

CSYのウールコットンのスパッツに変更されますと、CSYに糸を合わせるためウールの糸を少し細めにするため、少しだけ薄地になります。
ウールや絹、コットンは細くなるほど価格が上がるのですが、その分目方も減りますので価格はほぼ同じくらいで大丈夫かなって思います。

団塊の世代が退いていくと、いろいろなところで支障が出そうですね。
少しのことで変化があるので、いつもいつもアウトレットが出てしまうと困ります。

CSYはもともと、温度でそこまで伸縮しないので少しのことで風合いが変わらないのです。(ちょうど良くなるんです!)
こちらも、まだ1本しか出来上がってきていないのですが、これから何度も履き比べてお洗濯を何度もして、どのスパッツが一番良いか今年の秋までには決定して参ります。

ウールスパッツ開発については、いろいろな思い出があります。

まだブログなど無い10年以上前でした。
この糸でもダメ、この糸もチクチク感がある。
この糸で作ると、毛羽が抜けて着ているものが糸だらけになる。
何度も、何度も、やり直して、それをHP上でアップしていました。
アクセス数などわからないし、誰も見てなくても自分を納得させる意味で書いおりました。

そしてやっと、やっと今のスパッツが出来上がって発売……!!となりました。
驚いたのですが、一瞬で売り切れたのです。

奈良の代表的なお寺の奥様もお電話をくださいました。
「主人が、あなたのHPを見ていて、出来上がったみたいだ。冷え性の私にいいんじゃないかって薦めてくれたんだけど……買えるかしら??」

ええ!!
誰も見ておられないと思っていたウールスパッツの開発秘話を、たくさんの方が見てくださっていたのでした。

本当に驚きました。
一瞬で売り切れてしまって、お一人何着も買う方もおられてびっくりしました。

「やっと、出来上がったのね!」というメールもいっぱいいただきました。
それが今も続いているシルクふぁみりぃです!!

また、リニューアルのウールスパッツが出来上がりましたら、よろしくお願いします。
従来品の方が良い場合は、また元のスパッツに戻ります!!

いつも、読んでくださって、本当にありがとうございます。
10年以上分の「ありがとう」をお伝えしたいです
(*'∀`*)v
(最初のホームページ開設は2000年ですから……)

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