関連エントリ:阿久根市


 鹿児島県阿久根市という,今まではあまり知られていなかった市が,色々とやばいです。


 この市の現在の市長は竹原信一氏(50)。通称ブログ市長
 防衛大学校卒,航空自衛隊(幹部候補生)をすぐ辞めて親の経営する建設会社に就職,代表取締役を一時経験,市議会議員Wikipedia,2010年2月24日取得),と経歴を見る限り典型的な田舎のボンボンで,あまり一般民衆の味方といった風ではないのですが,ブログで直接住民に主張を訴えるという手法を取り官対民の構図を掲げ(ブログのタイトルも”住民至上主義”)期待を集め,2008年8月31日,阿久根市長に初当選しました。


 ところがこの選挙戦の最中もブログの更新を続け,他候補の中傷とも取れる発言をしていたことで,まもなく公職選挙法違反容疑で告発されます(毎日新聞,2008年9月7日)――この件はその後続報がないので不起訴なのかな?

 その後もブログ上で”辞めさせたい市議アンケート”をしたりだとか,職員の給与明細を公開したりだとか,大胆な行動が目立ちます。全国のニュースでも阿久根市の名前をしばしば見かけるようになりますが,官対民の構図で,竹原市長に好意的な報道が目立ちます。

 しかし議会との対立は決定的になります。
 2009年2月,市議会で不信任決議市議会解散(47NEWS,2009年2月6日)。4月,再選挙後の市議会で再び不信任案可決市長失職47NEWS,2009年4月17日)。

 そしてこの出直し再選挙で,住民の味方・竹原市長は見事再選されたのでした(47NEWS,2009年5月31日)

 

 もう怖いものはありません。何と言っても住民は竹原市長を選んだのですから!



 7月,竹原市長は,市長が庁舎内に張り出させた張り紙を勝手に剥がした職員を,――まあ行為自体はほめられたものではないけれども――なんとたったこれだけの行為で,懲戒免職にしてしまったのでした。

 当然労働者の生殺与奪をほしいままにされてはたまったものではなく,職員側は処分の取り消しを求めて裁判所に駆け込んだのでした。で裁判所も,判決が出るまで処分の効力停止を命じたのですが――

 市長いわく,”裁判官なんて選挙で決めたわけでもないのにオレに命令するな”

 と,この命令を無視。この職員にはその後も給料は支払われないままです(朝日新聞,2010年1月22日)。

 

 2009年11月8日には,ブログ上で「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果、擁護施設に行く子供が増えてしまった」と発言。

 これには当然批判が殺到したのですが頑として撤回も謝罪も拒否し,「謝ったら竹原の全部を否定するきっかけになる。これは戦いだ」「世間体を見ながら成果を出すことはできない。どこで勝負するかが大切。いい人であり続ける必要はない」朝日新聞,2009年12月19日)。

 ・・・いや,あなたは何と戦ってるんですか。勝負するところが違うだろ。

 その後も「社会をつくるには、命の部分に踏み込まないと駄目だ。表現は厳しいが、刈り込む作業をしないと全体が死ぬ。壊死(えし)した足は切り取る。それで全体を生き残らせる。情緒で社会はつくれない」などと,止まるところを知りません(読売新聞,2009年12月22日)

 今日2月24日になっても,障がい者団体が発言の撤回と謝罪を求める要請をしている(西日本新聞,2010年2月24日)ところを見るに,まだまだ阿久根市長の戦い(というか差別と戦う人々の戦い)は続いてそうです。


 この労働者の権利の徹底的な無視と,障がい者差別発言のために,竹原市長は民衆の味方と一縷の望みを託していた左派系のメディアも完全に愛想を尽かします。



 さらに同じ時期に,市議時代に,ブログで天皇を批判する記事を書いていたことがとりあげられ(簡単に言うと,現在の天皇は元の天皇家と遺伝的につながりがない,すりかえられたという陰謀論),右派系メディアや,右翼の攻撃も受けることにもなりました。

 ちなみに天皇に関する発言はわりとあっさり撤回します。ここは戦うところではなかったらしい。
 それどころか「市長として書いたものではない。以前,書いたことのある人間が市長になっている。何でもかんでも議論のテーブルに載せていいものではない。それぐらいの判断能力は持ってもらいたい」朝日新聞,2009年12月22日)とちょっと鳩山首相を髣髴とさせる,意味不明な逆切れっぷりを見せたのでした。



 左右の挟撃に狼狽した竹原市長は,なんと防災無線で,新聞と日教組が偏向していると放送する(朝日新聞,2010年1月6日)という迷惑行為にでます。っていうかなぜ日教組?

 さらには庁舎内での撮影を禁じる(読売新聞,2010年1月27日)など,マスコミの敵視に拍車がかかります。



 しかしマスコミ報道を通じて分かる表の歴史よりはるか以前から,本人のブログはやばいことになっていた!
 次回は本人のブログを大特集!



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