アスキー総研MCS Elements
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10000円
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ネット時代のマーケティング、プロモーション、商品企画、事業企画のための最適ツールです。
iPhoneユーザーにリーチできるメディアとは何か?
20代女性は無料ネット動画の視聴状況とは?
などといった疑問に対して、的確に答えるグラフを簡単な操作で作成できます。
「MCS Elements」は、アスキー総合研究所による、ネットやコンテンツに関する国内初の大規模調査
「MCS 2010」から、会議などでインタラクティブに活用できるデータを厳選して抽出したiPadアプリです。
「MCS 2010」のアプリ版(CD-ROM)には、
□「MCS Elements」の約300倍のデータを格納
□三重クロス集計が可能
□and、or、not等によるデータの絞り込み集計も可能
□Excelデータとして出力可能
といった特徴があり、プロモーションプランの検討や事業計画の策定などにご活用いただけます。
ご利用の目的に合わせて、「MCS 2010」と「MCS Elements」をお使い分け下さい。
「MCS 2010」の詳細は、http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
をご覧下さい。
なんと、30万円する商品のアプリ!内容と値段から考えると激安です!
一般向けではないと思いますが、
この関係の仕事に携わるものとしては非常に興味深いです
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いい話なので、こちらもどうぞ!
「Keep Crazy;shi3zの日記」さんの記事より
このアプリ、縁浅からぬ(株)アスキーメディアワークスさんとのコラボで実現したのだけど、きっかけはちょっとしたものだった。
けど、この先は長い話になるから、読まなくていい。ただ、僕が書きたいだけなのだ。
僕とアスキー総研の所長を務めている遠藤さんは、実は同じ新潟県長岡市の出身だ。
人口20万人の田舎町。
かつては城下町であり、越後の中心だったが、明治維新で幕府側についたことでその栄華を奪われた土地柄だ。
田舎で育つということは、都会への憧れとコンプレックスのなかで育つということだ。
僕にとって、憧れの都会といえば、なんといっても秋葉原だった。
僕は、子供の頃からコンピュータが好きで、クラスで一番詳しかった。
それが、学年で一番、学校で一番であるということに気がつくのに、さほどの時間はかからなかった。
五年生になると、もう先生より詳しくなっていたので、学校中から先生がコンピュータについて良く意見を求めにきた。
中学では、先生の代わりにみんなにプログラミングを教えた。
思えば、これが僕が国立学校で行った最初の授業である。自由な学校だった。
周りに自分よりコンピュータに詳しい大人が全くいなくなってしまった、ということは、ある種の、絶望を伴った実感だった。
「田舎もん」とは、そういうことなのである。
井の中の蛙、大海を知らず。されど天の高さを知る。
そういうわけで、中学校くらいから授業の内容に身が入らなくなった。
退屈なのだ。
東京へ行きたい、と思わないでも無かったが、東京などというところは、とても怖いところだと思っていた。
僕は長岡では唯一の国立中学に通っていたから、当然、周りの進学指向は強かった。
けれどもクラスメートの大半の第一志望は、新潟大学だったのだ。
それが、田舎もんということなのである。
附属高校がないから、たとえ新潟大学へ進学するとしても、一般入試を受ける事になる。
だからそんな義理はないのに、なぜかみんな新潟大学を目指すのだ。
そんな田舎で暮らし、周りにめぼしいロールモデルを持たない少年にとって、唯一の情報源は図書館だった。
学校の隣に大きな市立図書館があって、僕は大半の知識を図書館で学んだ。
そこは実家のような場所であり、世界で最も居心地のよい場所だった。
今でも、図書館は好きだが、東京の図書館ではああした安らぎを決して得る事ができない。
工学書が圧倒的に不足しているのだ。
図書館ではいろいろな本を読んだが、とりわけ大切だったのは、雑誌だった。
雑誌の最新号は貸し出してもらえないが、バックナンバーは、過去三年ぶん、いつでも借りる事ができた。
そこで夢中になったのは、なんといっても月刊ASCIIだ。
月刊ASCIIは、もうなくなってしまったが、僕にとってバイブルだった。
いつの時点で、どのバックナンバーを読み返しても、しびれるような知的興奮を与えてくれる雑誌だ。
今でもときどき当時のバックナンバーを引っ張りだしては読み返している。
哲学者がパソコンを仕事に活かす連載や、スーパーハッカーの話(笑い話じゃない。本当のスーパーハッカーだ)、人工知能と人工無能の話。MITのメディアラボの話。かと思えば、映画やクッキングの話。
当時、マイコン雑誌は山ほどあったが、月刊ASCIIの面白さは群を抜いていた。
その当時の月刊ASCII編集長こそが、かの遠藤諭さんなのだ。
遠藤さんの連載「近代プログラマの夕(ゆうべ)」は、オシャレで、刺激に満ちていて、そのうえで決して他の連載陣にとって嫌みにならないような、カレーライスの福神漬けのような、ものだった。
でも当時の紙面は当然、すべて編集長である遠藤さんが隅々までつくっていたから、僕はこの遠藤諭さんという人にとてつもない憧れを抱いていた。
こんなに凄くて面白い雑誌を作れる、その豊富な知識と知見、なんと素晴らしい本だろう。
ページをめくるごとに感動がある。大量に入った広告でさえ、めくるたびにわくわくしたものだ。
毎月18日が、本当に、心の底から、楽しみでしようがなかった。
僕にとってもっとも長い期間、もっとも多くの事を教えてくれた師は、遠藤諭なのだ。
その、遠藤諭のプロフィールをどこかの本で見る事があった。
すると、彼が同郷・・・つまり新潟県長岡市の出身であることを知ったのだ。
このときの僕の驚きと歓喜を、どう表現していいのかわからない。
僕が大好きな雑誌の編集長が、なんと僕と同じ場所でうまれ、同じように育ち、同じように暮らしていたのだ。
悠久山の桜も、信濃川の流れも、あの遠藤諭が送った少年時代と全く同じ少年時代を、自分がいま送りつつあるのだということが、田舎で一人孤独を感じていた少年時代の僕を、どれほど勇気づけ、励ましてくれたか。
東京出身で、秋葉原に毎日行っているような連中に、僕のような田舎者は、到底叶わないとおもっていた。
僕が雑誌で最新機種をみてやきもきしている間に、東京の連中は、BitINNで実際にそれに触れているだろう。
けれども、同じ長岡で育った遠藤諭が、これほどまでに圧倒的に面白い誌面を創り、圧倒的に幅広い知識で編集をしているのだとすれば、僕がここで自分が田舎者だと萎縮する必要が、一体どこにあるだろうか。
それがきっかけで、僕は高校一年のときに、対抗誌である月刊I/Oへプログラムと記事を投稿した。
新潟の田舎者が、東京の雑誌で通用するか、腕試しがしたかった。
月刊ASCIIヘ投稿しなかったのは、記事が高級すぎてとても自分の記事など載せてくれる感じがしなかったからだ。
それに万が一、遠藤さんの目にとまって、同郷のよしみでと情けをかけられたくはない、という思いもあった。いま思えば、滑稽な話だが、当時は15歳の子供が考える事だ。多めに見てほしい。
投稿が採用され、僕は翌年からI/Oの別冊、コンピュータファン誌で連載を持つ事になった。
これが僕のキャリアのスタート地点だ。
それにしても、月刊ASCIIは偉大な雑誌だ。
月刊ログインはもともとASCIIの別冊であり、ファミコン通信(ファミ通)は、そのログインのなかにある2ページのコーナーに過ぎなかった。
今の週刊アスキーの母体となる月刊EYECOMも、ログイン編集部が母体となっている。
つまり、現在、最も売れているゲーム雑誌と、最も売れているパソコン誌の母体となったのが、月刊ASCIIなのである。
僕は大学進学を機に上京した。
すると、なんの因果か、僕は憧れの月刊ASCIIではなく、そのライバル誌の月刊I/O編集部でライターや編集のアルバイトををするようになる。投稿がきっかけだった。
それはそれで、楽しい仕事だった。
けれどもそれからどんどん月刊ASCIIとは疎遠になってしまった。
実は月刊ASCIIは、もともと月刊I/Oを立ち上げた人たち・・・西和彦(アスキー創業者)、古川享(後のマイクロソフト会長)、塚本慶一朗(後のインプレス社長)といったPC業界の巨人たちだったのだが・・・が、いわば謀反を起こして作った雑誌だった。
最初はお互いに拮抗していたが、遠藤諭が月刊ASCIIの誌面に関わるようになって、勝負は決した。
遠藤のもつ、圧倒的な知見と幅広い誌面構成は、到底,他人が真似ができる領域ではなくなっていた。
しかし、時は流れ、月刊ASCIIの編集に遠藤が直接関わらなくなってくると、売れ行きは激減した。
そしてなにが起きたのかは分からないが、月刊ASCIIはいつのまにか、なんの魅力も無い雑誌になってしまった。
僕は会社を作った頃にようやく遠藤諭さんとついに巡り会う事ができた。
ずっと想像していた通り、とてつもなく素晴らしい人だった。
カリスマ的魅力があり、深い洞察と知見があり、いまなお新しいことを求め続ける真性の求道者だった。
そしてアスキーのお家騒動もあり、どさくさでアスキーは角川グループのメディアワークスに吸収合併され、月刊ASCIIはついに消滅した。
そして我らが遠藤諭はアスキー総合研究所という、よくわからないがおそらく雑誌を作る事はないであろうという、場所に収まった。
社会に出て驚いたのは、遠藤さんの月刊ASCIIに育てられた、という意識を持っている人が、僕以外にもけっこう居た事である。
遠藤さんの雑誌で育てられた。遠藤さんは僕たちの父親である、という意識の人は、この業界のかなり幅広い層が持っていた。
だからみんな、衰退していく月刊ASCIIをとても残念な気持ちで見ていた。
遠藤さんが、月刊ASCIIの最後についてどんな考えや思いをもっていたのかは、今となっては分からない。
塚本慶一朗が手下の編集者とライターを引き連れてインプレスを作ってしまったのも、原因のひとつかもしれない。
雑誌は一人で作るものではない。
きっとそういうことなんだろう。
あの、80年代から90年代の時間。あの奇跡のような時は、もう来ないのだろう。
ログインを創刊した小島文隆。酒乱の天才編集者と呼ばれた男は、独立して新雑誌を立ち上げるも、うまく行かず破産。
行方不明になっている。ログインで長く編集長を勤めた河野真太郎や高橋ピョン太もアスキーを離れた。
256倍シリーズをまとめあげた名編集者ももう居ない。
凄まじい才能が結集し、知恵を絞り、あの奇跡のような時代のアスキーを作った。
僕には、そのとき、あれだけ憧れていた遠藤諭が、まるで翼をもがれた天使のように見えた。
それでも彼は、いつでも飄々としたものだった。それがまた、彼らしいところなのだが。
天下一カウボーイ大会を開催しようと思ったときに、絶対に外せないと思ったのが、遠藤諭さんだ。
僕らの父であり、師である遠藤諭さんが、コンピュータが大好きな少年少女、たまにおっさん連中を相手に、思う存分、自らの知見を語る機会というのをなくして開拓精神は引き継げない。
けれども僕は歯がゆかった。
遠藤諭はこんなもんじゃない。
僕のイベントコーディネーターとしての未熟さ、稚拙さが、遠藤諭という逸材をスポイルしているように思えてならなかった。
けれども壇上でどれだけくさしても、遠藤さんは嫌な顔ひとつせずにどこにでも来てくれた。
僕を香港や深圳といった世界の最先端の場所に連れて行ってくれたのも、やはり遠藤さんだ。
そんな遠藤さんから、ある日、メールをもらった。
『ねえ、こんなのうちで作ったんだけど、買ってくれないかな? ちょっと、高いんだけどさ』
遠藤さんから頼み事をされたのは、これが初めてだった。
それはアスキー総研が初めて発売した、データ集だった。
定価30万円。即決できる金額じゃない。
すこし躊躇した。
「これ、なんですか?」
と、電話してみた。
「これはね、けっこう、頑張ったのよ。
世の中にはいろんなリサーチがあるじゃない?けど、みんななんかちょっと、欲しいのと違うのよ。
例えばiPhoneアプリとか、あなた作ってるじゃない?」
「はい。そうですね」
「ふつうのデータ集だと、iPhoneアプリを買っている層の年齢と世帯収入と、男女比、都道府県、ま、そんなとこじゃない?
けどその情報じゃ、コンテンツを作ろうとしたらぜんぜん足りないワケ。
東京都の30代の男性がiPhoneを一番多く持っている。で?だから?ってなわけ。
男ったっていっぱい居る訳でしょ」
「まーそうですね。だいたい、そこから、彼らがどんなコンテンツを好みそうか考えますね」
「でしょう?で、どのメディアで広告したらいいかとか、東京都30代男性が見てる領域で広告とか打つんだけど、この時点でほかのiPhoneユーザとりこぼしてるよね。
iPhoneユーザをマーケティングするつもりが、いつのまにか東京都30代男性をマーケティングすることにすり替わっちゃうわけ」
「ああ! 実際、そういうことありますよ。
30代男性にウケるコンテンツなにかなーって考えたりして行き詰まる事が。
雑誌とか何読んでるのかなー?って」
「でしょ。何読んでると思う?」
「え?30代男性ですか?」
「そう」
「SPA!とかですかね」
「あー、いい線いってるね。確かに30代男性はSPA!をよく読んでる」
「あ、どの雑誌を読んでるか、までこのデータ集で分かるんですか?」
「そうなのよ。けどね、いまあなたが知りたかったのは、30代男性の情報なの?」
「え?・・・・なんでしたっけ?」
「iPhoneユーザの情報でしょ?で、iPhoneユーザが良く読んでるのは、なんと週刊アスキーなのよ」
「ええええっ!?・・・・作ってません?」
「作ってないっつーの。なんちゅう失礼な事を言うんだ君は」
そういえば、週刊アスキーの総編集長の福岡さんと遠藤さんは、社内ではかつて政敵だった。
わざわざ週アスをもちあげる積極的な理由は遠藤さんにはないはずだ。
「つまり、"30代男性"の読む本と、"iPhoneユーザ"の読む本は違うと」
「そういうこと。これ間違ってSPA!に広告出すと無駄打ちになるわけ」
「なるほど」
「雑誌だけじゃないよ。
たとえば、よく使う検索エンジンはYahoo!なのかGoogleなのか、とか、どんな漫画読んでるのか、とか、テレビはなに見てるのか、はてブは使っているのか」
「ちょっと待ってください、それ全部聞いたんですか?」
「うん聞いたよ。10,000人に」
「アンケート、何項目あるんですか?」
「えーとね・・・たしか300問くらい」
「それ全部?・・・・良く答えてくれましたね」
「しかも全国全世帯にばらしてね・・・・なかなか大変なのよこれが」
「そういうのが全部入って30万円なんですか?」
「30万円の方はね、データとそれを分析するためのソフトがついてるの」
「・・・・・それ、実はめちゃくちゃ安いんじゃないですか?」
「お、良く気がついたね。実はそうなのよ。
こういうデータを電通あたりがとろうとすると、桁がひとつふたつ違うんだよね・・・
今回は、まあそういう部分もあってさ、いわば薄利多売なわけ」
「うーん・・・・・・なるほど」
ヤラレタ・・・・と思った。
まさか、雑誌でもネットメディアでなく、アンケートを編集するとは。
アンケート調査は奥深い分野だが、地味なこともあってイノベーションを起こす余地はまだまだある。
そこに豊富な経験をもった編集者、本来、彼らはデータではなく、嗅覚でニーズを掘り起こす・・・・・・そういう発想でアンケート調査を行うと、今までとは全く異なる切り口で日本という存在を浮き彫りにできる。
「じゃあ買います」
「えーほんと?・・・・けどいいよ無理して買わなくても」
「だって売れないと困るでしょ」
「生意気なことを言うなぁ・・・・まあいいけど、買って買って」
そうして届いたのがこの本だ
分厚すぎる。
そしてさらに絶望したのは、アンケート分析に異常に時間がかかることだった。
なにしろ膨大なデータだ。
読み込むだけでも恐ろしく時間がかかる。
しかも、30万円もする高価なソフトだから、どのマシンにインストールすべきか本当になやんだ。
いざ買ってみると、社内のあちこちから「僕も欲しい」という声があがった。
喧嘩にならないように、一台のノートPCにインストールしてそれを共有しようということになったのだけど、いざやってみると今度は誰も触らない。
「データは凄いけど、統計の取り方がわからない」
「どんなふうに見ればいいのかわからん」
「これ完全にプロ用だよね。3点クロス集計とか」
これでは完全に宝の持ち腐れだ。
結局、買ったはいいけど、本棚の肥やしになっただけだった。
なんと勿体ない。
僕はもっと、集計ソフトというのは、華やかなものを想像していた。
なんか、グラフとかがビョーンとでてきて、でかい会議室で得意げにグラフをいじると、禿げた重役連中が腕を組んで「うーん、さすがだシミズ君」と唸るようなやつ。
会議でパワポをよく見るようになった。
けど、パワポの会議って、要は事前にかなり周到な準備をしているということだ。
予想される質問に先回りしてデータを調べ、表やグラフにまとめて提出する。
しかし、この手の会議で得心したことはほとんどない。
会議の場で新しいアイデアを言っても「それは調査してみないと」と返される。
例えば、あたらしいニュースサイトを作る時、対象は女性、20代から30代。
いわゆる"F1層"で、彼女たちが好む「色は?」とか、「女優は?」みたいな典型的な質問には答えられる。
けれども「彼女たちはどんな漫画を読んでるの?」とか、「一日どのくらいネットに触るの?」みたいなことに議論が発散する。
こういうときはたいてい、「そんなこともあろうかと」呼んでおいた、社内の20代女性新入社員数名に意見を聞いて「なるほど、これがいまどきの若い女性か」とおっさんがスケベな笑いをして終わる。
一番、困るなと思ったのはたとえば「休日は一日中ニコ動みてます」と答えたり、「検索エンジンはGoogleしか使いません」と答えたりしたときに「ま、うちの社員もけっこう、偏ってますからな!一般的な若い女性はニコ動よりはYoutubeでしょう」などと情報を熟孝せずに黙殺することがままあることだ。
要するにオッサンの妄想で決めつけ、本物の女性の意見はほとんど無視されるということだ。
こんな光景を僕は何度も見てきたから、このアスキー総研のデータ集、「メディア&コンテンツサーベイ(MCS)」を使えば、そんな時に「どうだ、みんなニコ動見てるぞ」とデータを示したり、自分がマーケティングをしたり、企画を考えたりするときに、「20代女性向けのゲームをつくるとしたら、彼女たちは普段どんな映画やドラマを見てるんだろう」ということが簡単に調べられると思っていた。
しかし、実際のMCSは本当にデータ集と分析ソフトだけなので、複雑な分析するためには余裕で数十分待たされる。
僕は本職の分析屋ではないから、もっと手軽に、会議でホイホイ使えるようなものがほしかった。
それこそ、未来の会議の姿じゃないか?
いまはもう21世紀、それから10年も経つというのに、会議ってこんなんでいいの?
僕は長年、Zeptopadというノートアプリを開発している。
利益はほとんど出ていないが、ライフワークとして「未来のオフィスに必要なソフトは全部作ってみよう」と思っているからだ。
とすれば、MCSはダイヤの原石だ。
磨き方次第では、凄いソフトになりうる。
次の瞬間には、僕は電話を掛けていた。
「遠藤さん! MCSをiPadでやらせてください!」
「え?どうして?」
「買ったんだけど、ぜんぜん使いこなせないんです。だから、MCSをiPadで、手軽に使えるようにしたら、もっとこれの凄さが伝わると思うんですよ」
「値段はどうするの?」
「一万円で!」
「えーーっ!? 30万円でも同業他社からダンピングだの陰口たたかれてるのに?」
「MCSの凄さが、このままじゃ伝わらないのは勿体ないですよ!1万円が、ギリギリだと思います」
「うーん、まあ値段はともかく、面白そうじゃない。いいよ。データ使っても」
「見ててください。凄いの作りますからね!」
僕は心の底から嬉しかった。
ついに、あの遠藤諭とおなじステージで、仕事を一緒にする事ができる。
遠藤諭が編集し、集めたアンケートデータを、僕がビジュアライズする。
僕がこれまでの20年余で学んできたことの全てを使って、父であり師である遠藤諭の価値を高める。
遠藤さんにとって、僕は無数の読者のなかの、たった一人に過ぎない存在だろう。
その僕が、今度は遠藤諭の才能を使って、全く新しいアプリケーションを生み出すのだ。
さすがに全く同じ内容で1/30の価格では出せないので、集計はかなり制限した。
それでも2万7千パターンの集計になっている。
集計には時間がかかるから、全て事前に計算することにして、アプリはデータを表示する事に特化した。
つまりこれは、全く新しいタイプのハイパー構造を持つ、インタラクティブ電子書籍でもあるわけだ。
グラフの動き、アニメーションには特に気を使った。
使っていてワクワクするような動きでなければならない。
月刊ASCIIの誌面の1ページ1ページをめくるたびに興奮していたように、たとえビジネスアプリであっても官能的でなければならない。
そんなことを考えて開発した。
しかしあまりに膨大なデータを処理しようとしたため、開発は難航し、当初の予定よりかなり遅れて、このアプリが完成した。
特に注意を払ったのは、VGA機能だ。
プロジェクターに表示しながらアニメーションをきびきび動かすのはiPadの制約上、とてつもなく難しい。
しかし、経験豊富な3Dプログラマーだった鎌田くんの必死の努力と注意深いコーディングにより、なんとか動きの質感をそこなわずにVGA出力させることができるようになった。
この企画を実際にまとめたのは新人の河田くん。慶応SFCを卒業して春から社員になった。
アスキー総研側もかなり多くの人がこれに関わってくれた。
そうしてなんとかかんとか完成した、血と汗と涙の結晶がこのアプリである。
1万円は、アプリとしては高価だが、企画屋さん、マーケティング屋さんといった方なら、必ずもとがとれる。技術者ですら、うまく使えば強い味方になるだろう。
この1万円は、何倍にもなって返ってくると僕は確信している。
その上で堂々と言えるけど、このアプリは安い。
新潟県長岡市の方々には大変お世話になり、
一方ならぬご厚情を頂いておりますので、私も長岡人は大好きです!
このアプリもしっかりと活用させていただこうと思います!
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