棋書 感想・レビュー 第22回「現代将棋の思想 ~一手損角換わりの思想~」 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

どうも、棋書 感想・レビューのコーナーです。

今回の棋書はこちら。



現代将棋の思想 ~一手損角換わりの思想~

書店で菅井ノート先手編 と一緒に並んでいたんですが、
一手損角換わりを苦手と豪語(?)する私としては、
まずはコチラから、という構えです。

何で一手損角換わりが苦手かというと、
後手の上に一手損をするという、良さを見出すのとは遠い思想から。

もうこのブログでは何度も書いていますが、
私は明快なテーマの将棋が好きでして、
自分の感覚には合わないなぁ、と思っていたんです。

将棋というのは、究極の部分では思想が大事だと私は思っています。

例えばノーマル四間飛車なら、
「美濃~高美濃~銀冠という発展を見せ、
それを阻止しようと攻めてきたところを、玉形差を活かしてカウンター」
というのが基本思想ですよね。

戦法は、この基本思想がシッカリしているほど安定感が増します。

美濃~高美濃~銀冠という発展を見せても、
それ以上の囲い、穴熊があってはカウンターが決まりにくくなり、
基本思想が崩れる事で四間飛車の安定感が失われる訳です。
(それを上回る思想があれば問題はありません)

もっと言うと、
「戦法の持つ基本思想と棋風がマッチすれば、得意戦法になりえる」とも言えますし、
「基本思想を汲み取れば、戦法に合った指し回しが出来る」とも言えると思います。


この本は、そんな一手損角換わりの基本思想から始まって、
変遷と最新形に触れていくという豪華な一冊です。
「一手損角換わりを指す理由とは?」という根源にこだわり、
どこへ向かっていくのかという未来も提示している本と言えます。

この本を読み、実戦で一手損角換わりを指していけば、
一手損角換わりが理解できないはずが無いでしょう。
私のような思想優先主義者には、待っていました!という本でした。


・・・ただし、

文体及び構成については、正直読みやすいものではありません。

最近の棋書は、読むだけで理解できるような構成になっているものが多いですが、
本書は恐らく、読んだだけで理解できる方は全体から見て少数だと思います。
そういった意味では、極上に親切な本であり、不親切な本とも言えるかもしれません。

私の実感は「将棋大観 に似てるなぁ」というものでした。
文体や構成が何となく。現代っ子には馴染みが無い本でしょうが。

また、思想にこだわっている事と、一手損角換わり全般を扱っている事から
細部に亘るまで手順が網羅されている、という訳ではありません。
これは単純にスペースが足らないのだと思います。
まぁ、どうせ私は自分で研究するので、この点は不満無いです。


私も一度データに直したり、手で並べたりしながら、
一手損角換わりの思想を味わってみたいと思います。



では、私の独断と偏見による
現代将棋の思想 ~一手損角換わりの思想~ 」の評価です。

難易度      ・・・星星星星星
価値の不変度 ・・・星星星星星
お役立ち度   ・・・星星星星星
楽しめ度     ・・・星星

総合       ・・・星星星星


総評:


主テーマが思想である以上、

価値は不変であると考えるのが妥当でしょう。

ただし、内容も構成も少々難しく、

難易度はMAXを付けておきます。


しかしながら、これ以上に親切に書かれた本も珍しく、
お役立ち度もMAXと言えると思います。

総合は4としましたが、人を選ぶ本かもしれません。



買ったばっかりなので、大した事も書けずにスイマセン。

一手損角換わりを研究する際は、この本を基準に考えたいと思います。

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