中飛車 先手丸山ワクチン 対 後手ゴキゲン中飛車01 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

大分時間が空いてしまいました、スイマセン。

今回は、コメント返し強化月間中に頂いた、
「ゴキ中に苦しんでます。」というご意見を反映し、
丸山ワクチンをテーマに記事を書いていきたいと思います。

「ゴキ中に苦しんでます。」というご意見に対し、
何で丸山ワクチンを検討するのかと言うと、
テーマが一定で、進化速度が緩やかなものの方が、
身に付きやすく、長く使えると思うからです。
(そういう意味では▲7八金型もオススメなんですが、
アマ間ではあまり人気が無いように思う。感触の悪い手だからでしょうか)

丸山ワクチンを1つの記事にまとめるのは不可能なので、
今回は現代丸山ワクチンの看板である、
「佐藤流▲9六歩」の周辺について考えていきます。

初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲2二角成 △同 銀 ▲9六歩(下図)
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上図が「佐藤流▲9六歩」である。

この手の意味は「5筋の歩交換を許さない」という事。

▲9六歩に換えて▲7八銀と指すと、
△6二玉 ▲4八銀 △5五歩
の時に少し困る意味がある(下図)。
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上図△5五歩に対しては▲6五角と打ちたいのだが、
この場合は△8八角のキズがあるので無理筋となる。

△8八角の打ち込みに対し、
▲9七香と逃げる手を作るのが佐藤流▲9六歩の狙い。
上図で9筋の突き合いがあり、
▲6五角 △8八角 ▲9七香と進行したとすると、
一方的に歩を取る事が出来る先手が優勢となる。

よって9筋の突き合いがある局面で△5五歩と突く事は出来ず、
△5五歩と突けない=5筋の歩交換は出来ない、という構図が成り立つのである。
(もっとも、「5筋の歩を交換されても構わない」という考えから、
単に▲7八銀と上がる手も指されてはいる。)

さて、▲9六歩に対し、プロの実戦では△9四歩が本線となっているが、
今回は「▲9六歩を咎める事は出来ないのか?」という視点で考えていきたい。

まず第一候補は
△6二玉 ▲9五歩 △7二玉 ▲6八玉 △5五歩 ▲4八銀
△5六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8八銀 △5一飛 ▲7七銀
△5六歩(下図)
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△7二玉を急いで▲6五角を消し、
△5五歩から歩交換を実現させるのが対策1。

最後の△5六歩が大事な手で、
平凡な囲い合いは9筋の位の価値が高くなる。

参考棋譜:
佐藤 康光 vs 羽生 善治(王位戦)
阿久津 主税 vs 村中 秀史(新人王戦)

△5六歩を放置すると△4四銀~△3三桂で後手が指しやすくなるし、
▲5八歩としゃがんで受けるのも右金の働きが著しく悪くなる。

上の局面はアマの知らない最新定跡 に載っていて、以下
▲6六銀 △3三銀 ▲5七歩 △同歩成 ▲同銀上 △5六歩
▲4六銀
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と応接して先手が良いと書いてあるのだが、
上図から△4四歩 ▲5八金右 △4二銀と進めるのが裏定跡で、
次の△3三桂~△4五桂がうるさい攻めとなる。

そこで、▲5七歩のところで▲7八玉がオススメの手だ(下図)。
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上図から、▲6八金と上がれれば先手十分。
場合によっては▲4六歩~▲4七銀で5六の歩を取りに行く狙いもある。

一番怖いのは△5七角の打ち込みだが、
▲6八角 △4八角成 ▲同 金 △3九銀 ▲3八飛 △4八銀成
▲同 飛 △5七金 ▲1八飛 △6八金 ▲同 金 △5七角
▲5八歩(下図)
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で、先手十分。

△3九角成は▲3八銀で馬が死ぬし、
△3五角成▲2八飛の進展は先手の手駒が物を言う。

変化は色々ありそうだが、
△5七角の打ち込みが利かないなら、
9筋の位の分、先手を持ちたい。

しかし、一連の受けの手順は知られておらず、
後手を持って荒稼ぎした事もある。
懺悔のつもりで手順を記しておくので、お許し願いたい。


こうした居飛車の適切な受けもあり、
後手が先手9筋突き越し型を許さない時代に突入していくのだが、
最近新対策が出た事で、後手にも可能性が生まれている。

初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲2二角成 △同 銀 ▲9六歩 △6二玉 ▲9五歩 △7二玉
▲6八玉 △3三銀 ▲7八玉 △6二金(下図)
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△6二金が新構想。初出は森下 卓 vs 鈴木 大介(王位戦)

▲7八玉に対し△5五歩▲4八銀△5六歩が、
△7六飛と王手で一歩かすめ取られる筋もあってうるさい手だが、
▲6八銀 △5七歩成 ▲同銀右 △5六歩 ▲4六銀 △5七角と強襲されても、
▲同銀上 △同歩成 ▲5三歩 △同 飛 ▲7五角で大丈夫。
一手溜めて△6二金が良いようだ。

上図から、本譜は▲8八銀と上がったのだが、
△2二飛 ▲8六歩 △2四歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲5六角
△3二金 ▲3四角 △3三金 ▲4五角 △5五歩 ▲6八金
△4四金 ▲2三歩 △5二飛 ▲1八角 △2五歩(下図)

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という進行は、居飛車を持って自信が無いと思う。

▲8八銀では▲4八銀が成立すれば面白い。
以下は私の研究。

△2二飛 ▲4六歩 △2四歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲4七銀
△2五銀 ▲3八金(下図)
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上図では△2六歩と抑える手が気になるが、
▲3六歩~▲3七桂で追い返す手があるので大丈夫。

怖いのは、
△2六銀 ▲2七歩 △同銀成 ▲同 飛 △同飛成 ▲同 金
△2六歩(下図)
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・・・という強襲策。

この進行は、私の実戦から採譜したもので(私が先手)、以下
▲3六金 △2七歩成 ▲2三飛 △2八飛 ▲6八金 △3一金
▲8六角 △2二角 ▲3一角成 △同 角 ▲3九金(下図)
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まで、先手勝ちとなった。

思うに△2七歩成が緩手で、△2八飛だったらどうだったか?以下
▲6八金 △2九飛成 ▲2三飛 △3一金(下図)
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上図では私の実戦と違って、
▲8六角には△6四桂と切り返す事が出来る。

上図からは▲4三飛成 △3五歩 ▲同 金 △2七歩成、
あるいは▲4三飛成 △1九竜 ▲5三銀 △5一香といった順が考えられ、
ここでは一応優劣不明を結論としたい。

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中飛車 先手丸山ワクチン 対 後手ゴキゲン中飛車01
いかがだったでしょうか?

これより後に、
竜王戦山崎対久保の丸山ワクチンからの位取りの成否が気になります!
というコメントを頂き、今回はその形に触れる予定だったのですが、
9筋突き越し型を検討しない事には丸山ワクチンが始まらない、と言う事で、
今回の記事になりました。スイマセン。

なお、△6二金という形は、9筋を突き合った形でも現れているので、
これについては竜王戦の進行を含め、次回以降に検討していきます。

・・・あー、やっと研究記事書けた(苦笑)
研究記事は8日ぶり、コメント返し強化月間の記事は約20日ぶりですか。
随分サボっちゃったですね(汗)

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