前回の【創作活動スタンスや目的の多様性/自分のポジション】
に関しての補足をします。

「去年から色々勉強したり、チャレンジするなかで
しばらく2人とも創作活動を仕事・職業にはしないことにしました。」
と記述した件について
ですが、
「仕事・職業」という言葉使いが指す意味について
人によってかなり差があるかと思うので、今度は違った言葉でせつめいしてみます。



ELECTROCUTICAはおそらく、
「同人活動と音楽業界のプロ仕事を両立する」みたいな所を目指すのではなく
「趣味創作で社会貢献するための活動を仕事にしていこう」としています。
なので、自分たちだけ儲かったり成功しても、全く意味が無いのです。


仕事ではなく趣味で創作活動やってます!と言うと
「普段はサラリーマンとして生計を立て、創作活動は趣味・副業で行う」
といった活動スタイルになる、というニュアンスで伝わってしまうかと思いますが
そういうつもりではありません。
ではどういうことかというと、詳細はちゃんと実現した後に書かないと
説得力もありませんので今は割愛しますが、抽象的に言うと

いわゆる「仕事」をする上で重要になってくる迅速さや器用さ…例えば

「短納期に対応できてあたりまえ」
「仕事なんだから気乗りしない事でもやる。ある程度の妥協は仕方ない」
「著名人や大企業と仕事することは名誉となるので低額でも引き受けたほうがよい」
「今回は条件が悪いが、経験・プロモーションだと思ってトライする」

といった「仕事的」な考えを最優先にすると
自分たちの場合は創作意欲が無くなってしまい本末転倒なので
そういったものが要求される状況で制作はしないようにしますよ、
という意味合いです。


というわけで、モチベーションが保てる状況であれば
「趣味の延長にあたるような位置づけで、
商業の企画に関わらせていただく」ということは
ありえるということになります。


例えば3月に発売になる「More SQ」も
もともと趣味としてゲーム音楽のアレンジに興味があり
「著作権者さまの許可をいただいて、公式的に企画させていただくことはできないかな・・・?」
と考えていたら、ちょうど考えていた企画内容のお話をいただいてびっくり!ということで
参加させていただいたものでして

そんなふうに素敵な形でやりたい事が実現できるような
とてもありがたいお話をいただいた際は
「趣味と仕事が繋がった」ような状態になりますが
そういった時に失礼があってはいけませんので
2010年は自主制作(趣味)でもかなり商業作品の
制作スピードや、作風を意識したモノに挑戦したりしていたわけです。

というわけで、
特に考えや方針がぶれて、変わってしまったという事では全くありません。
「いくつもの選択肢を経験する中で、自分たちに合った方法を見つけた」
と捉えていただければと思います。
それを実行するなかで得た経験(成功談・失敗談)を本やblog記事にしたりて
いくつもりです。社会貢献というと何だかアレですが
同じような事で迷っている人の判断材料にでもなればいいなとか
そんなことを考えています。あと国民の義務は守る。


私達のかんがえている創作活動は、結果的に
「創作活動のみで生計をたてる事の実現」にも繋がって来ます
ので
それは仕事って言うんだよ!という考え方もごもっともなのですが
いわゆる旧来の音楽ビジネス的成功モデルとは違った形になるので
「音楽業界のプロとして仕事をする」といった形と区別するために
「創作を【仕事】にはしない」という表現になりました。



趣味で自家栽培した食材をふるまう目的でレストランをはじめたら、
オーナーの意識としては「栽培と収穫=趣味」「調理と接客と経営事務=仕事」
といった状態になるかと思うのですが、それに近いイメージかもしれません。
趣味で制作をして、仕事では別の職種に就くけれど、それらが合わさると
やりたかったことが実現できる。

あくまでも自然のうまみを引き出す野菜をつくることが最優先で
売り上げのために量産したり、食材を変えたりはしないレストラン。
結果的に美味しさと信頼が口コミで広がり、予約でいっぱい。
そういう、「愛され続ける小規模店」もあれば、「大規模チェーン店」もある。
どちらも必要なものだし、どっちを選ぶかは自分次第。

ELECTROCUTICAは自然から生まれる恵みを大事にする音楽農家であり、
一軒家レストランみたいなものをめざしています。






もう1点はブログコメントについてのおこたえです。

>ただ疑問を持つとTreowさんは「劇伴的な規模の大きい音楽」を目指していた、と
ブログで書かれていましたが、プロデューサーとしてはそれを目指しているのでしょうか?

>もしくはそれを如何にして可能にするかを目的にしているのですか?

>互いでの考え方に少さなズレがあるのでは、と気になりお尋ねさせていただきます。



多人数で制作する場合、考え方が完全一致するということのほうが珍しいかと思いますので
その点がなぜ気になるのか、何のためにズレの有無を確認されたいのかが
逆に気になってしまうところではありますが、
コメント欄にTreowさんが書いてくれたようですので、そちらを読んでいただければと思います。
http://ameblo.jp/shizukacircuit/entry-10802691669.html

私からの返答としては
個人的にもそうした作品に関われる機会がいただけるのであればありがたいと感じるし
Treowさんが自分の目標を達成してくれるなら嬉しいし、やってほしいです。
そして、それを実現するアイディアを考えるのは、自分にとっても楽しい事であると
かんがえています。


ちなみにTreowさんがblogに書いていた
「劇伴的な規模の大きい音楽を目指していた」という発言は
「商業作曲家として劇伴を担当することを生業にすることを最終目標にしたい」
という意味ではないそうです。
自主制作でもクオリティの高い映像に音楽をつけるような事でも良いし
逆に、自分の納得するものが作れないような状況下での作曲であれば
劇伴などの影響力の大きい企画だとしても、やりたくないと考えているようです。

「どんなご依頼でも柔軟に対応できる」事が商業作曲をするうえでは必須となるので
作曲者があくまで自己の音楽探求を重視する考えなのであれば、
商業作品の劇伴に携わることは難しいかと思いますが
そういった場合のアイディアというのも持ち合わせておりますので
私としては時期がくれば実現可能と考えています。

ELECTROCUTICAの初作として映画音楽的なもの(REVERSUS(リヴェルサス)というCD)を作った理由は
Treowさんが将来取り組みたい企画に繋げるという意図もありました。
もし映画監督さんで、こういった音楽を求める方がいらっしゃった時に
このアルバムを「こういう音楽つくれます!」といって
名刺がわりにお渡しすることができたりもしますよね。

そんなわけで、活動について今みなさまに見える部分は「点」ぱっかりなので
わかりにくいかと思いますが、こうして全て計画的に進んでおります。
あとあと、点がだんだんと増えて線になり、ある文字が浮かび上がるように
見えてくるはず。

まだ社会に出た経験のない年代の方の場合
創作の対価を得る経験や、社会経験が無かったりすると
現在プロアマ問わず多くのクリエイターさんが抱えている問題を
実感として理解するのはなかなか難しい部分もあるとおもいますが

ニコニコに投稿している作品の品質が凄くよかったからといって
「この人はプロ向き!プロになるべき!」という論理は当てはまりません。
たとえば劇伴作曲に携わりたいならば、今のTreowさんの作曲能力とはまた別の部分が
必要となってくるもので、
ただやみくもに「◎◎がやりたい!つくりたい!」といった事ではなく
「では◎◎をするために自分が今どれだけのスキルがあるのか?」
「足りない部分をどうやって補っていくか?」
「それによって社会にどんな貢献ができるか?」
という事を考えているんだよ~というお話でした。

今まで制作する中で、そうした考え方や、重要視する部分の食い違いや
不快感を感じたことは私もTreowさんもあまりなかったように認識しています。

あったとしても「きのこの山」か「たけのこの里」が好きか
みたいなことだったかと思います。