“いいトイレの時間”を学ぼう、感じよう~大ナゴヤ大学チタキャンパス始動記念授業~後編 | 空想俳人日記

“いいトイレの時間”を学ぼう、感じよう~大ナゴヤ大学チタキャンパス始動記念授業~後編

日本のトイレ文化が地球を救う(かもしれない)


 さて、「便器の上にも3年」で始まったトイレ授業。改めて、昼食会場ピッツェリア「ラ・フォルナーチェ」での、今回限りの特別メニューを改めて紹介したい。

 ミュージアム特別ランチ
●アンティパスト~常滑産たいらぎ貝とすずきのサラダ
●パスタ~日間賀島 真蛸のジェノバ風スパゲッティーニ
●ドルチェ~フォルナーチェのパティシエが作るドルチェ
●ドリンク~コーヒー・紅茶・オレンジジュース


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 注目いただきたいのが、前菜とメインの素材である。常滑産たいらぎ貝とすずき、そして日間賀島の真蛸。知多半島の地産地消が香り漂う。
 ひょっとすると、サラダに使われていた、たいらぎ貝は、私にとって初対面かもしれない。嬉しい出会い。
 さらには、パスタの味を際出たせていた日間賀島の真蛸は、新鮮コリコリ、もちもちの食感。すばらしい。今度、日間賀島での授業が開かれれば、こんな蛸料理を常滑焼の器に盛る、なあんてのもステキじゃないか。

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 さて、そんな特別メニューを味わいながら、話題は、そのうまさへの賞賛ともっぱらトイレ。食べることと出すこと(失礼?)が直結している。まさにリアリズムがここにある。まあ、さすがに「ウンコ」というダイレクトな単語は耳にしなかったが。

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 しかし、その「ウンコ」までも飛び出すことになったのが午後からのワークショップ、5グループに分かれてのディスカッションの場なのだ。いや、けっして唐突なのではない。これは、ごく自然な流れである。
 私は、Cチームのファシリテイターを勤めることになったのだが、まず、授業開始の際の30秒自己紹介でも語ってもらったトイレにまつわる想いに対し、午前の授業で学んだことを踏まえ、改めて今感じていることをメンバー一人一人に語ってもらった。変な言い方をすれば、生まれてから今日まで、トイレにまったく縁のなかった人など、いないはずだ。ただ、それは毎日の日常茶飯事の、ある意味どうでもいいこととして水洗トイレのように、洗い流してしまい、闇の向こうに葬っていただけかもしれない。

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 昼食時の一抹の不安は消し飛んだ。ファシリテイターとして口を挟む余地など殆どなかった。いや、思わぬアイデアの連発に、口を挟むどころか、開いた口が塞がらないほどだった。口にした昼食以上に素晴らしいディスカッションのシャワーがみんなの口から迸り出たのだ。
 そう、午後のディスカッションで、一人一人、自分が生まれて今日まで、どんなトイレとの関わり方をしてきたが、各自相当強烈な想いにまで高まっていることに感動すら覚えた。そして、ここに集う人たちがトイレにこだわるのは、トイレをこよなく愛してきたばかりじゃなく、むしろ自分が自己解放できる場所が唯一トイレでしかなかった、そういう人もいるわけだ。まさに、世界共通ではない、日本ならではのプライベート空間におけるトイレの時間というものが、自らのアイデンティティを確立するのに役立ってきた、そう言っても過言ではないだろうか。
 もちろん、ウンコという言葉がディスカッションで頻繁に飛び出した際にも、それを日本特有のトイレ文化を形成した時代の「宝物」というような捉え方をしているわけではない。やはり、ウンコは汚物であるという概念は誰しも共通ではあると思う。しかし、そうした物質を出せるとともに、さらには物質ばかりか感情までも吐き出せる場所、それがトイレであることに、チームの仲間たちは、みな賛同し、それを軸に「トイレかくありなん」のアイデアがチーム内に次々に生まれていったのである。

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 そして、あの親しまれた歌「トイレの紙様」、もとい「トイレの神様」ではないが、ある意味、無宗教でもある日本人にとって、トイレの価値を見直すとなれば「トイレ原理主義」を打ち立てるべきではないか、という崇高なコンセプトが確立されていったのだ。
 ただ、そのコンセプトをモロに表現しても、神をも恐れぬ、仏も八百万の神をも集約してしまう可能性もあるので、それをもっと受け入れやすくするために、エンターテイメントな展開をすべきだ、となった。
 たとえば、音楽の世界から浸透させる。トイレ好きのマドンナ、あるいは日本を愛してくれるレディガガ、彼女たちをフューチャリングして由紀さおりと歌う「トイレジャパン」というカルチャーポップミュージック。これを日本から世界に向けて発信する。
 家族の絆復活のために、引き篭もりを作るマイルームよりも勉強机も完備したよなマイトイレを推奨する。屋外では、ケータイ便器。そして、そんな日本のトイレ文化を茶道やアニメの如く世界へ輸出。
 そうした日本のトイレ文化が世界に広まれば、それこそ日本のトップカルチャーにも躍り出て、さらには世界のあちこちで起きている不況経済を打破するかもしれない。日本のトイレ文化が行き詰まった地球の文明を救うかもしれない。ままま、なあんていうような、Cチームのプレゼンテーションであった、よね。あれ、地球までいってない? 日本を救うまでだっけ?

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 他のチームの発表も、みな素晴らしい。「選べるトイレ。コーディネイトできるトイレ」「うんこ発電」「健康バロメーター式トイレ」「トイレを住まいの中心に~アクセスフリー・トイレ」などなどなど、もう、いっぱい。
 こうして、かくも大ナゴヤ大学のチタキャンパス開校準備オープンキャンパスは華々しくも期待以上の盛り上がりのうちに幕を閉じたのであった。こんな大ナゴヤ大学のチタキャンパスの授業。次回の予定は3月である。乞うご期待。

前編はこちら

“いいトイレの時間”を学ぼう、感じよう
“いいトイレの時間”を学ぼう、感じよう by (C)shisyun

授業詳細⇒ http://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/148

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