ベーカリーボンボン | 足立区のパン屋さん 台東区のパン屋さん

足立区のパン屋さん 台東区のパン屋さん

フリーアナウンサー篠崎 菜穂子が、足立区、台東区など下町のパン屋さんを紹介します。

ベル2008年9月17日(水) 

ケーブルテレビ足立「トピため」でご紹介しました音譜


中川北小学校のすぐ近くにあるベーカリーボンボンさん。オープンしたのは昭和51年12月。もう30年近くこの地でパン屋さんを営んでいます。


葛飾区柴又出身のご主人、須賀 健司(すが けんじ)さんはお父様の後を継いで10年近くご実家の製麺卸業をなさっていました。

そんな折、弟さんが「パン屋さんを始めたい」と修業を積み、この場所を見つけ、独立してパン屋さんをオープンさせることになったそうです。「いづれは何か別の商売をやりたい」と考えていたご主人も、弟さんと一緒にパン屋さんを始めることに。半年近くは製麺卸業とかけもちでなさっていたそうです。

ご主人自身も1年程、様々なパン屋さんで経験を積み、その後はパン屋さんに専念。現在はご主人と奥様の好江(よしえ)さん、そしてパートの方で経営されています。そんなご主人、実は昨年の9月に急性心筋梗塞で突然お仕事中に倒れ、一時は心肺停止状態になったそうです。そして1週間ほどICUで意識不明の生死の境をさまよい、奇跡的に快復。夢の中で三途の川を見たとか。それでも障害も残らず、2ヶ月ほどお店を休んで見事復帰しました。

そんな壮絶な経験をしたご主人。病気をきっかけに人生観が変わったと言います。今までは仕事ひとすじだったそうですが、「生きていることに感謝して、人生は楽しまないと!」と趣味で好きなドライブや歴史の探求も始めたそうです。

一方、奥さまもご主人が倒れて生死の境をさまよっていた1週間の間、奥様は他のパン屋さんのパンを食べて、ご主人の焼くパンの美味しさを再確認したそうです。そして商売がしたくて、もう一度、仕事がしたくて仕方なかったと言います。だから「お仕事が出来ることが何より嬉しい。幸せなの。商売をやっていて本当に良かった。」という言葉も実感がこもっています。それからはお二人とも健康第一と思うようになったそう。


そんなベーカリーボンボンさんの朝は常連の皆さんのおしゃべりから始まります。

店内には小さなカフェスペースがあり、ここで焼きたてのパンだけでなくお茶も飲めるんです。なので毎朝、必ず訪れる常連さんがたくさんいらっしゃるそうです。

皆さん、ここで1時間近くおしゃべりをして元気な1日をスタートさせるんですね^^ちなみにベーカリーボンボンさんの名前の由来を伺うと、弟さんのあだ名が「ボンボン」だった所からつけたんだそうです。「ボンボン」ってお金持ちの・・・と思ったら、キャンディの「ボンボン」が大好きだったからだそうで。ボンボンって私はあまり馴染みはないのですが、たぶんウィスキーボンボンとかあんな感じの飴、かな?昭和20~30年代に人気だったとか。


ご主人は「安くてお客さんが満足してくれるパンを焼きたい」と思っているそうです。「高くて美味しいのは当たり前。気軽に「パンでも食べようか」と思って欲しい。利益は少しあればいいんだよ。お客さんが喜んでくれればね。」と。



その言葉通り、最近の材料高騰を受けて本当に大丈夫なのか心配になってしまうほど、お手軽な値段。しかもどれもた~っぷり具が入っています。

このコロネなんて、はみ出し過ぎっ!伺うと「具が少ないって言われるより、多くて喜んでもらえる方が売れしいでしょ?」と。惣菜パンも種類豊富、中身もギッシリなパンが並びます。

ハード系も!

揚げパンも!!


菓子パンも豊富!!!


そしてもう1つ、お店のパンを見て感じた私の第一印象は「パンの表情が実に豊か」だということ。パン達がすごく生き生きと個性豊かなんです。

特にクロワッサンは本当にそれぞれ愛嬌があって可愛らしい。そんなボンボンさんで人気のパンを伺うと「あんドーナツ」が1番人気だそう。

何より餡子がたっぷり入っているそうです。オススメなのは「ホテルパン」や「クロワッサン」「食パン」「コッペパン」だそうです。

「食パン」も普通のプルマン型(角食型)と小さな形の2種類があって、食べてみると食感が全然違うそうです。普通の食パンは水分が多めで濃い味わい、小さい方はふわっと軽いそうです。

で、小さい食パン、食べてみました。

ふんわりと優しい香り。思った以上にふわっふわで、柔らかくて、しっとりとしていて、しかも優し~い甘さ。めちゃめちゃ美味しいです。

「クロワッサン」にも本物のバターのみを使用。そうそう、ご主人、材料のメーカーにはこだわるそうで、バターは雪印、牛乳は森永と決めているんだそうです(笑)。パンによっては森永の4.5%濃厚牛乳を使っているとか。リッチですね~。そして酵母はイーストと酒種を使用しています。

で、このクロワッサンもうまい!

まずちょっと不恰好(ゴメンナサイ)な姿に一目ぼれ。先の細い部分はパリッパリ。太い部分はバターがたっぷりでほんっとうに美味しい。

他にはないクロワッサンです。ほんのりとした甘味とバターたっぷりの贅沢な風味とコク。そして外パリッ、中しっとりの絶妙な食感。たまりません。

お店にあるものなら何でもサンドしてくれる(!)というコッペパンも、そのまま食べてもふわっとしてキメが細かく、外はしっかり中はほんのり甘くて美味しいです。

取材の時にちょうど焼いていた玄米パンも軽くて食べやすく、噛むほどに玄米の香ばしさと甘味が感じられます。その他、オリジナリティあふれるパンがいっぱい!特に目を引いたのは「インワン」(¥135)。

弟さんが命名したそうで、名前の由来は不明ですが私の勝手な想像では、パン生地とカステラが1つになったって意味かな?と。

お店で手作りしているカステラに苺ジャムを塗り、バターロールの生地で巻いたケーキのようなパンです。しかも上には砂糖のアイシングかチョコレートをコーティング。断面もきれいです。

一口食べると、きっと「この味、なんか知ってる!」と思うはず。何ってワケではないんだけれど、なんだかとってもなつかしい味なんです。カステラの甘さとジャムの酸味、さっぱりとしたちょっと噛み応えのあるパン生地がよく合います。

砂糖のアイシングの方はサッパリ系、チョコの方は甘くてケーキのような一品に。個人的にはチョコが好き。ちなみにこれ、冷やして食べてもちょっとしまって硬めでしっかりして美味しいです。「ペアレーズン」(¥135)はチョコレート好きの奥様が考えた一品。

レーズンとバターとココアと砂糖を混ぜたペースト、さらに板チョコをレーズンブレッドの生地にのせて巻いたパン。生地は白生地のことも、黒糖生地のこともあるそうです。どちらかはその日のお楽しみで^^ちなみにこの日は黒糖です。

とにかくチョコの甘いパンが好きな方にはぜひ。チョコの味が全面に出ています。それをレーズンの酸味がほんのりとアクセント付け。生地はサッパリ目です。

「Uボート」(¥125)も同じくレーズンブレッドの生地の中にピーナッツバターを入れた面白パンです。ご主人が倒れた時に他店のものを食べて特に味の違いを実感したという「バターロール」。

バターをとてもリッチに使っているそうです。生地もほんのりクリーム色でバターと卵の香りがしっかりと感じられます。ブリオッシュに近いようなリッチなロールパンです。

「カップケーキ」や「プチハニー」など小さなお菓子類も人気です。

カップケーキは蜂蜜とバターがた~っぷりで、冷やして食べても美味しいです。

プチハニーは蜂蜜感が全面に。

そしてもう1つ、ボンボンさんで特筆すべきはコレ!

何だかわかりますか?タンス・・・???いえいえ、実はこれ発酵器(ご主人によると「ムロ」だそうです)なんです!!

オープン当初から使っているそうで、何とコレ、水をガスで熱して蒸気を発生させる仕組みになっているんですよ~。多くのパン屋さんがコンピューターで管理している中、これはかなり貴重です。

ガスなので、火加減などは常に調整しているそうですよ。こんなに手間をかけて大切に作られるパン達ですから。だからあんなにノビノビと愛嬌たっぷり、なんですね^^


ご夫婦揃って「パン屋さんをやめようと思ったことは一度もない」と言います。それはやはり「物を作る喜び」そして「お客さんが喜んでくれる喜び」があるからだそうです。まさにパン作りは「生きがい」。「とにかく今、働けること、仕事が出来ることが何より幸せで嬉しい。仕事があるから遊びも面白く感じる。働けるって本当に幸せなことなのよ。」と。

先月還暦を迎えられたというご主人。「細く長くやってね。」というお客さんのリクエストに答えて、あと10年はパン屋さんをやっていたいそうです。

いつまでも皆さんの食卓にのってもらうように、パンを焼き続けますよ。」



食パンベーカリーボンボン

 住所 足立区六木1-6-28

 電話 03-3629-0880 03-3620-7353

 営業日・時間  火曜休み  AM6:00~PM7:00