(基礎知識編)赤軍派・革命左派・連合赤軍 組織関連図 |   連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)

 連合赤軍と日本赤軍は何が違うのか、テレビカメラにVサインしていたおばさんは何者なのか、永田洋子と重信房子の区別がつかない、などなど、最近のニュースで興味を持った人にとっては、左翼運動の派閥がわかりにくい。


 そこで、連合赤軍周辺の組織について、手持ちの組織図・関連図をまとめて掲載しておく。


■赤軍マップ (「赤軍―1969→2001」より )

連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-赤軍マップ

 歴史的な流れをつかむのはこの図が決定版だ。事件を中心に知りたい人は、これだけ知っていればよい。


■赤軍派発足時の組織図 (「連合赤軍 この人間喪失」より)


連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-赤軍派組織図・発足当時

 赤軍派を発足したメンバーが名を連ねている。


 田宮高麿は9名でよど号をハイジャックし、北朝鮮へ渡り、そのまま亡命した。このグループを「よど号グループ」とよぶ。


 他の中央政治局のメンバーは逮捕されているので、連合赤軍メンバーの手記では「獄中幹部」などと呼ばれている。獄中幹部は森恒夫の敵前逃亡を知っているため、森に対する評価は高くない。


 後に、連合赤軍メンバーとなる山田孝の名前があるが、当時は森より地位が上だった。そのため、森に意見することのできた唯一の赤軍派メンバーであった。


■よど号グループ(2002年3月13日 朝日新聞より )


連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-よど号グループの関係図

 「当時16歳少年」というのは柴田泰弘のことで、柴田は2011年6月に死亡した。


■京浜安保共闘の関係組織 (「連合赤軍 この人間喪失」より)

連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-京浜安保共闘の関連組織

 革命左派の組織図。連合赤軍メンバーの名前がちらばっている。「京浜安保共闘」は労働者を中心としたさまざまな組織を束ねていた公然組織(表の組織)である。新聞記事で組織名がさまざまなのはこのためである。なお、図には表れていないが「中京安保共闘」からも連合赤軍に参加している。


■人民革命軍関係図 (「連合赤軍 この人間喪失」より)

連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-人民革命軍関係図


 上記の組織図から少したって、連合赤軍結成直前の革命左派の組織図。京浜安保共闘のメンバーも山岳ベースに集められたころである。


■連合赤軍関係図 (「連合赤軍 この人間喪失」より)

連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-連合赤軍関連図

 組織がたくさんありすぎて、どこがどう違うのかよくわからない。左翼運動は組織分裂の歴史で、思想・闘争方針・人間関係などの要因によって分裂を繰り返した。特に赤軍派は一人一党といわれたほどである。


 共産党配下を代々木系、反共産党系を反代々木系という。名前がまぎらわしいが、永田洋子・坂口弘の「日本共産党革命左派」は反代々木系で日本共産党と対立関係にある。


■日本赤軍組織図 (ネットより)


連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-日本赤軍組織図


 日本赤軍のリーダーは重信房子で、2000年9月に逮捕された時、カメラに向かってVサインをしていた人である。重信は、森恒夫と折り合いが悪く、独自の路線に舵を切り、アラブへ旅立った。


 PFLPというのは、パレスチナ解放人民戦線のことで、PLO(パレスチナ解放機構)にも参加する過激派である。


 重信は人気者で、赤軍派時代はオルグとカンパに手腕を発揮し、「微笑外交」とか「ポン引き外交」とかいわれた。アラブへ行ってからは、結集を呼びかけ、日本から多くのメンバーがアラブへ渡った。さらに、ハイジャック闘争で、連合赤軍や、東アジア反日武装戦線、はては一般刑事犯まで釈放させ、日本赤軍に結集させた。


 ごった煮集団だが、コマンド(軍事)志向のメンバーを集めたことが特徴的である。


■京大パルチザン

 赤軍マップで、日本赤軍と点線でつながっているが、これは、京大パルチザンが重信房子を手配師としてアラブへ渡り、テルアビブ空港乱射事件を起こしたからである。


 京大経済学部助手の竹本信弘(ペンネーム・滝田修)の革命理論の影響を受けたノンセクト・ラジカル(党派に属さない過激派グループ)である。


■東アジア反日武装戦線

(右翼にも愛読された腹腹時計)
連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)-腹腹時計(東アジア反日武装戦線<狼>)


 赤軍マップに突如現れる「東アジア反日武装戦線」について説明しておく。


、1970年代に三菱重工爆破など連続企業爆破事件を起こした独特のグループである。他の組織は民間企業をターゲットにすることはなかったので、日本中が驚いた。


 なぜ民間企業を爆破したかというと、戦後も大企業はアジアを経済侵略し、彼らを隷属させ、利益を搾取している、したがって大企業は現在進行形のアジア侵略者である、という思想にもとづいていた。この歴史観は他の左翼とは一線を画している。


  「東アジア反日武装戦線」というのは総称で、実際の組織は「狼」「大地の牙」「さそり」から成っている。大道寺将司の「狼」に共感したり、爆弾指導を受けたグループが、「大地の牙」「さそり」である。


 「狼」が出版した「腹腹時計」という爆弾製造法やゲリラの心得を書いた教本は、左翼過激派だけでなく、右翼や公安にも幅広く読まれた。


 それぞれのメンバーは以下の通りであるが、重信房子に好まれたようで、日本赤軍のハイジャックによって3名が出国した。


・「東アジア反日武装戦線・狼」

 大道寺将司(死刑確定)

 大道寺あや子(→日本赤軍・指名手配中)

 片岡利明(死刑確定)

 佐々木規夫(→日本赤軍・指名手配中)


・「東アジア反日武装戦線・大地の牙」

 斎藤和(逮捕直後自殺)

 浴田由紀子(→日本赤軍→逮捕→懲役20年))


・「東アジア反日武装戦線・さそり」

 黒川芳正(無期懲役)

 宇賀神寿一(懲役18年→2003年出所)

 桐島聡(指名手配中)


 このグループのメンバーは、他の組織でみられる様な責任の擦り付け合いがなく、とても仲が良い。この点でも他の組織とは一線を画している。