軍事と食の不思議な関係を経済学は説明できない【ヤンの字雷】 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム
本日は、政経人気ブログランキング赤丸急上昇中のヤン様の寄稿コラム、【ヤンの字雷】をお届けします!

本日も知らない話があって、非常に為になりました。

しかも主流派経済学の「自由市場でイノベーション」の間違いを鋭くつく論考にも納得。

日本の経済学者が「瑞穂の国の経済学」を築き上げるにはヤン様の思想に触れなければなりませんね。

それではヤン様のコラムをどうぞ!


人気ブログランキングへ


『軍事と食の不思議な関係を経済学は説明できない【ヤンの字雷】』






タイトルがそもそも”不思議”過ぎて「ん???」となった方も多いと思います(笑)
軍事と食という「全く分野の違うものが、実は歴史的にも密接につながっている」という事実を解き明かし、そこで沢山のイノベーションが生まれたと提示し、そのあとで経済学の言う自由市場でイノベーションだとか構造改革でイノベーションだとか、いかに陳腐でくだらない代物なのか?と書いていきたいと思います。

本膳料理という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
室町時代に確立された日本料理の形式でして、それまでは饗宴というと一つの机に大皿で料理を盛って、それをそれぞれが食べるという、現代のバイキング形式のような形だったそうです。
ところが室町時代に入りまして武家は、自分の主(あるじ)をお招きし、そこで振る舞う料理として1人に対して一膳ずつ出していく本膳料理とう形式が確立したのだそうです。

主を自分の屋敷に招くことを「御成(おなり)」といいまして、主にしてみればそこで権威付けができ、家来は自分の経済力や強さ、有能さをそこでアピールしたのだそうです。
その重要な要素が本膳料理でして、ようするにどれだけ豪華な料理を出せるか?が格付けになったそうなんですね。
将軍家を三好家が招いた記録が残っているのだそうですが、その饗宴に出された本膳料理を含めた予算はなんと(!)現在の金額で800億円だそうです。
将軍家のお供の者にも振る舞ったそうですから、たいそう豪華かつ盛大な饗宴だったのでしょう。

当時の武家とはいわば軍人であり、政治家であります。
つまり日本料理の発展は密接に当時は、軍人である武家が関わっていた、というわけなんですね。
そうして本膳料理という懐石の礎になる日本料理が、経済学の言うイノベーションを起こし、発展したわけです。
さらに言及しますと本膳料理とは様々な形式、儀礼、要するに規制がありまして、経済学は規制緩和でイノベーションとお経のように唱えますが、規制をつくってイノベーションを遂げた例としてなかなかに興味深いと思いませんか?

さて、上述したものは政治の色合いも濃いので「軍事じゃないじゃん・・・」と仰る方もおられるかもしれません。
ではかの有名なナポレオン・ボナパルトに目を向けてみましょう。
皇帝となりましたが、もともとは彼は生粋の軍人であり、戦争の天才などと呼ぶ声もあるようです。

ナポレオンは遠征することも多く、兵士に新鮮な食料を与えないと壊血病になることから「なんかアイディアないんかい!」と募集した所、缶詰の原型たる瓶詰めが発明されたとのことです。
軍隊というのは経済学が前提とする平時において、非常に生産性の低い(というか0)の組織ですし、しかも軍の装備などを「自由競争で落札!」なんてことを経済学の言う「自由な市場」の理念でやった日には、情報ダダ漏れ、品質ダメダメ、とかなるので基本的に研究も装備品の調達も「がんじがらめ」なんですね。
・・・・まぁ当たり前で情報漏えいや品質の低下は、軍の士気や力に関わってきますから。

つまり経済学が言う「自由競争でイノベーション!規制緩和でイノベーション」が正しいのだとすると、軍隊とはおおよそイノベーションから程遠い存在じゃないとおかしいでしょう?
でも軍事から生まれた発明で、我々の生活に入り込んでいるものは数知れません。

ティッシュペーパー、サランラップ、缶詰、レトルト食品、フリーズドライ製法、マーガリン、インスタントコーヒー、点字、ランドセル、正露丸、学生服、テレビゲーム、腕時計、デジカメ、携帯電話、光ファイバー、ロケット、コンピュータ、電子レンジ、ジェットエンジン、カーナビ、テフロン加工etc・・・・・・・ハァハァ(息切れ
こ、これくらいにしておきましょう。数え上げたらキリがないんですよ(笑)
ん?食に関係のないものが入ってる?いいんです(スットボケ)

この数々の実例とそれが軍事によって発明された歴史から、経済学の主張する「規制緩和と構造改革と自由市場でイノベーション!」なんて真っ赤な嘘っぱちだったというわけです。
そして軍事において数々のイノベーションが起こったのは「相手国と張り合えるくらいじゃないと安心できない」という、純粋な安全保障、抑止力の”必要性”からなんですね。
「必要は発明の母」とはよく言ったものです。

さて、必要とは何から生まれるか?というと目的から生まれるわけです。
軍事であれば抑止力を得る、もしくは相手国より優位に立つための「技術開発」がイノベーションを起こしてきた歴史なわけです。
であれば国にとっての目的とは何か?勿論ながら民主主義国であり、主権国家であり、災害大国である我が国においては「国民が豊かになること、安心して暮らせること」以外に何かありますか?

そして必要とは言い換えれば「需要」と言えます。
災害から国民を守るという目的から生じるのは、耐震性に優れた建物という”規制”と”需要”であり、強靭なインフラであり、冗長性のあるインフライ整備計画であります。
豊かな国民生活という目的から生じる必要なもの、つまり需要は仕事があることであり、普通の仕事で国民が生活でき、結婚でき、つつがなく生涯を送れる社会です。
その社会を整えるためには、やはりある種の規制や、もしくは国土の整備、そういったものが国の役割となるでしょう。
豊かな日本の自然と共存したい、という目的であれば、自然と共存できるインフラなどを研究開発せねばならないでしょう。

こう考えてみますと「自由競争」だの「自由市場」だの「自由貿易」というのはツールにしか過ぎなくて、目的にはなりえないので「何らかの必要、つまり需要」を生み出すことはありえないわけですね。
むしろ手段と目的がすり替わると、大概ろくな事にならないのは皆様の経験上、もしくは歴史からもご案内のとおりです。
なんらかの必要を生み出さない単なる手段、ツールではイノベーションが起こるはずもありません。
目的があるから必要があり、必要=需要であるから研究開発が進む、また技術者たちも情熱と努力を発揮する、予算がつく、こういった循環がイノベーションにはあるように思います。

結論しますと
「自由だからイノベーションが生まれる!」「競争するからイノベーションが生まれる!」というのは単なる幻想、デマゴーグにしか過ぎないと、非常に高い確率で断言可能です。
むしろ軍事にしろ国家にしろ、目的を定めたときにこそ、その目的達成に必要な方向にイノベーションが生まれるのではないか?
さらにその過程において方向性の違う様々なものも、努力の結果の偶然として生み出されるのではないか?
「必要が発明の母」なのであれば、その必要を生み出すのは「目的」なのだ、であれば日本に今必要なのは「経世済民」という目的なのではないか?と思います。

P.S
まさか本膳料理から経世済民に結びつくとは、実は書いている最中に私も思ってませんでした(笑)
かくも不思議に世の中の歴史というのは、知れば知るほど、色々な教訓と示唆を含んでおりまして、歴史とは人の生きた証のドキュメンタリーと捉えることが可能だと思います。
社会科学や歴史、哲学などは非常に多くの示唆を含むものですが、受け取り手の経験や知識、度量により解釈の仕方が様々に変わります。
若い頃は英雄譚などが好きだったのですが、現在では料理史に何故かどっぷりハマっております(笑)
考察を重ねるほど、主流派経済学の浅はかさが浮き彫りになりますが、主流派経済学を信じ込む人たちってのは、基本的に思考回路が薄っぺらいんだと思うんですよね。
今回は娯楽回として、色々と書いてみましたが、考える一つのきっかけになれば嬉しいなと思います。



(了)
ヤン様の記事をもっと読みたい方は下記ブログへ!

↓  ↓  ↓

反新自由主義・反グローバリズム~コテヤン基地

http://ameblo.jp/yangh-wenly/



発信力強化の為、↓クリックお願い致します!


 ↑年内、50位内が目標!!