『政府の嘘を見抜く方法【ヤンの字雷】』 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム
本日はヤン様の寄稿コラム、【ヤンの字雷】をお届けします!

堤未果氏の著作の解説で知らなかったことを知り、安倍政権のお話で頭の中を再度整理することができ、非常にお得感のあるコラムです。

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それではヤン様のコラムをどうぞ!


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『政府の嘘を見抜く方法【ヤンの字雷】』




本日は堤未果氏のご著書、政府はもう嘘をつけないの最終解説になります。
3章、4章ともに主題は「政府の嘘をお金の流れなどで暴き、事実を見つけよう」というようなテーマでございますので、もうまとめてしまえっ!と言うのが本日の記事になります。

ただ3章、4章は多くの事例を上げて「どうやって事実をつかむか?」に費やされておりまして、その事例一つ一つを解説していくのは困難ですので、ポイントと私見によって記事にしたいと思います。

例えば香港の雨傘革命。これは15歳のウォンという少年が、フェイスブックを立ち上げ、組織を作り運営し、中国の腐敗と縁故主義をやめよう!と訴えかけたデモ行動でした。
表面上から見ますと「お、なんだか15歳の少年がそんなことをするなんて、なんて凄い!素敵なことなんだ!」という印象を受けます。
しかしながら堤未果氏は事実を提示しながら、背後にはアメリカがいることを指摘しております。

どういうことか?
香港民主党のマーティン・リー元主席は雨傘革命の主催者の一人ですが、彼が全米民主主義基金(NED)というアメリカ国務省の配下の団体とつながり、15歳の少年ウォンに、この団体が資金提供をしていた、と言うのが真相だということです。
この目的は何なのか?中国の民主主義化か?と言うと、マーティン・リーとNEDの会談映像が暴露され、その中ではこう語っているようです。
「香港の役割は、中国全土を欧米流の機構、権益でに染めることだ」

アメリカはフェイスブックやツイッターなどでも、軍事的、政治的な工作をしているというのは事実らしく、中東などのカラー革命、もしくは今現在はキューバに対して工作しているようです。
マスメディアが頼りにならない、ジャーナリズムなど無い、というのはもう周知の事実ですが、ネットですら情報には「何かの思惑」によって流されているものが多い、ということが見て取れます。

ここからは私見で、どうやって正しい情報を見極め、判別していくか?ということについて、書いていきたいと思います。
ただこれは「◯◯マニュアル」というような話ではなく、膨大な思索の旅に出ることになる話だと思います。

さて、情報を見極めるには、極めて自身の知性と思考が試される作業といえるかと思います。
身近な例をあげますとSEALsなんて団体が日本にもありました。彼らは「戦争反対!」「民主主義を守れ!」と言うのが主な主張だったと思いますが、この場合、民主主義を守れば戦争が起きないかどうか?を考える必要があります。
端的に言いますと民主主義でも戦争は起きます。例えば中国相手には日本が民主主義国家であろうかなかろうが、関係のない話であり、実際に尖閣諸島に危険なチャレンジを仕掛けてきてます。
こう考えますと一見もっともらしい「民主主義を守って、戦争反対!」というロジックは、あまりにも印象論にしか過ぎないことはご理解いただけると思います。

そしてSEALsに対しての私の最初の違和感は「若者」というキーワードでして、雨傘革命にも通じるものが有るのですが「若者が行動を起こすのは素晴らしい!」という固定観念が、近代概念の中には埋め込まれている気がします。
私見で言いますと20代そこそこで、ほとんど社会人経験もない人間が政治を語るというのは、新入社員が会社の経営を語るのに似ています。無理でしょ(笑)

若者の中にもしっかりとした考え方を持った人がいること、それ自体は否定しませんが、往々にしてそれは理想主義的になり、現実的ではないことが多い、というのもまた事実でしょう。
常識で考えればこうなるんですけど、何故か「若いから素晴らしい!」という無条件の思い込みが自身の目にフィルターを掛けると思うわけです。

自由貿易や自由競争、グローバリズムも「自由だから無条件で素晴らしい!」というフィルターを掛けて見る人のなんと多いことか(!?)
まずは情報を見極める上で、可能な限りフィルターを取り払うことが重要かと思います。
その上で何に要点を置くか?ですが、堤未果氏は「お金の流れ」に要点を置けば見えてくる、と主張されておりまして、それも一つの方法だと思います。

私の場合は「人間というもの」に視点を置けばよいのではないか?と思っています。つまり、人間というものの本性、本質は歴史から様々、その綺麗な部分、美徳から醜悪な部分まで刻まれております。
そしてそれが何によって発現するか?というと環境や風習、慣習、文化、伝統等によって左右されるのではないか?と思います。
要するにある程度、人そのものを束縛する環境やコミュニティがないと、人間というのは醜い面が表面化すると思うわけですね。

例えば中野剛志の言を借りますと、東北大震災の時に、被災者の方々は非常に穏やかに、協力しあって、秩序を保って行動をされました。
この事自体は賞賛するべきものであり、なんら否定されるものではないのは確かです。
しかしもう一歩、思考を進めてみるとそこには「政府に対する信頼」があったのではないか?ということです。
「必ず助けに来てくれる。それまでの辛抱だ」という訳です。

これが政府がしっかりしてない東南アジアなどだと「いつ助けが来るかわからない、なら家族のためにも食料を!」となり暴動になる、というのも理解可能で、一概に「日本人の民度」だけのおかげ!と思うのもまた違うのかもしれない、という訳です。
そこには様々な要因、例えば震災大国に住み続けた遺伝子、それによって育まれた振る舞い、慣習、そして政府への信頼などが存在するわけです。
個人的には東北大震災と被災者の方々の振る舞いを見て、涙し、誇りに思った一人ではありますが・・・・。

おっと、かなり話がそれてしまいました(笑)
つまり人間というものの本性を見つめつつ、全体を俯瞰すれば、特定のベクトル、プロパガンダ的な情報というものに違和感を見つけられるのではないか?と思うわけです。

堤未果氏の情報の見極め方が演繹的であるとするならば、私の場合は帰納的に全体を俯瞰しつつ、ということになるでしょうか。
どちらが良いというわけではなく、ご自身にあった方法を選択して頂けたらと思います。
これで堤未果氏のご著書「政府はもう嘘をつけない」の解説は終わりなのですが、最後に安倍政権について少し書きたいと思います。

安倍政権支持者はとかく個別に「ここがこうなった、あそこはこうした、代わりがいない」と各論で論じて、自分の信じる方向、信じたい方向に話を持って行きます。
しかし提案したように全体を俯瞰した時、いかに安倍政権が「嘘をついてきたか」と言うのは明明白白な事実です。

2012年末まで「TPP断固反対!」と掲げていたのにもかかわらず、2013年3月にTPP交渉参加。
瑞穂の国の資本主義と総裁選で仰られていたが、蓋を開けてみると欧米型のグローバリズム・新自由主義的な規制緩和の嵐。
「この道しか無い!」と言いながら進めたアベノミクスは、小泉改革の焼き直しに過ぎず、政権発足から4年近くたってようやく財政出動という迷走ぶり。
外交に至っては日韓合意を2015年末に結び、世界中に「Sex Slave」のイメージを流布し、さらに最近はすでに10億円を振り込んで、慰安婦像の撤去はまだという話だそうです。
また移民に関しても同様で、高度人材と言いながらメイドを入れるらしい・・・・(呆

これらの事柄は安倍政権が「新自由主義・グローバリズム」というイデオロギーにこだわっており、国境を低くするのが基本のベクトルであることを示しています。
であれば安倍支持者は「自分たちは保守でも何でもなく、新自由主義者だ」と表明するか、さもなければ反旗を翻す以外、論理的にはあり得ません。
※そもそも新自由主義(ネオ・リベラリズム、リバタリアニズム)と保守主義(ナショナリズム)は両立しませんしね。
※リベラリズムとナショナリズムならば両立し得るんですが・・・・

こうして論じてみますと、堤未果氏はリベラリズム陣営だと思うのですが、ご著書に賛同する部分が多く、非常にまっとうな論者かと思います。
しかし脳天気な”保守を気取った”安倍支持者で、全体論として筋が通った方は、寡聞にして知りません。
なぜ彼らはこのような「倒錯」に至っているのか?これもまた機会があれば論じてみたいと思います。


(了)



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