☆☆☆☆+
2010年10月30日 新潮社 315p
○辻村深月「ツナグ」読みました。
今日はクリスマス!ということで、心温まる一冊を紹介します。
この本は、「ツナグ」という使者が、死者と一度だけ合わせてくれるという設定の連作短編集です。死者も生者もこの権利を使えるのは一回限り。原則、生者が「ツナグ」を探し出して、依頼し、死者がその申し出を断ることもできるという設定です。この絶妙な設定が物語を面白くします。
生者と死者の相手を思う気持ち、等々、いろいろな出会いがあります。ストーリーだけ書くと陳腐にも思えますが、知らず知らずのうちに、涙が出てくる作品です。たぶん、泣かせようとして書いているわけではないとは思うのですが、でも泣けてきます。
そして、読み終わった後の読後感もよく、人に薦めたくなる作品です。久しぶりの良書に巡り会えました。Y085
以下、覚え書きです
「アイドルの心得」 yom yom vol.12
平瀬愛美は、職場での人間関係がうまくいかず、いろんなことに自身がない働く女性。酔っ払ったとき、偶然出会ったバラドルで急死した水城という女性芸能人と会いたいと、ツナグに依頼します。。。
「長男の心得」 yom yom vol.13
畠田靖彦は地方で工務店を経営する社長です。山の権利書が分からないという理由で、ツナグに母親と会いたいと依頼します。。。
「親友の心得」 yom yom vol.14
演劇部の嵐と御園は高校の演劇部で一緒の大の仲良し。でも二人の友情が信じられなくなった嵐は、ある行動に出ました。そして、御園は自転車で事故死。嵐は御園に会わせてくれるよう、ツナグに依頼します。。。
「待ち人の心得」 yom yom vol.15
土屋は30過ぎても独身。偶然出会ったキラリとつきあっていて、プロポーズしたとたん、キラリは行方不明、それから7年。土屋はツナグに依頼します。。。
「使者の心得」 yom yom vol.16
現在、仮のツナグ役をしているのは、高校生の歩。祖母からこの仕事を引き受けるように言われ、見習いをやっているのですが。。。
追記
映画にもなっていたのですね。こちらは見ていません。
書評:本屋大賞 はこちらです・・・
書評:現代小説? はこちらです・・・
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