村上春樹 スプートニクの恋人 を読みました.主な登場人物は,3人.語り部であるぼく,22歳の小説家志望のすみれ,39歳で夫がいるミュウという女性です.
すみれは,とある結婚披露宴で,ミュウと意気投合し,ミュウの所で働くうちにミュウに恋をしてしまいます.ぼくは,小学校の先生で,すみれの大学の先輩にあたりますが,すみれのことが好きです.でも,すみれの心は,ミュウの方に向いています.
あるとき,ミュウから突然電話が入ります「すみれが消えてしまった」.その電話を受けて,ぼくはギリシャに飛び立つのでした・・・
物語の前半部分は,比較的ゆっくりとしたテンポで進み,それぞれがどのような生い立ちでどんな性格なのかわかるように,丁寧人物描写されています.ぼくがギリシャに向かう後半部分は,物語に引き込まれ一気に最後まで読んでしまいました.
読後は,心に孤独感があふれてきてしまいました.村上春樹の物語は,うまく説明できませんが,どこか,心の奥にひっかかります.こういう理解しがたい心の引っかかりが,村上春樹の物語の力なのでしょうか?
物語の中には,髪の毛が一晩で真っ白になってしまったというようなエピソードも出てきます.ちなみに,スプートニクとは,1957年10月ソ連で打ち上げられた人類初の人工衛星のことです.
- 村上 春樹
- スプートニクの恋人
☆☆☆+
1999年4月講談社 2001年4月講談社文庫