Pina 踊り続ける命 | LIVESTOCK STYLE

LIVESTOCK STYLE

風琴工房詩森ろばのブログです。

観てきた映画のことを書こうと思います。


高校生のころ
モダンパレエをやっていたのですが、
ノイエ・タンツっていうドイツ系の流れを
大きく汲んだ先生に教わっておりましたので
ピナの振り付けっていうのはすごく
親しみやすいものなんですね。
舞台を見ていても、
パッと振り写しできそうなものがあります。
胸からつられてコンストラクションで落ちる
とか、
そのまま床に胎児のように寝転がる
とか、
腕の使い方とか、
懐かしいくらい。


なのに。


ピナの凄いところは、
ドイツ表現主義の流れのダンスをけっこう見てるよね、
っていうわたしにも、
まったく新しく、
そしてほかでは見たことのないものに
見えるところです。
ポジションとかバレエの伝統をちゃんと守っていて
そんなに崩してないのに、
いつも生まれたてみたいな
真実のオリジナルに見える。
ある程度振りを分解して見ることが
できているハズなんだけど、
なんでこんなに揺さぶられるのか
解析できない。



いつもそう。



新奇なことなんてひとつもしていないのに
圧倒的に知らない場所に
けれどどれもこれも
見覚えがあってほんとうだ、と
信じられる身体の記憶に、
連れて行ってくれるダンスだった。



今回は、
予告編だけ見たときは、
そっかー、
外とかで踊るんだー、
うわ~ヴェンダース、
相変わらずスノッブな映像で好きくないなー、
とか思ってたんですけど、
じっさい観てみると、
素敵すぎるロケーションとか
スキのなさすぎるカメラワークとか
ものともしない身体の嘘のなさ。
自然よりホンモノの身体がこの世にあるだなんて!!
スタイリッシュ、
なんてオシャレで空虚な言語を跳ね返すほどの。



これだけのダンサーをこんなにたくさん残して
逝ってしまったんだなあ、
やっぱり凄いんだなあ。
ピナはとくべつ、だ、と思った。



ただ、ピナのダンスを観る以上の発見は
ない映画だったかもしれないな。
インタビューもセンチメンタルに
ムーディに編集されていて、
わたしはあんまり好きじゃなかった。
それが残念。



なのでいちばん思ったことは、
新作をライブで見たい
ピナの新しい作品を、ということ。
それから。
来日はだいたい見てるつもりだったけど、
もちろん見逃してるのもあって、
それをいまさら後悔したってこと。
あと。
圧倒的に3Dにする必要なかったよね、
ってこと。



あとわたしが観たいのはむしろ
「夢の教室」のほうなんだろうな、ってこと。



あ。
でももちろんステキな映画でしたよ。
とくに、
ピナのダンスを観たことのない
若い俳優はぜひ観たらよいと思います。
ピナのダンスを誤解なく、
ちゃんと観ることができます。
オススメです。