「"私"を生きる」 | LIVESTOCK STYLE

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風琴工房詩森ろばのブログです。

というタイトルの映画を観てまいりました。
ドキュメンタリ映画です。
国旗掲揚・国歌斉唱に抗ったり、
教育委員会からの指導に抗ったりした先生たちを
描いた映画でした。


想像していた以上の権力の圧力に茫然としたし、
でもそんな先生に教わる機会を得た生徒たちが
羨ましくもあったな。
だってみんなとってもステキな先生なんだもの。


国家斉唱の際、着席したということで
6か月の停職(停職ですよ!!停職。おかしいでしょ?)
になった根津先生は家庭科の先生です。
「男女差別やいろいろな差別がいちばん具体的なかたちに
なったものが家庭科だから。」
と家庭科の先生を選びました。
まだ男子は「技術」
女子は「家庭科」という時代のことです。


手作りの教科書を作り、
セクシャルマイノリティなどについても
授業を行ってきました。
そのたびに弾圧され、
いろいろな処分を受けてきました。
停職になって「校門登校」を続けている先生がいる、
というのは知っていて断片的な知識で
もっと武闘派のもっと思想的な先生を想像していましたが、
優しくて穏やかで知的な語り口の
とても魅力的な女性でした。


この映画では根津先生はじめ三人の先生が
取り上げられています。
教育現場では弾圧が続き、
自死する方も増えているそうです。


取り上げられた先生のひとり
土肥先生は、
なんどもなんども人権という言葉を使われます。
「戦争になったら間違いなく人権は無視される。
だから平和でなければならない。」
と言います。


無頼茫々というお芝居でわたしが書いたセリフ。
これは大正時代の
貧しき人々のために人権について教える先生のセリフです。
多根さんが演じてくださいました。


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世界で初めて人権を高らかにうたったのは
アメリカの独立宣言でした。
曰く
「我らは以下の諸事実を自明なものと見なす.
すべての人間は平等につくられている.
創造主によって、
生存、自由そして幸福の追求を含む
ある侵すべからざる権利を与えられている」。

西暦1776年のことです。

その独立宣言を参考にして革命後のフランスで
人権宣言が行われました。

人権宣言、その第一条

「人は、自由、かつ、
権利において平等なものとして生まれ、生存する。」。

ここで大切なことは、
このふたつの宣言が指し示すように
人は生まれながらにして平等である、
ということを素直に信じることでしょうか。


この「人には人権があり、
それは犯さざるべきものである」という考え方が、
わたしたちがそれを発見してから、
まだ100年もたっていない
あたらしい考え方なのだということのほうが
より重要なのではないか、そうわたしは考えています。


生まれたての赤ん坊がひとりでは生きていけないように、
若い思想はその是非について検討すると同時に、
手厚く守り育てていかねばならないものです。
なぜならば、「人は生まれながらに平等である」
という宣言がなされたということは、
その前提として、不平等な社会があったということです。
つまり社会というものは、そのまま、自然のままにしておけば、
基本としては不平等なものとして運営されるということを
長い歴史が証明しているとも言えるのです。



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民本運動、自由民権、ということばを調べる中での
わたしの実感をそのまま言葉にしたものです。


機会を作って、
ぜひ観ていただきたいな、と思う映画です。
観てどう思うかは自由だと思うのですが、
2012年のわたしたちの現実を
知る権利があると思うのです。
とりあえずは2月6日まで毎朝10時、1回のみ
渋谷のオーディトリウムでやっております。