エル・ブリの秘密 | LIVESTOCK STYLE

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風琴工房詩森ろばのブログです。

前々から見たかった映画、
「エル・ブリの秘密」を見てまいりました。



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「エル・ブリの秘密」
なんだそれは、と思われると思いますが、
たった45席のレストランに
毎年200万件の予約が殺到するという
「世界でいちばん予約の取れないレストラン」
と言われた「エル・ブリ」のドキュメンタリフィルムです。


エル・ブリのことは前々から知っていました。
フェラン・アドリアというカリスマシェフが率いたレストランで
バルセロナから160キロの海岸沿いにあり、
何度も世界一に輝いています。
そして、この夏、
絶大な人気のうちに閉店し、
料理財団を作ったというニュースにも注目していました。


そしてドキュメンタリフィルムが好き、
ここ数年映画館で見てるのがほとんどドキュメンタリ、
というワタシとしては見逃すワケにはいくまい、
ということで、
一も二もなく見に行ったのですが、



面白かったー。



エル・ブリはもともと半年営業し、
半年は次のシーズンの研究に当てるんですね。
その研究シーズンからはじまって次のシーズンの
開幕までを
ほとんどなんの説明もなく、
淡々と撮っただけの映画です。


料理って言っても
なんか科学の実験みたい。
同じ材料で調理法をさまざまに試し、
味見して、
パソコンでデータ管理。


料理を作るあいだ、
フェランの口から何度も出るのは
「驚きを」
という言葉。
世界最先端の料理を作るエル・ブリでは
美味しいだけではダメ。
4時間の間にでる35皿の料理が、
すべて新しい食感と驚きに満ちていなければ
ならないのです。
「わたしたちは前衛の料理を作っているのだ。」
とフェランは言います。
たしかに見たことも聞いたこともない料理ばかり。
吉兆など日本の懐石に多大な影響を受けたフェランは
「ゆず・マツタケ・抹茶」など
日本の食材も自在に使用していますが、
そのなかに
「オブラート」
があったのには驚いてしまいました。


フェランはレストランのスタッフに説明します。


「オブラートはほとんどデンプン質でできている。
日本人はこれを驚くべきことに、
薬を飲むのに使用している。」


いや・・・料理に使用するほうが驚きなんですけどね。


オブラートでくるんだ
水に溶けるラビオリは、
映画の公式サイトのトップページに写真がありますよ。


この映画の魅力は、
公式サイトの中にある、
結城摂子さんのインタビューの中にある、
この言葉に尽きると思います。




「試す前から“そんなのダメ。出来ない”と思わずに、どうしたら出来るかの、チャレンジ精神。ですからこの映画は、食の世界のみならず、クリエイションをする人には、ジャンル問わず、ある刺激になると思います。彼らが、オリジナリティをどうやって探し、どうやって構築していくのか。オリジナリティを生み出そうとする人たちの苦しさ、闘い、いかにチェックをするかなどのディテールが細かく描かれていますから。自分のオリジナリティとは? という気持ちになりますよ」




来年度のことを真剣に考えるべきこの時期に
ほんとにいいもの見たな、
と思います。
地味な映画であっというまに終わっちゃうそうだけど、
興味のある方、
ぜひご覧になるといいですよ。
シネスイッチ銀座でやっております。
オススメです。