ぬか床ワークショップ実施いたしました | 季節の仕込み帖

季節の仕込み帖

季節の素材を使った保存食などを作ってます。
のんびり・ちまちま・おうち仕事。

去る25日(月)、満席で6名様のご参加をいただき、

ぬか床ワークショップを実施いたしました。


朝から雲行きが怪しく、ちょうど始まる30分前あたりから雨が降り出し、

キャンセルが出るかなと思いきや、皆さんお子様連れで全員ご参加くださいました。

お足もとの悪い中、どうもありがとうございました。


まずは、我が家のぬか床の一部を持参したので匂いを嗅いでいただきました。

そしてぬか漬けのご試食。8時間漬けたきゅうり、10時間ほど漬けたオクラと山芋。

「おいしい」と言っていただけ、なによりです。

(オクラは今一つのものだったようで筋っぽく、すみません・・・汗

こういうぬか漬けがご自宅で、好きな時に漬けられますからね~~~音譜


そして、実演しながら、各々でご自分のぬか床を作っていただきました。

使用したのはごくごく一般的ないりぬか。

今後、足しぬかをしながら続けていただく上では、手に入れやすいものが一番です。

この匂いも嗅いでいただき、熟成したぬか床と全然違うことがおわかりいただけたかと思います。

乳酸菌と、野菜のうまみの力がいかに大きく作用しているか、ということですね。


この乳酸菌、人間の体から沢山出ているとのこと。

それも!授乳中の女性からは「フェカリス菌」という良質の乳酸菌が出ているそうです。

まさに赤ちゃん連れのお母さんにうってつけではないですか!

ここはぜひ、素手でかき混ぜていただきたいです。


通常、お湯をわかして冷まし、塩を加えて塩水を作るのですが

今回は作業の都合上、あらかじめ塩水を用意しておきました。

使用した塩は、満潮の時の海水のみを使用し、陶板に広げて天日でじっくり乾燥させ

一切加熱処理をしていない、正真正銘の天然の塩です。

味の馴染みがよく、自宅で試作をしたときに、ぬか床がこなれるのが早くて驚きました。

塩の力も、あなどれません。


出来上がったぬか床をジッパーつき保存袋に入れ、捨て漬け用のくず野菜を入れて、完成。

簡単で、皆さん拍子抜けされたのでは?

まあ、ぬか床は、作るよりもその後の手入れのほうが手間といえば手間ですからね・・・

でも、そのあたりも、日々の手入れ法、いかに楽にやるか。面倒になってきたら潔く冷蔵庫へ。

途中中断しても、ぬか床を捨てる必要はなし!めったなことでは腐りませんとお話ししました。

それぞれのご家庭で、やりやすい形で、気楽に続けていっていただければと思います。


今回、ごくごくスタンダードな手順で作りましたが、発酵を促進させるための裏技アイテムも投入。

参加して下さった方と翌日お話しする機会があったのですが、

捨て漬け野菜もすでに美味しく漬かっていたとのことです。おおお~、効果てきめんアップ


いま、ぬか漬けはスーパーでも買えるし、ぬか床も「買ったその日から漬けられる」という

熟成済みのパック入りぬか床があります。通常熟成には1週間ほどかかるので、実に画期的です。

そういう便利なものが出回っている中、あえて昔ながらの作り方でワークショップをしたのは、

やはり日本人として、昔から受け継がれてきた伝統食を、これからも引き継いでいくべきだし、

でも、親世代ですら作らなくなってきているものを(私の母は一切やっていませんでした)

どうやって若い人が作り方を覚え、子供たちに伝えていくの?という思いがあるからです。

簡略化されて便利になること、効率が良くなることは素晴らしいことですが、

それも、スタンダードを知っていてこそ、であるべきではないかと思います。

今回、昔ながらの作り方をいったん覚えてしまえば、これから簡略化していくことはいくらでもできます。

でも、その逆はなかなか難しいですよね。

そういう意味をこめて、いりぬかから作るぬか床をお教えしました。


とはいえ。何から何まで昔ながらのやり方が一番良い、というわけではないと思います。

食習慣も、家族構成も、住宅事情も昔とは大きく変わってきています。

毎食ぬか漬けを食べるわけでもないし、家族の人数も減っていて食卓にあがる頻度は低い。

かつては台所は北向きの寒い場所にあったけれど、いまは気密性の高いマンションで、

どうかすると台所が一番暑い場所だったりする。収納スペースも限られている。

昔と同じ条件でやろうとすることには無理がありますし、それぞれの生活スタイルに合わせて

現代のやり方にアレンジしていくべきだし、そうでなければ不自然です。


ですので、ぬか床を作る方法は昔ながらの作り方でやりましたが、

乳酸菌の力を使って熟成を早め、保管は冷蔵庫でコンパクトに出来るように。

日々の手入れも「毎日かきまぜなきゃいけない!」とこだわらずに。


大切なもの・ことを柔軟な姿勢で引き継いでいけたら、と思います。


私のような一介の者が偉そうに言えることではありませんが・・・

でも、一介の人々が、日々の生活をつむぎ、つないでいくのですからね。


・・・まあ、そんな暑苦しいことをワークショップで語ったわけではなく、

仕込み後はおやつを食べながらのんびりと過ごしました。


今回のおやつは、ぬか漬けのおともに(ん?逆か?)おにぎり。

京都「はれま」さんのちりめん山椒と、JA紀南さんの「紀州梅昆布茶」で。

それから、りんごのコンポートと、いちじくとくるみのパウンドケーキ(焼きすぎたショック!)でした。


この季節、風が強く吹くことにより、思っている以上に体の水分が奪われます。

いちじくもくるみも、体を潤す作用があります。

また、季節の変わり目によるストレスや、乾燥で胃腸にトラブルを起こしがちです。

そんな時に整腸作用のあるりんご。(ちなみに、いちじくも整腸作用に優れています)

ただ食べ過ぎは体を冷やすので、あたため作用のあるシナモンを加えて煮ました。


今日はまた、うんと冷え込んでいます。明日はまた気温が10度上昇するとか。

三寒四温で、本当に体調崩してしまいそうですね。

皆さんもどうぞご自愛ください。


<お知らせ>

ご要望にお応えし、急遽、追加実施いたします!


4月4日(木) 11時半~13時

「ほっこり~の」様にて


ぬか漬け試食、ミニランチつき。


持ち物:捨て漬け用くず野菜(調理で出る、キャベツの外皮や大根・人参の端っこなど、なんでも)

     必要だと思われる方はエプロン

     保存容器で管理したい方はタッパー、ほうろう、陶器などの容器

     (アルミ、鉄、塩化ビニールは変質するおそれがあるため不可)


以前の記事 もあわせてご確認ください。