信頼される年金法案を!

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野党は「年金カット法案」と言い、与党は「将来年金確保法案」と言う。全くかみ合わない議論に終始した法案が、衆議院を通過しました。政府には、国民の年金制度への不信感を正面から受け止め、誠意ある説明をしてもらいたかった。
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11月29日に衆院を通過した年金法案は、いまや現役世代から全くと言うほど信頼されていない年金制度を前提とする以上、それを「カット」と言おうと「確保」と言おうと、大差ないと思います。

 

2021年(平成33年)から適用される今回の年金改定の新ルールは、物価水準の下落幅より賃金水準の下落幅の方が大きい場合、賃金の下落(低い方)に合わせて年金を減額するものです。

 

現行は、基本的に物価に合わせて年金額を調整しています。物価に見合った高齢者の購買力を維持するためです。
しかし、今の年金制度は、自分で積み立てた保険料が自分に返ってくる「積立方式」ではなく、今の働く世代が今の高齢者に仕送りする「賦課方式」です。
このため、働く世代の賃金が物価よりも大きく下がったのに、年金額を物価の方に合わせていたら、仕送りを続けることができなくなってしまうというわけです。

 

これはこれで、理解できます。

 

しかし、政府は、以下の事実を説明しておらず、議論をミスリードしています。

 

(1)政府は、新ルールにより「将来世代の年金がアップする」と説明しています(「7%アップ」と言っていたが、実際には「2%アップ」と判明)。
しかし、そもそも、従来の年金調整のしくみ(マクロ経済スライド)によって、将来世代の年金は3割カットとなることが確実であり、新ルールでアップする2%など焼け石に水です。「年金アップ」などと夢のような説明をするのでなく、「やらないよりマシ」な程度であるという事実を正面から説明すべきではないでしょうか?

 

(2)政府は「今後、アベノミクスで賃金が上がるよう全力で取り組むので、(賃金が下がるケースに適用される)新ルールが実際に適用されることは想定していない」と言っています。
しかし、アベノミクスが始まって4年経った今年に当てはめてみても、賃金・物価は、新ルールが適用される状況(3年間の平均賃金がマイナス)になっています。まして、今後、賃金がずっと上がり続けることを想定するのはおかしい。
また、仮に新ルールを過去10年間に当てはめてみると、年金は5.2%減額となります。これは国民年金で年間4万円減、厚生年金で年間14.2万円減を意味します(新進気鋭の同僚・井坂信彦議員の試算による)。「今後適用されることはない」などと楽観的な説明で国会審議を乗り切ろうというのは、あまりに誠意がありません。

 

(3)障害年金にも同じルールが適用されます。
重度の方をはじめとする障がい者の生活を支える障害年金を、一般の高齢者と同列に扱うべきではないと考えます。

 

(4)新ルールに基づき一度下がった年金は、一生、物価に追いつくことがありません。将来、物価以上に賃金が上昇した場合にも、物価(低い方)に合わせた年金増額にとどめることになっているからです。

 

(5)ただでさえ、国民の年金制度への不信感はすでに蔓延しており、アベノミクスで賃金アップを目指します!などと言うだけで、払拭できるはずがありません。
政府は年金制度について、あいまいな説明で「年金確保の法案だ」などとごまかすのでなく、年金財政が限界を迎えていることを率直に国民に訴え、年金制度の抜本改革に取り組むべきではないでしょうか?

 

つけ加えれば、私は、何よりも根本的な日本の課題である少子化社会を転換し、子どもが増える社会環境づくりを最優先する政策を実行すべきだと思います。
「子ども国債」(玉木雄一郎議員が民進党代表選でも訴えてくれました)を制度化し、子どもへの投資財源を最大限確保すべきと考えています。
誰もが子どもを産みたい、育てたいと自然に思える、温かい「増子化(ぞうしか)」社会づくりこそが、年金制度を持続可能とし、国民からの信頼を高める上でも、本質的な方向だと考えています。

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