◆驚き
私は被災をしましたが、幸運にも一命を取りとめました。
揺れが収まり、いち早く車に乗り込んで高台に逃げようとした時のことを
振り返り書きたいと思います。
たいへんな驚きを感じました。
駐車場から車で出た時、建物の周りには大勢の人たちが立ち尽くしていました。
慌てて建物の外に飛び出したと思われます。
建物の後方には海が見えていました。
その人たちは、何人かが集まり、驚きと恐怖で話をしている状況でした。
ある人は、タバコをくわえながら、ある人はペットボトルの飲み物を飲みながら。
「なぜ、逃げないんだ!」と車の中から叫んでいたのは私でした。
さらに、進んで行くと、お店の人たちがお店の入口の看板や落下したものを取り上げて
もとの場所に戻したり、片づけをしたりしていました。
ここに居る人たちは、地元に居る人たちで、地震の後に当たり前のように津波がやってくることは
私以上に知っているはずです。
「なぜ逃げない!」・・・。
今、落着いて考えてみると、それは「まさかここまで津波はこないだろう」という
安易な考えではなかったのかな、と思います。
それか、まだまだ津波はこない、と判断していたのかもしれません。
私は、仙台市内でも海岸からかなり距離がある場所に住んでいます。
地震が発生してもすぐに「津波が来る」とは頭に浮かびません。
そんな生活環境にいます。
しかし、私が被災した場所の宮城県石巻市は海がすぐそばにある街です。
そこに住んでいる人たちは、海は身近にあるところに住んでいるわけです。
その人たちが、地震発生後、あまりにものんびりした行動だったので驚きました。
1秒でも早く逃げないといけない、しかも高台逃げないといけません。
私は、間一髪で難を逃れました。
1秒でも遅かったら津波にのみ込まれてしまっていたはずです。
普段から危機意識、危機管理の大切さを痛切に感じました。
・・・続く。