さて、この自画像シリーズのひどまずの中締めとして、
自画像の殿堂といわれるフィレンツェのウフィツィ美術館が誇る
自画像コレクションをご紹介いたします。
ウフィツィ美術館ヴァザーリの回廊
16世紀中頃、メディチ家のコジモ1世の命により画家であり、
建築家であったジョルジョ・ヴァザーリが政庁のヴェッキオ宮から
住居のビッティ宮殿まで屋外に出ること無く渡れる回廊をアルノ川
に渡して1565年に完成しました。
設計者の名にちなんで「ヴァザーリの回廊」と呼ばれており、現在は
自画像コレクションの展示場として使用されています。
自画像コレクション
ウフィツィ美術館 ヴァザリー回廊の自画像コレクション
その後、レオポルド・デ・メディチ枢機卿が、「自画像こそが
芸術家のスタイル、芸術観、世界観、自意識をすべて内包して
いる」と考え1664年に「自画像コレクション」を始めました。
今では、古今の芸術家の自画像の殿堂として約1,700点の作品を
蔵しています。
ここに展示されている作品の一部は、2010年に日本でも、
「ウフィツィ美術館自画像コレクション」として展覧会がありました
ので、ご覧になった方も多いかと思います。
私も、鑑賞していますので、そのときの展示品を中心に、
コレクションの蒐集時代順にご紹介しますね。
メディチ家のトスカーナ大公時代(1664~1736年)
自画像・1655年頃・油彩・76.0x61.0cm
レンブラント(49歳頃)
あの、「夜警」の名作をはじめ数々の名作を制作し、
「光と影の天才」と讃えられたオランダの画家レンブラント
の自画像です。しかし、この頃はオランダは大不況で画家も
債務に追われて翌年には自己破産した厳しい時代だったのだ。
(陰の声:そういえば虚勢をはっているようにも見えるね。)
花輪の中の自画像(?)1720年頃・油彩・136.0x99.0cm
ニコラ・ファン・ハウブラーケン
イタリア・メッシーナ活躍した花・果物・野菜・動物の
描写で著名な画家。それを強調してこんな自画像にした
のか、それとも超恥ずかしがり屋さんなのか?疑問ですね。
ハプスブルグ・ロートリンゲン家時代(1737~1860年)
マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェー・ル・ブラン
1790年・油彩・100.0x81.0cm
マリー・ルイーズ・エリザベード・ヴィジェ・ル・ブラン
(35歳頃)
ごっこスーラのブログ「描かれた美女:マリー・アントワネット」
で、ご紹介した王女のお気に入り女性画家エリザベードさんの自
画像ですね。彼女は大変美しい人であったようで、多くの自画像
を描かれています。
(陰の声:これだけ美しいと描きたくなるんだろうね・・・)
78歳の自画像・1858年・油彩・64.0x54.0cm
アングル(78歳)
これも以前のブログでご紹介したアングルの自画像です。
これは、このコレクションのために依頼されて描かれた
ものだそうです。
(陰の声:それにしても気難しい顔をしているね。)
イタリア王国時代(1861年~1919年)
自画像・1879年、1922~23年・油彩
アンソール
仮面作品で有名なベルギーの画家アンソールの19歳の時に
描いた作品をコピーして62歳のころに寄贈した絵のようだ。
ほとんど同じ構図の作品が個人蔵されている。
(陰の声:やっぱ、若い頃の自分を残したいんだろうね。)
家族といる画家の自画像・1916年・油彩・68.0x80.0cm
モーリス・ドニ(54歳頃)
ナビ派に属したフランスの画家。「絵画が軍馬や裸体など
何らかの逸話である以前に、本質的にある秩序で集められた
色彩で覆われた平坦な表面であることを思い起こすべきで
ある。」と言った主張は、キュビズム、フォービズム、
抽象絵画をささえる理論的支柱となりました。
(陰の声:ふむ、小難しいことを言いそうな顔をしているね、
でも、家族を小さく描いているのは、以外とよいパパだった
のかな(・∀・)
20世紀(1920年~)
自画像・1954年・グアッシュ・66,5x51.0cm
レジエ(73歳)最晩年の自画像
ピカソやブラック達とキュビズムで活躍したが、その後、
彼らとは離れて、太い輪郭線と単純なフォルム、明快な
色彩を駆使した独自の世界観の傑作を生み出した画家。
(陰の声:人生をやりきった満足そうな顔しているね。)
自画像・油彩・61.5x51.0cm
シャガール (80歳頃)
幻想と詩情、そしてその奥に秘めたユダヤ人の信仰と
暗い時代の迫害から生まれた作品群で有名なシャガールの
最後の自画像と言われる作品です。
(陰の声:世間的には名声を得ていたが、いろいろあった
んだろうね。表面だけではわからないもんだね。)
そして、最後にちょっと異質の自画像作品を・・・
自画像 油彩・38.0x28.0cm
マリー・ルイーズ・ド・ギール・ベルエンストラーレ
スエーデンで活躍した女性作家です。あの、キャンバス
切り裂き男のフォンタナ君の自画像みたいで面白かった
ので特別に掲載しました。詳細は不明です。
(陰の声:こんな斬新な作品も自画像ギャラリーには収
蔵しているんだ。面白いね。)
このウフィツィ美術館自画像コレクションには、
日本人画家の藤田嗣治、草間彌生、横尾忠則などの
自画像もあるそうです。
フィレンツェに行かれましたら、ウフィツィ美術館の本館だけで
なく、ヴァザーリ回廊もぜひご覧くださいね。
(陰の声:行ける方が羨ましいよ~ Y(>_<、)Y )
では、これにて、ごっこスーラの「自画像シリーズ」は一旦おしまいです。
ありがとうございました。
<ウフィツィ美術館自画像コレクション・了>
スーラ・ウタガワの
私撰:関西名所図絵・美術館のご案内
このブログの各ページで個別に発表した、スーラ・ウタガワ作品の
名所絵を場所別に集め「美術館」と称して再度アップロードしています。
第1室:大阪南部の名所図絵 開館中
第2室:大阪北部の名所図絵 開館中
第3室:大阪湾岸部の名所図絵 開館中
第4室:神戸地区の名所図絵 開館中
第5室:京都地区の名所図絵 工事中
*各展示室へのご入場(アクセス)はサイドバーのブックマークをご利用ください。
以上、ご案内申し上げます。 館長:スーラ・ウタガワ