T尾翼機の評価 | 北アルプスのほとりからですが、何か?

北アルプスのほとりからですが、何か?

仕事の都合で、群馬から長野は信濃大町に居を移すことになりました。

今日はあいにくの雨となりました。とはいえ、午後7時を過ぎてようやく降り出したのですが。ただ午後から気温は上がらず湿度が高いままでしたので、今日の現実逃避は中止となりました。天気は日没まで最低持つだろうと踏んでいましたが、湿度が高くて紙飛行機の紙がフニャフニャになるのは嫌ですから。100円もしないものですが、大事な1機を粗末にできません。

ということで、今日はちょっと空いた時間を使って1機製作しました。二宮先生設計の競技用機ですが、CanonのCreative Parkページに掲載されているもので、ちょっと特徴的な機体です。

黄色いT尾翼機

ケント紙に印刷、切り抜き張り合わせというのはいつも通りですが、さすがに黄色というのは目立ちますね。既に二段上反角の競技用機を色違いで3機(緑・ピンク・青)製作しましたが、こちらの機体ももれなく3色あります。残るは青と赤。また暇を見て製作したいと思います。ところでこの機体、水平尾翼が垂直尾翼のてっぺんに取付けてあります。後ろから見ると「T」の字に見えることから、俗にT尾翼などと呼ばれております。このT尾翼ですが、実機のグライダーなどにはよく用いられているのだそうです。で、グライダーということでふと頭の中をよぎった機体が。これです。

モーターグライダー

名前が「モーターグライダー」ですから、そのまんまですね。スケール機ではないにせよ、グライダーでよく採用されているというのが裏付けられる機体だと思います。ところでこのT尾翼、グライダーでは高評価を得ていますが、主翼と離れた場所にあるので主翼経由の気流の影響を受けず、良好な滑空体勢を保てるということです。つまり滑空性能を上げやすいということ。そうした方式が採用されない訳がありません。

ただ、これがジェット旅客機やジェット戦闘機ということになると話が変わってきます。以前はF-104やB727、VC-10などで採用された実績はあるものの、不都合な点が数多くなって現在では使われなくなっています。いろいろ理由はあるのですが、やはり空力的なモノと言えば「水平尾翼に気流が当たらなくなる」ということでしょうか。高速の機体は後退翼、つまり主翼の付け根よりも翼端が後ろにあるものとなりますが、失速特性が悪くなり、かつ気流剥離が起きやすくなります。このような状況は、機首を急激に上げた際に起きやすくなるのですが、操縦が不能となり都合が悪いのです。だからと言って、旅客機ならまだしも戦闘機は「ゆっくりとした機首上げ」などと悠長なことは言っていられません。実はF-4ファントムも同じ理由で、下半角のついた水平尾翼になっています。主翼が低翼式で低い場所にあるため、急激な機首上げによる気流剥離現象が起こり、やはり主翼よりも高い場所に取付けられている水平尾翼の働きに影響を及ぼしてしまうのです。ですから、水平尾翼の位置を少しでも気流の剥離した部分から突き出してやるために、斜めにして下方向に出してやっているということなのです。気が付けば、ジェット戦闘機で低翼式のものはほとんどなくなっていて、代わりに高翼式かつ胴体も主翼、尾翼の役割を果たせるよう幅広のものが主流になってきています。

ちょいと小難しいことを、さも知っている体で書いてしまいました。当然これはネットで調べての結果ということですが、同じものでも状況や用途で正反対の評価を受けることがあるのだな、と改めて思い知らされました。

二宮先生、こんな洒落っ気のある機体も設計されています。

未来の軽飛行機

近未来の軽飛行機をイメージしての設計とのことですが、プロペラの渦気流が直接尾翼に当たるのはよくないでしょうね。何のためのT尾翼っていうことになりますから。恐らくは実機でこのようなスタイルが採用されることは、強度設計などの面も考え可能性は極めて低いのでしょうね。

そしてこれ。実機で実際に活躍しておりました。

ハンブルガー HFB-320 ハンザ

ハンブルガーのHFB-320 ハンザです。T尾翼でもビックリなのですが、何とこの機体は前進翼。主翼の翼端が前に突き出た形です。実機では、客席からの視界が主翼に邪魔されず高評価なのですが、横方向の安定性が低下するためあまり褒められた形態ではありません。実際墜落した機体も多かったようですが、その機体特性から操縦の難しさによるパイロットミスが原因とのことでした。うーん。何と言えばいいのか・・・・。ちなみにこの機体、製作してまだ1度も飛ばしてません。