皆さん、こんにちは。大津です。



現在、週刊現代に私の記事が掲載されています。


が、私は「医療者と一般の方が、より良い
関係を作ってゆくために」、取材を毎回
お受けしています。

ゆえに、このタイトル

「医者には患者の死が見えている でも本当のことは言いません」
「医者はこんなときにウソつくのです」

当然発刊されて知ったものですが
大変驚きました。

繰り返します。
私は未来の医療のためには、
医療者と一般の方はより良い関係を
築いてゆく必要があると考えています。

そのために一般の方もある程度は
病気や治療のことについて知るべきだと思いますし、
だからこそ一般の方にわかるような文章を書いています。

しかし残念ながら、
センセーショナルな極論がもてはやされる
ことは、このブログでも再三取り上げている通りです。

極論のほうがエンターテインメントとして面白いし、
陰謀論のほうがわかったような気になります。
だから素直な心を絡めとってしまうことがあって
怖いのです。


今回の現代さんの最新号も
私の記事の前に、近藤誠先生と匿名医師の談話が
掲載されています(私の部分はありませんが、先生方の
分は以下で読めます)
↓↓
http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/130318/top_06_01.html


(以下引用)


慶應義塾大学病院放射線治療科の近藤誠医師が語る。

「実は、医者がウソを言うのは、余命に関してが一番多いんです。初対面の医師が、いきなり『あなたは余命3ヵ月です』と言ってくるケースはよくある。特に若い医師に多いようです。だいたい短めに言って脅し、不安にさせ、救いの手を差し伸べる。長めに言うと、患者はセカンドオピニオンを求めたり、他の治療法はないかと考えてしまう。そうした心の余裕を患者に与えないために、あえて短めに言うんです。昔は家族を脅すのに『余命6ヵ月』がよく使われたのですが、がん告知が当たり前になった今は『余命3ヵ月』に短縮された。そう宣告された多くの患者の話を、私は直に聞いています」

 この「余命3ヵ月」には、もうひとつの理由がある。

「医療裁判に対する怯えはがんに携わる医師のほとんどが抱いていると思います。余命に関しても、1年と言ったのに半年で亡くなったなどとなったら、医師の責任を追及されかねない。だから余命は短めに告げておくんです」(都内の総合病院外科医)


(以上引用)


前に世代差のことを取り上げました。
↓↓
http://ameblo.jp/setakan/entry-11483690124.html

私は(本当に上記のように語ったのだとしたら)
お二人の先生方のような考えは現代の状況に即していないと
思います。

またとりわけ気になるのは、言葉の選び方がやや粗雑で
医療者が誤解されるようなものになっているところです。

私自身もたくさんの若い医者と仕事をしていますが、

余命の判断が上手にできていない
ことが本質


と感じています。

しかし当然なのです。余命の判断は難しいからです。

実際に正確に当てるのは難しいことが多いです。
(けれどもがんで余命が週単位になると少々わかり
やすくなります)

とにかく

脅すためにやっているなどとんでもない間違い

です。

近藤先生の発言(とされている)部分は
ほとんど全てが間違っていると言っても
過言ではありません。

都内の総合病院外科医さんの話も
古い時代の一部の偏った考えを述べている
ものです。むしろ一般の方によくある誤解でも
あります。
「どうせ医者は、悪いことしか言わない。
何かあった時に責められるのが嫌だから」という
ものです。

今はもっと、真実を伝えたいと思っているが
そのスキルが追いついていない状態だと考えて
頂くと良いと思います。

けして
脅すために、あるいは自己防衛のために、
余命告知をしているわけではありません。


ただそう聞こえるのだとしたら
もっと私たちも正しく意図が伝わるように
修練していかねばならないとは思っています。


前述の記事が問題なのは
またこれで医療不信が深まる方が出て来ることです。
「医者の告知は脅しなのか」
「医者は自分のことばかりしか考えていない」と
思ってしまう方が必ず出て来ます。


私は「医療者と一般の方が、より良い
関係を作ってゆくために」、それを願っています。
医療者が間違った言葉を選んで、結果一般の方と
より良い信頼関係のもとにふさわしい医療を行って
ゆく機会を奪ってしまうのを看過することはできません。
粗雑な告知をするほうも、告知の意味を誤って説明する
ほうも、両方いただけません。


まだまだ道のりは平坦ではなさそうです。


いつも読んでくださってありがとうございます。
皆さんもどうか、未来の医療のために正しい知識の普及に
力をお貸しください。
医者は一生懸命やっていると思います。ただ余命告知を
はじめとする「悪い知らせ」の伝え方に
関してはまだまだ修練が必要なことが多いというだけなのです。


それではまた。
失礼します。