2006-02-04

219.不器用な嫉妬

テーマ:彼女じゃない恋愛

居酒屋を出た時、もう日付を超えていた。
心の中で今日はお泊りなしなんだなって勘。
いつ、家に帰されてしまうんだろうって不安。
「どうしようか?」
彼にそう聞かれて戸惑う。
どうするかくらい昨日から考えていた筈の彼が、そう私に聞くのを意地悪に思った。
「徹夜するにはもう辛い歳やけど、卓球でもしに行くか!最近、出張続きで金欠やねん。お泊りする金がない…」
黙る私に彼は言い訳をつけたしそう提案する。
「ゆうじは女に金出させるのは嫌いなの?」
「そりゃぁね、出してもらえたら嬉しいけど、出されてるその瞬間は何とも不思議な嫌~な感覚よな」
「屈辱?!みたいな?」
「うーん、なんやろうな!出してもらってる時は、絶対一緒にいたくないよな」
「ふ~ん」
「おかしいか?」
「んま、マニュアル通りの男って感じ」
「雑誌に載ってるような?!」
「そうそう!」
「あはは、お前もそういうの読むん?」
「高校くらいまでは、雑誌のそういうコーナー好きやった」
「男を落とす技みたいなん?」
「そんな生ぬるくないよ!結構過激」
「何が書いてあんねん、ちょっと興味あるわ」
「女は抱かれるんじゃない、抱くんだ!みたいなのん」
「あぁ、下の話が多いんやね」
「そうやね、基本…」
「で、実践してるん?」
「せんよ!そんな恥ずかしいこと」
「ほんまに何が書いてあるんか興味あるわ…」
「どうせ興味あるだけで、淡白なセックスしかせんやろ」
「そうやった…」
車は彼の予定に合わせ国道を走っている。
「ついたけど、卓球する?」
「うん」


私たちはいつもアミューズメントビル内で、卓球やビリヤードで3時間ほど過ごした。
「あかん、俺、眠くなってきた」
「帰るん?」
「帰らんよ」
「眠いんやろ?」
「家帰っても、今俺の部屋ないしな」
「そうなんや」
「せのりの部屋入れて」
「嫌」
「わかってるよ」
「今からラブホ行く?」
「今から部屋空いてるかな?」
「空いてないの?」
「週末やで!」
「週末はそんなもんなん?」
「そりゃぁねぇ・・・」
「ふ~ん」
「あかん!マジで眠い。空いてないかもやけど、見に行くだけいってもいい?」
「えぇよ」
私たちは、彼が眠る為のホテルを探しに出た。


まず彼が向かったのはいつものラブホテル。
だけど、部屋は満室でやっぱりという結果だった。
その付近のホテルも満室で、彼からはため息が漏れる。
「やっぱり空いてないか…」
「ウチん家の近くにもラブホ街あったじゃん」
「あぁ、行く?いかにもって感じのとこやけど」
「この際何処でもいいじゃん」
「行ってみるか」

湖岸道路を走るといくつかのラブホ街に遭遇する。
徐行で走る車とすれ違う。
「あぁ…ほんま、いかにもって感じがするわ」
「ぷっ、そう思われるの嫌?」
「必死で探してる感が、もう格好悪いよな」
「んじゃ、格好よく探してよ」
そういうと彼はスピードを上げて、ラブホ街を駆け回った。
「それ、冷やかしって言うだよ~」
「ぷっ、格好悪くても本気で探すか」
彼はまた湖岸道路に出て、次のラブホ街を目指した。


「朝方だとラブホのネオンも消えちゃうんだね。結構綺麗なのに」
「違う違う!ネオンは空室の印」
「え?!そうなの?んじゃ、あそこ空いてんじゃん」
「満室でもついてるとこもあるけどな」
「そなんだ、でも行ってみようよ」
「あそこは、満室でもついてるけど行ってみるか」
「へ~、満室でもついてるんだ、あそこは」
「よく、行った」
「よく、行ったんだ」
「…若い時の話やけど」
「あっそ…」
「せのりも、色々知ってるやろ?」
「そうね!あそこのカレーがおいしいとかね」
「誰に連れってもらったんや?」
「ゆうじ以外の人!」
「へ~、どんや奴なんやろうな」
「ゆうじは、誰と来たの?」
「俺?忘れた」
「忘れたわけないやん」
「んじゃ、お前は覚えてるんや」
「・・・忘れた」
この時、自分があからさまに嫉妬していることに気づき私はそう答えていた。
彼の前で嫉妬心を見せたのは初めてだったかもしれない。
いつもなら、私は彼の気持ちなど考えずボロボロと過去を隠すことなく話していた。
「はいはい、都合よく忘れたもんやな」
「ゆうじこそ!」
なんとなく、彼が過去や今の彼女の話をしない事にやさしさを感じたりした。
それが本当のやさしさかどうかなんて事はわからないけれど。
「俺はほんまに忘れた。若い頃ってそれまでのドキドキ感のが強かったりするからな」
「あぁ、確かにそれまでの事のが印象つよいかも」
彼にも嫉妬している事には気づかれているのだろうけれど、なんとなくこの話をやめることが出来なかった。
こんな話したくないと思いつつ、私は大丈夫っていう空気をわざと作った。
「例えば?」
彼も意地悪だ。
「チャリンコでラブホ行ったとか」
「あぁ、あるある!2ケツしてな、今考えればかなり格好悪い行動よな」
「んで、堂々と車の駐車場にチャリンコ駐輪するねん」
「行くときはえぇけど、帰り最悪よな」
「朝っぱらから、琵琶湖でチャリンコ、爽快やん」
「今度、チャリンコでこようか?」
「誰がこぐねん」
「ってか、普通、男がこぐもんじゃないの?!」
「えーーー、そうなん?!」
「こいでくれるんやったらそれでえぇけど・・・」
「任せとけ!」
「やっぱ、お前怖いわ」
「大丈夫!コケはせんよ」
見せられない過去もいつかは私たちの思い出へと変わる…。
「やっぱり俺が車だすわ」
・・・わけないか!!
「はぁ、ノリ悪い男」
「現実的って言うてくれ」
「あ、あそこ空いてそうやで」
「なんで?」
「汚いから」
「確かに…誰もよりつかなさそうや」


私たちが入ったそのラブホテルは、とても古いちょっと何か霊的なものを感じてしまいそうなホテルだ。
部屋も昭和の匂いが漂っている。
1つの部屋が空いていた。
私は、過去3人の男とこのラブホテルこの部屋に止まったことがあった。
いずれも部屋を探して、最後にたどり着いた部屋だ。
やっぱりこの部屋には何かあるのかもしれないが、お構いなしだ。
空いている事が解っていたと言えば解っていたが、彼には秘密。
彼ももしかしたら、この部屋が空いてることを知っていたのかもしれない。
彼は全てのラブホテルの部屋を確認しにいったが、このラブホテルだけは入らなかった。
ラブホテルを探していて、最後にたどり着く部屋として地元では結構有名な部屋。
この部屋に来たことがあるという話は、友達間では盛り上がる会話。
怪しい部屋。
だけど私たちは、一切そんな話をすることなく部屋に入った。
四方八方、ガラス張りにも驚くことなく…。
普通にくつろいだ。
ガラス張りの部屋で、普通にくつろげることこそ不自然だったのに。


「ねぇ、ゆうじは最後にエッチしたのいつ?」
「12月のお前にあった日だよ」
「一人ではしないの?」
「それも含まれてるん?!」
「セックスも一人エッチもずっとしてないの?」
「お前だけだよ」
「ふ~ん」
「俺って信用ないねんな」
「そうだといいなって話」
「願い叶ってるやん」
「そうだといいな」
「お前も俺だけ?」
「さぁ、どうだろう…」
「お前はそんな軽い女じゃないと思ってるよ」
「軽いわけないじゃん、ちゃんと選んでますよ」
「で?いい男はいたか?」
「うん、ゆうじがいいな」
「あはは、俺そんなテクないけど?!」
「女をイカせるのにテクが必要だと思ってる時点で、安心できないよね…」
「どういう意味?」
「教えてあげない」



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