211.メリークリスマスでした | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

211.メリークリスマスでした

来ては欲しくないクリスマスイヴがやってきた。
クリスマスイヴにネット配信されるケミストリーのライヴ動画を見て1日を過ごした。
夜になってMステを見ながら、家族でカラオケ状態のクリスマスパーティーをする。

親戚もいて、なかなか場は盛り上がっている。
「プレゼントはないんか?」
父が子供にプレゼントをたかる。
「欲しけりゃ、子供へのプレゼントをまず買ってくるのが筋ってもんじゃねぇの?」
結局、どちらもプレゼントを用意しておらず、お馬鹿なクリスマスイヴが過ぎてゆく。
カウントダウンが始まって、賑やかだけどしんみりしたクリスマスが訪れた。

しんみりしているのは私の心だけだけど。
少しだけ彼のメールを期待したけれど、携帯は鳴らなかった。
父が明石家サンタに爆笑している。
家族と過ごすクリスマスが始まった。


クリスマス、彼からのメールで目が覚める。
夜更かしの所為で昼まで寝ていたようだ。
<せのり、遅くなったけど、メリークリスマス。昨日も今日も仕事です…。気分だけでも上げていかないとね。一昨日は仕事の予定だったけど、急遽早くなった出張明けの休みでした。そして体調崩して、寝ていたというより寝込んでてん。言い訳みたいやね、ごめん。今、昼休み。せのりは何をしてますか?>
何かやっぱり許せなかった。
会えなかったこと?
違う、彼の言葉で怒りの種類はどんどん変わる。
彼がしんどい時に必要とされなかったことが悔しい。
最近、彼の些細な嘘が目立つ。
私に心配掛けたくないという思いなのか、それとも別の何かか…。
彼は何を思う?
ハッキリした嘘じゃない事が私を複雑にした。
そう気付いてあげられなかった私もいる。
彼は嘘などついていない。
全てを言わないだけ。
「あっそ」そうやって流そうとする私がいる。
素直に心配することも出来ないでいる。
涙が頬をつたった。
一体どんな涙なんだろうか。


<メリークリスマスでした>
クリスマス最後のメールを送った。
2004年のクリスマスがもう直ぐ終わる26日目前。
もう誰もクリスマスの話は出来ない。
この時を私は待った。
何をしていたかって?語るほどのことなどない。
2004年のクリスマスを思い出すことはもう二度と訪れはしないだろう。
何もなかった。
寂しくなんかない。
いつもと変わらぬ時が過ぎただけ。

きっと来年は…そんな思いだけが私を優しく包んでくれていた。



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