210.嘘つきにさせるのは自分 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

210.嘘つきにさせるのは自分

22日、少しだけ忙しい。
家族でちょっとしたクリスマスパーティーをする為に、私はケーキやチキンなどの予約とりでバタバタだ。
家に子供はいないので折り紙で作った鎖などは作らないが、どんなお料理にしようかと悩み中だ。
15時頃帰宅すると、お昼に彼からの着信が2度あったことに気が付いた。
もしかしたら、ものすごく気にかけていてくれているのかもしれない。
もしかしたらもしかしたら、会える事に?!…それはないな。
理由などどんなだっていい、彼の着信で少しだけ笑顔が戻った。
直ぐに彼の携帯を鳴らす。
仕事中であろう彼が携帯を繋げることはないが、一応着信をいれメールを打った。
<電話、何やった?>
たとえ、ごめんなさいの電話だったとしてもいい、そう思いながら用件を尋ねてみた。
だけど、返事は返ってこなくて、徐々に腹立たしくなる。
そして日付が変わった深い夜に彼からメールが入る。
<急遽、今日福井出張やってん。今ホテル戻ったところ。明日も頑張るわ>
何のメール?そう思った。
<電話の用件は?>
返事は返ってこなかった。


翌日になった昼、私が聞いた質問の答えがようやく返ってきた。
<今日は思いっきり昼まで寝てました。せっかくの休みが勿体ない。電話は特に何もない。年末を控え、風邪気味やわ。嫌な予感…>
思いっきり流された。
そして、今日が休みだったことをたった今知った。
昨夜、「明日も頑張る」って言ったじゃん。
上旬の思いっきり早いクリスマスデートは一体なんだったのだろうか。
イヴイヴデートでも良かったんじゃない?
会えるなら会っている、そんな彼の言葉が嘘に思えてならなかった。
<はぁ?寝てたんや!あっそ!!>
私の最大限の主張だった。
直接的なことはやっぱり言えない。
<ごめん、怒ったらあかん>
<怒ってない!>
<ごめん>
なんだろう…許せなかった。
そして悔しかった。
何に対してだろう…。
嘘とか裏切りとか、マイナスな言葉が浮かぶ。
だけど、どれもこれも「違う」と否定した。
私に彼が心を偽っている事など判る筈もない。
ただ、彼の言葉と彼の行動は似合わないと思った。
「私なら」そんな思いが、彼を嘘つきにさせる。



[ ← 209 ]  [ 目次 ]  [ 211 → ]