173.興味を持って | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

173.興味を持って

彼と仲直りをしてから、彼は仕事の話をしなくなった。
無理やり話そうとする男の日常会話の詰まらない事といったら、どうしようもない。
が、結構嬉しい。
「今日髪切ったんだ」「今日変なオヤジ見かけてさ~」笑えないしふ~んだけど、嬉しい。
わけの解からない仕事の話より全然いい。
だけど、それも1週間ともたなかった。
それでも良いと思う。
頑張ってくれたんだなと思う。
だから私も「今日仕事どうだった?」って聞くのだ。
それがいつもの会話なのだ。


そんな1週間後の木曜日も彼の仕事の話を聞く。
が、「おやすみ」も言わず彼からの連絡が絶たれた。
カチンときた。
だから金曜は一切自分から連絡をしてやらなかったのだ。
下手な駆け引きだと思う。
さぁ心配して連絡して来いってワクワクしながら待ったけれど全く連絡はなかった。
喧嘩にならない、可愛い怒り方のシュミレーションまでしてみたというのに…。
そして週末も連絡がなかった。
朝、昼、夕方、夜、深夜と電話をした。
なり続けるコール音。
夕方には直留守電へと変わり、月曜まで彼とは一切連絡がつかなかった。


頭に浮かんだのは、彼女だ。
だけど月曜の朝彼から謝罪メールが届く。
<おはよう。電話出れなくてごめん>
こんな一言で許せるほど心広かない。
私はこのメールの返事を打たなかった。
お昼になってまたメールがくる。
<放置しすぎてごめん。休日前に会社に携帯忘れてん。ごめんなさい。>
これもシカトだ。
そして夕方にもメールが入る。
<おーい、寂しかった?放ったらかし過ぎて死んでないか?>
もう笑うしかなかった。
否、この状況が結構気持ち良かったのかもしれない。
許すつもりの心はくすぐったい。
<で、言う事はそれだけなの?>
少し、怒ってみせて返事をした。
当然絵文字付きだ。
<ごめんなさい。携帯を忘れるなど不覚でした>
<ふーん>
<え、俺論点間違えてる?>
<自分で考えて!>
仕事中であろう彼は、仕事に戻ったのか考えているのか返事は返してこなかった。


もっと気にかけてほしいのだ。
もっと私に対して興味を持ってほしいと思うのだ。


夜仕事終わりに彼からメールが来る。
<電話出れなくてごめんね。寂しい想いをさせてごめん>
男って解かってないなって思った。
<もういいよ。怒ってないから!でも、何であなたに電話したかは一生教えてあげないから>
何で連絡をしたのか気にならないなんてどういう神経してんだ?
それでもサラリーマン?!
<ごめんなさい。教えてください>
<教えないもん>
<ふーん、別にえぇよ!どうせ、お前の事やから声が聞きたかったとかやろ>
<すごい自信ね。自惚れないでください。声が聞きたかったとして聞きたくなる理由くらいあるんだから>
<そうやな。ごめんなさい。話したくなったら聞かせてくれよな>
だけど私は彼に声を聞きたくなった理由を話さなかった。
親友に話を聞いてもらい解決したから。
女はスッキリしちゃったら終わりなんだから。
心配だったんだ、元気かなってね・・・。
もう今更だから。
それだけだから。
今度、心配になった時に教えてあげることにする。



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