169.さよなら | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

169.さよなら

翌日も彼はメールをくれる。
なんでもないメールだ。
ただ「おやすみ」そう伝える為だけのメール。
「おはよう」流れて消えてしまわぬように、繋がっている事確認する為のメール…。
私も「おはよう」と一言彼にメールするのだ。


そして夜、彼からメールが届く。
<お疲れ。せのり、へこんでるやろ?ごめんな。お前は俺に嫌われるとか、返事に困るだろうとか、全部理解しながらこの前からの話をしたと思う。俺なりに考えてみたけれど、やっぱりまだ答えは出ません。こんな優柔不断で情けないけど、俺はせのりの事が好きやで。勝手やけど、今の自分なりに精一杯せのりを愛してる>
何も変わらなかった。
ただ、彼が私を好きだと解かりきったことを確かめることしか出来なかった。
フラれたくない、そう思う私の甘さだろうか。
もう少しだけ、意固地になっても彼はまだ側にいてくれるだろうか。
私は、返事を打たなかった。


そして次の日の朝、私は彼にメールを打つ。
<おはよう>
そう、一言、笑顔のマークを付けて送信した。
直ぐに彼からメールが返ってくる。
とても長いメールだった。
<おはよう。ここの所本当はずっと忙しくて会ってもやれないし連絡もろくにせず、正直考えることもしていなかった。だけど、自分の気持ちには素直に動いてきたつもりだ。言動に嘘偽りなど一切ない。お前に彼女の話をしないのは、お前が少しでも心を痛めないようにと思った事だ。お前との時間を大切にしたいと思った。今まで何となく人と付き合ってきて、人を愛することとかこれからの事と考える事もなかった。お前の事はちゃんと考えたい。だから、もう少し待って欲しい。このままの状態が続く事がお前の負担になり、お前を辛くさせるのなら俺はお前を苦しめたくない。だけど、お前に会いたいと思う。恋愛を始めて、変わったことは確かだし、一緒にいることでお前を知る事ができる。勝手なことばかり言ってごめん。愛してます。いってきます>
彼のどんな言葉に私は許せたんだろう。
もう喧嘩しているのが辛かっただけかな。
結局何も変わらないもの。
だけど、私は彼の元へ戻る事にした。
浮気相手だけど、彼と恋愛をしていたいと思った。
私には彼が必要なんだ。
どんな形であっても。
<ごめんね。待ってる。待てるところまで待つ。ずっとずっと不安だった。このままずっと続くんじゃないかって。一緒にいると楽しくて、沢山話がしたくて、でも一人になると辛くて、独り占めもしたいって思ったりする。彼女の存在がとても辛くなる事がある。限界が来るまで待つ。もしも本当に限界が来てしまったらその時バイバイだよね。でも、今は一緒にいたい。側にいて欲しい。ワガママ言ってごめんなさい。側にいてね>


少しホットした。
だけど、なんだか不完全燃焼。


そして、お昼彼からメールの返事がきた。
<さよなら>
何で…何で…終わっちゃったの。
今まであれだけ出なかった答えが、私の待つという言葉で答えが出た。
意味が解からなかった。
私のあの最後のメールで、彼が彼女を選んだんだ。
何度も自分が最後に送ったメールを読み返した。

ふられない為に送ったメールだった、私なりの妥協だった。

何処でどう間違えた・・・。

私は妥協すべきではなかったのだろうか・・・。
なんで・・・。


泣いた。
1日中泣いた。
泣いても泣いても涙は枯れなかった。
もう時計など見てはいない。
彼に縋るメールをあれから2度も打った。
夢中で打った。
だけど、彼は何も言ってくれなくて…気付くと翌朝だった。


これで良かったのだと、誰もが思うだろうか。
二股恋愛など人生の汚点にすぎないだろうか。
私は今後いい恋愛が出来る?
誰がそんな神様でもあるまいし、私の人生語れるか…。
私には彼が必要なんだ。
だって、ごめんなさい、死にたいとか頭を過ぎらせている…。



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