2005-07-26

86.彼女になりたい

テーマ:彼女じゃない恋愛

ずっと知らないフリをしてきた。
そうする事で楽しめると思った。
だけど、知らないでいることに何の意味もない。
知らないフリをすることで、また一つ私の心に傷。
そんな傷さえも私はずっと、知らないフリをしてきた。
傷つく心避けて心傷つける。
どちらがより苦しいのかという意味のない対比。


だけど、認めたらきっと大切なものを失ってしまうに違いない、そう思ってたんだ。


2時間後、また彼から電話が掛かってきた。
「ごめんね、まだ実は仕事中なんだ」
「うん」
「まだ、泣いてんのか?」
「泣いてない!」
「泣きたい時に泣くって事はいいことだよ。でも、せのりの場合はもっと気持ちをコントロールしなきゃ駄目だ。悲しいか?違うだろ?泣いて、過呼吸になって自分苦しめちゃだめだ。解かった?」
「うん・・・」
「話、始めるけど、泣くなよ」
「う゛ん・・・」
「泣いてるし・・・」
「泣いてない!馬鹿!!」
しばらく、彼は私を落ち着かせる為に必死だった。
いつもより、ゆっくりと話す彼。
いつもより、優しく話しかける彼。
そんな「いつもより」が、私の心を穏やかにした。


「お前の気持ち、全部話して欲しい」
「全部?」
「そう、何処からでもいい。思いつくところから」
「・・・彼女の事好き?」
「あぁ、正直ずっと好きでいた人だよ。急に嫌いになりましたとはなれない」
そんな彼の台詞を聞いて、鼻水が垂れる。
ズズズッとスゴイ音がする。
泣くな自分!と、思っていても鼻水が・・・。

「ウチ…あなたが好き」
「うん、俺も好きだよ」
「ウチは…あなただけが好きなんよ」
「ごめんな」
「ウチ…ずっと…」
私は同じ言葉を繰り返した。
繰り返し繰り返し言う内に、感極まってまた言葉につまり泣いてしまった。


「うん…そうだな…お前の好きと俺の好きは違う」
「うん」
「お前は俺の事なんで好きになった?」
「何で?…よく、解からない。いっぱい好きだけど解からない」
「だよな。前に好きだった奴と俺は一緒か?」
「違う!」
「うん、俺は卑怯で駄目な男かもしれないけど、お前に『愛してる』って言ったけど、愛って何か解からない。確かに彼女が好きで付き合ってきたわけだけど、彼女に何を求めているのか解からない。付き合う意味も別れる意味も解からない。恋愛に一生なんてありえないかもしれないけれど、俺はそんな風に考えてる。恋愛と結婚は別かもしれない。だけど、一生ってそういう事だと思ってる。だけど、結婚に求めるものと恋愛に求めるものと今俺が求めてるものにギャップがあって、どんな人と付き合っていくべきかってのが自分ではよく解からない。でも、正直で居たいと思う自分も居て、せのりの事を『愛してる』と言う言葉で表現した。理解できるか?」
「うん、彼女も好き、私も好き」
「うん、まぁ、そう」
彼の言ってることは多分理解できた。
え?何?って思う人に、彼の事を私は説明できないけれど、彼の言葉達がすんなり私の心の中に入ってきたのだ。


「ウチは…ウチは…」
言葉が出てこない。
今思えば、言葉に詰まるほど聞きにくい状況でもなかった。
彼はちゃんと答えてくれるし、私に不利なことは一切なかった。
だけど、やっぱり詰まる。
「ちゃんと言わなきゃ解からないよ」
「ウチは…ウチは…」
それでも出てこなかった。


「ごめんな、俺、お前の事苛めすぎだよな。本当は、お前が言いたいことも全部解かってるし、俺が言うべきことなのかもしれない。だけど、俺はお前に言って欲しいんだよ。驚いたり退いたりなんてしない、だから、言って欲しい」
「…今まで付き合ってきた人には皆、彼女がいた」
「そうだったな。またかって思うよな」
「いつも、捨てられてきた」
「また繰り返すかもって思うよな」
「ずっと2番だった」
「でも、俺は2番だとか思ってないよ」
「でも・・・」
言葉に詰まる。
私は次に出てくる単語が言えない。

そう、これは彼女じゃない恋愛。


「俺はお前が必要だよ」
「彼女も必要?」
「それは解からない」
「そか・・・」


しばらく無言だった。
彼は私の言葉を待っている。
私は、何とか吐き出そうと試みる。


「あ、はい、今行きます」
彼が電話の向こうで声を上げた。
「ごめん、俺、まだ残業中でさ」
「うん…仕事戻らないとだね…」
「まぁな」
「聞いてくれる?もう少しだけ」
「あぁ、待ってるよ」


そして、少しの無言の後私は、片言になりつつあの言葉を口にした。

「ウチ…あのね」
「うん」
「うんとね」
「うん」
「えっとね」
「うん」
「彼女…に…なりたい…の」
「あぁ、お前の事これからちゃんと考えてくからな。それから?」

「もうない」

「ない・・・か・・・。うん、まぁ、今は充分か・・・」

「何?」

「えぇよ、もう。初めてじゃないか?こんなに感情だしたのは」

彼の声が少しだけ嬉しそうに聞こえた。
「うっ・・・ウグッ・・・ヒクッ・・・グズ」
私は、緊張の糸が緩んで大声で泣いてしまった。
泣いてしまった私を止めることなく、泣き止むまで彼は待っていてくれた。


「でも・・・辛いよ・・・辛いよ・・・」
「ごめんな」
「嫌だよ、彼女の居る人なんて」
「ごめん」

「でも、好きなの」

「俺も好きだよ」
「知りたくなかった。知ってたけど、知らないフリしてたかった」
「ごめん」
「彼女は私の事知らないんだ・・・」
「ごめん」
「私だけ苦しいんだ・・・」
「ごめん」

彼はまた仕事が終わったら電話すると言って、電話を切り仕事に戻って行った。


知ってしまった私の心はどうなってしまうのだろうか。
想像以上に胸が痛む。
今更の感情は、やっぱり何かを失いかけようといるのかもしれいない。


精一杯もがいてみる。

私はまた、そんな「もがき」さえも知らないフリをしようとしている。


たった一つ守りたいだけなのに・・・。
伝わらない気持ちがある。



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コメント

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20 ■> なかはらさとしさん

私、今でもこの記事を読むと胸が痛いです。
この胸の痛みは、同じくうまく言葉にできず他人事のようでリアルです。
いつか、この記事を読んで良かったと言える日がくるのでしょうか…。

19 ■泣いてしまいました

初めてコメントします……。
読者登録していただいたときのメッセージがとても気になっていました。
あれからずいぶん日にちが経ってしまいましたが、やっと、こちらのブログを最初から少しずつ、読ませていただいています。
なので今頃こんな途中の記事ですがコメントさせてください。
あう、挨拶が長いっすね、すいません(^^;;
今回の記事を見て、泣いてしまいました。
最後の会話の部分。
せのりさんの気持ちがわかる、なんて言えませんけど。
自分の気持ちを思いっきり重ねてしまいました。
あぁ……肝心のことは、うまく言葉が出てきません。
これからも少しずつ読み進めていきますね。これからの展開がとても気になっています。

18 ■> eniさん

初めまして、せのりです。ブログを読んでくださってありがとう。
このブログを書いていて、私は沢山の人の心の傷を開いてきました。治療は一切ありません。痛いとところを突いたまま、現在に至ります。だけど、私はその傷を流した涙を大切にして欲しいと思っています。幸せの隙間に感じる痛みは、心の奥底にあって、それは人を愛する場所なのだと私は信じています。痛みを隠すことで人を愛せない。きっと…。彼を好きだと思いながら痛む場所を確かめて欲しいと思う。
また、是非、何か感じることがあれば聞かせてください。
この想いを恋愛だと認めてあげられたら、彼を愛した証になるとずっと思ってきました。私が愛した人だから…。

17 ■せつなぃ

初めてコメントします。
すごく切ないです。
ここまで、一気に読んでしまっています。
この切なさは、あたしとセノリさんを重ね合わせているせいだと思います。
あたしも、好きになる人、惹かれる人は彼女や、奥様がいる事が多いです。
自分の感情を言ったらどうなるのか、離れて言ってしまうのでないか、不安で、不安で、
出てくる言葉は「大丈夫だよ。」
今のあたしの気持ちを代弁してくれている気分になり、
何だか涙がでてきました。
ただ、あたしが彼を好きでいる限り、これは恋愛なんだと思います。
例え、都合のイイオンナであろうと、あたしが幸せなのだから・・・。
また、この先も読ませてくださいね。

16 ■> ammoniteさん

何が優しさ思いやりなのか、サッパリ解かりません。言わずにいてくれる事がよかったのか、言ってくれたからよかったのか…。今あるすべてしか口に出来ないのはとても似ていますよね。残酷です…単純にそう思ってしまいました。どちらともに。
戻れる場所を確保しようとしていた私の心は、言葉がどんどん潰して行くような気がしていました。もう彼を信じるしかなくて、言葉だけが頼りだった。吐いた言葉を責めたこともあった。救われることもあった。言葉…私は何を恐れているんだろうか。吐いた言葉もまだ言葉に出来ぬ想いも、怖くてたまりません。

15 ■正反対だけど

彼女と別れる気がないのに何故という気持ちも正直強いのですが、せのりさんの気持ちを分かっているのにわざわざせのりさんに言わせた彼は偉いような気もします。
あたしの彼は別れるつもりだったことを『当たり前のことだから』と言ってくれませんでした。いい加減なことはしない、実行できるまで軽々しく口にしない、そういう人だと今なら分かるけれど、その時は『普通』というものに囚われていたので、彼の気持ちを分かっていなかったし、自分の望みなんかとても口にできなかったです。彼に言わせるとそれは『信じていない』ことになって……。
言葉はとても大切。言わなければ伝わらないこともあるし、言ったことによって戻れなくなることもあるし。今は言葉を発することが何よりも怖いです。昔とはまったく別の意味で。

14 ■> uraprdさん

彼の言葉は、私もとても痛かった。
即完治能力はないだけに、じんわりしみてくるけれど・・・。
でも、本当はすごく嬉しいって気持ちもあった。
だから彼が好きなんだって思った。
浮気をする男の人がちゃんとこんな感情を持っていてくれたらって思うんだ。
私の今までの彼も・・・。
私も初体験だった。
経験はなかったけれど、そうであったら少しだけ心が軽くなる。

うん、私もuraprdさんはと、深く深く繋がっている気がする。
こんな不思議ないよねって思うよ。
もしもuraprdさんが幸せであるのなら、私もなれそうな気がする。
uraprdさんが頑張っていると私もと思う。

13 ■お久です

あたし、せのりさんとここで強くつながってるのかもしれないなって少し思った。
あたしはすごく愛した彼に彼女がいてそれは最近の出来事で
でもまだ生傷で。
痛いよ。
あたしはこんな経験してない。
彼がいつも、傷つけまいとして話をしてこなかった
でも、またまたせのりさんのかれに一つ傷をちりょうしてもらったような感覚。
すごく、しみるけど。

12 ■> ふうさん

お疲れ様です(・_・)/
ふふ、今なら言えますけどね、1年前の絶頂に言われてたら、確実に鬱突入だったかと(笑)
それくらいの勢いありますよね、お互い厄介な病持ち・・・。

言わなきゃ、もっと暗い闇に襲われるそう思ったのかね・・・。
ほら、鬱が得意だと自己防衛も得意だし!!

でも、やっぱり私自信も言いたい言葉だったからなのかな。
言えないだけで・・・。
怖いだけで・・・。
もしかしたら、冷静であった方が言ってなかったかもしれない。

はい、ある意味過呼吸になるくらい笑わせていただきますよ。

11 ■> テツカさん

テツカさんも、微妙な恋愛ばかりだってブログに書いてましたよね。
私も、今回を含め言いたいけれど言うつもりは全くなかったです。
そんな事いえない・・・。
うん、今でもやっぱり思う。
そんな事いえないよって。
それに、言っても何も変わらない。
ただ、気持ちを確かめ合っただけ・・・。
でも、言わなきゃ確かめられなくて、何も動けなかったのなら・・・あぁ、言って良かったんだって思う。
言えて良かった・・・うん、良かったよ・・・と、後々から深く深く思う言いたい言葉でした。
でも、やっぱり言うことで何かを失いかけるのは確かなことで、私はこんな台詞をもう二度と言いたくないとも思うのです。

10 ■> いずみさん

うん、私も彼をズルイとやっぱり思う。
けど、私も充分ズルイんだろうなって思う。
なんとかして、一緒になりたいって思うんだ・・・お互い。
それが、一生の愛だと確信できたのならってところかな、彼にしてみたら。
ひどい話だよね、やっぱりさ。
でも、でも・・・うん、やっぱり一生懸命だわって思う。
だからなのかね・・・理解できたのはさ。

うん、話し合える機会があれば聞けるといいね。
私は少なくともこの会話で「遊ばれてる」という意識は、これっぽっちもなくなったかもしれない。
ズルイとは思うけれど、やっぱさ。

9 ■> モカさん

難しいですよね。
私も彼の言葉を正確に書いているわけでもなくて、こんなこと言ってたな・・・・なんだけど、難しいですね。
書いてて頭こんがらがりましたもん。
私の友達は怒ってましたよ。
「はぁ?何その言い訳?!」ってね。

私だから理解できたわけじゃなく、きっと失いたくない理解したいという前提だからだったと思います。

どうあっても、彼を理解したかった・・・。

8 ■お疲れ様です。

ってこんな言葉が似合うのかどうか分かりませんが(オイ)

その「彼女になりたい」って一言はとっても重くてとっても勇気が必要な一言ですよね。

実は自分も欝と強迫性障害持ち(苦笑)
緊張した時のあの辛い状況で本当によく言えたなぁと感心しました。
色んな感情が詰まった涙が出ました。

コメントで「ありがとう」と言っていただきましたが、こちらこそ純粋な日記をありがとうございます。
日記はおバカな内容中心ですが、笑っていただいたら何よりです(オイ)

7 ■涙、涙です。

記事読みながら、泣いちゃいました。
今現在を含めたこれまでの恋愛で
私が抱いてる相手への不安や言いたい言葉が
せのりさんの言葉で語られていて。。
「彼女になりたい」って、
私が今までずっと言えずにいる言葉です。
私もせのりさんを見習わないと~!

6 ■分かる・・・

同じような会話私もした…。
なんか凄く泣きたいよぉ
ー・゚・(ノД`)・゚・。

彼女が居るのに
何で他の女を好きになるの?

彼女も私も辛いだけだ

男はズルイって思ってた。

でも違うんだよね
彼氏は彼氏なりに一生懸命考えて
いるんだよね。。

ちゃんと彼氏さんと向き合って
話をしたせのりさんは凄い。

私は昔の自分を振り返ると
たしかに向き合って
居たときもあったが
大半は向き合ったフリで終わってたと思う。

失いたくない一心でかぁ
ちょっと感動。
私も頑張るど~!

5 ■ううう( ´。ぅω・`)

なぜかよくわかりませんが、
あたしが苦しくなってしまいました><。

胸が締め付けられる感じでした。

たぶん、
彼さんの言葉や雰囲気は、
それまでずっと見てきた
senoriさんしかわからないから
だとも思うのですが、
あたしには
なかなか難しかったです(´ロ`;)

でも、
senoriさんの
気持ちが痛いほど伝わってきて
ちょっとだけ
涙が出そうになりました( ´。ぅω・`)


4 ■> daityukiさん

「関係」そうですね、きっと言葉にしたらその様なことなのかもしれないな。
知らない所から、知っている所へ。
関係は終わらないかもしれないけれど・・・確実にもう二度と戻れない場所。
正しくても間違っていたとしてももう戻れない場所。
思っていることと言葉にすることは本当に大きく違う。
「大丈夫、勇気を出してあと1歩」などとは簡単に言えない。
だけど、行くべき1歩を踏み出した私が言えることは・・・。
1歩踏み出した先には、沢山踏み出せる道があったと言うことです。
どれを選ぶかは、また躊躇う1歩なのだけど・・・。
深まる道にゆくのか、崩れる道へゆくのか・・・解からないけれど。
歩んでいかなくちゃいけないんだね。

3 ■> キンキンさん

もしかして、リアルタイムで私たち今ブログ行き来してる?!
いや、私もねずっと今まで遊びの恋愛しかしてこなかったから、これがはじめて。
失いたくない一心で彼と向き合ってます。
というか、向き合える相手だからこそ好き☆と、少々惚気てみる。
ウヲ~頑張っとるよぉ~(ToT)
キンキンさんも、頑張ると?
だったら、全面的に応援するさ!!
ドラゴンボール探すたびにウチもららぽーと行こうかな~♪

2 ■すっごいわかる

なんか、心に響きましたw
同じような境遇?なのかわからないけど、俺も相手のこと知りたいけど、知ったらこの関係が終わっちゃうかもみたいな感覚もあって、あと一歩が踏み込めないみたいな部分があるんで。
俺も今の好きな人がめっちゃ大事だし、生涯一の恋愛だと思っているけど、なかなか踏み込めない自分がいます。俺もがんばろうとおもいました。

1 ■すごいなぁ…

せのりさんすごいよ!ちゃんと相手と向き合って。相手もちゃんと答えてくれて。
あたしにゎできんかったことをせのりさんゎ頑張ってしとるんよね。せのりさんのブログ見てたらあたしもマヂ頑張らなきゃなって思いました(*>ω<*)/⌒☆

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