75.裸、見られた? | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

75.裸、見られた?

お風呂に入る。
ただそれだけに思い悩む。
鏡と睨めっこ。


壁を隔てて彼がいる。
見られているわけでもない。
だけど、同じ空間で服を脱ぐという行為に、何故だか恥ずかしさから逃げ出せない。


恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。


耳をすますと、彼が見ているのであろうテレビの音が聞こえてくる。
どうしようもないが、どうしよう。

服を1枚脱ぐたびに鍵の付いていないドアが気になった。
差し支えのない部分を先に脱ぎ、下着姿になってまた取り合えず悩む。
そして、もう1度ドアを確認してから、これでもかってスピードで下着をとり、シャワールームに入った。


念入りに洗った。
でも、備え付けのシャンプーとコンディショナーは髪がパシパシ。
ボディーソープは流しても流しても、ヌルヌルだった。
なんだよー、テンション下がる。
でも、お風呂上りの彼と同じ匂いがする。

湯船に浸かってまた取り合えず考える。
と、思ったけれど気持ちが良くてどうでもよくなった。
極楽・・・極楽・・・。


何も考えることなく、シャワールームから出て、タオルで体を拭いていると・・・。


ガチャ。


のぞき 何食わぬ顔して彼が潜入。
「ちょっと、馬鹿!」
思わずしゃがみこんで体を隠した。
「まだ、拭いてたん?遅いな~」
「もうちょっと外出てて!」
「頭、濡れてて風邪引きそうや」
ってか、絶対わざとだ、今の・・・。
見られたのか?
入るときはあれだけ、気を配っていたのに、私の馬鹿。
あまりの良い湯加減に、ホッとしていた。


・・・どうなの?私の体は。
聞けやしない。



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