69.A型男とO型女
休みが取れそうだと決まってから、A型の彼のリサーチが始った。
何処に行きたいとか何が好きかとか私の好みを聞きたがった。
その点では私は昔と全く変わらない。
「どこでもいいよ、何でもいいよ」
「ソレが一番困るんだよ」
と、彼は忙しそうだった。
「映画みる?ボーリングする?カラオケする?」
「いいよ」
「何が?」
「あなたが好きなものでいいよ」
「お前は?」
「好きだよ」
「やっぱり嫌~とか言われたくないしな」
「言わないよー。言うなら今言う」
「これだけは嫌ってのはある?」
「疲れるの」
「ボーリングだめじゃん・・・」
「なんで?」
「疲れるでしょ?!」
「それ、はしゃぎすぎだよ」
「いや、するならマジで闘わないと」
「もしかして、本気とかいてマジ?」
「他に何がある!?」
「ソレって少年の心を忘れないってやつ?」
「あぁ、いつまでも忘れないね」
何度も何度も聞かれた。
何が食べたいとか何が楽しいとか。
会う日が近づくにつれ彼は焦りだしたのだろうか。
「俺と何もしたくないってことか?」
なんて、ひねくれた事を言い出した。
「うぅん、一緒ならどこでもいいよ」
「ホラー映画でも?」
「ムッ!嫌いなの知ってるくせに!」
「お前が何処でもいいって言うからやん」
「いいよ~別に、泣いてやるから」
「それは困るからやめとく」
「まぁ、ほんと言うとデートってしたことないから。そりゃ映画に誘われたりはするけど、始だけだし。後は男の家ばっか、いつもそうだったから、あんまり知らないの」
「そか」
「ほんとに一緒ならどこでもいい。色んな所に行きたい。デートしたいな」
「解かった。ハードスケジュールで考えるわ」
「疲れるのは嫌だよ」
「OK!文句言うなよ」
彼が一生懸命で嬉しかった。
どんな不安があったとしても、少なくともこの「時」だけは、私だけ。
そんな独占欲。
今まで、彼女になろうとしたりしたけれど、初めてそう感じた。
独占したいと感じた。
今はまだ、そんな感情だけ・・・。
きっと、世の彼女と言う名の女性は、だから怒るんだと思った。
理不尽に怒るんだと思った。
怒りはまだない。
彼女にも同じことしてるのかな・・・そんな風に思うと少し心に穴が開いたように感じだけ。
世の真似を、今はしようとは思わない。
普通に憧れる。
だけど、彼には素直でいた。
多分、彼の考えた計画は見事に崩れ去る。
何故って?
私はO型だから。
何処へつれていってくれるんだろうな。
週末が楽しみだ。