68.想いよ届け | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

68.想いよ届け

私たちは、今まで胸にしまっていた想いを、毎日吐き出した。
相手に聞きたい事が山ほどある、相手に聞いてほしい事が山ほどある。


彼には彼女がいる。
だけど、言葉を交わす間に、もうどうなっても良いとすら思った。
落ちてしまえ・・・。


「期間限定の恋じゃないよね?」
「違うよ」
「お前が恋に恋してるだけではないよね?」
「う~ん、どうかな?」
「おぃ・・・」
「だって、こんなに好きになったのは初めてだもん」


恋に恋してるか・・・。

私はいつもそう感じることがある。

誰かと同じ恋をしているだけじゃないのかって。

でも、これは・・・これだけは、自分の胸で感じた想いだと言える。

でも、言い切れない。


「俺は人に頼られる程、強くないし偉くもないよ」
「そのままでいい。私は充分守られてる」
「ハッキリ言って自信ない」
「嘘・・・」
「でも、お前には弱い自分でも守ってやらなきゃと思ってる」
「でも、私、昔と違うよ」
「お前がこう変わることも予想してたよ」
「そうだったね」
「ずっとお前を見てきたよ」
「私も」
「出会ってから4年以上・・・」
「うん」


「私も」と言ったが、私は彼の事まだ何もしらない。

漠然と彼を好きなんだ。

彼は昔と変わっていないように見える。

彼はどう変わったんだろうか。

私には今の彼を予想する事ができなかった。


「お前の好きって感情はまだ理解できないけど、俺は今は特別必要とされてるんだな」
「そうね」
「強くお前を抱きしめたい」
「抱くの?」
「嫌か?」
「少しだけ・・・」
「何で?」
「・・・・」
「無理に言わなくてもいいよ。また話したい時聞くから」
「うん・・・直ぐに嫌いにならない?」
「あほやなお前は!俺は簡単に人を信用せぇへんし、認めないし、いつも疑いの目で人を見てる嫌なやつやで。一度好きやと思ったやつをそう簡単には嫌いになったりできへんよ」
「そう・・・」
「それに、すきになった女性に代わりなんていない。お前はこの世の中に一人。俺はそのたった一人のお前が好きなんよ」
「ほんとに?」
「あぁ、でも彼女いながら始った恋やからきっと理解されにくいし、矛盾の多い愛に思えるかもしれないけどな」
「少しね」
「好きやで」
「私も好き」


彼女がいる。
そんな不安で始めた恋愛にまだブレーキをかけていた自分。
思いのままに突っ走ろうかな・・・。
そう思ったら心が躍った。


「早く会いたい」
「あぁ、今必死で仕事詰めてるよ。来週末には会えそうだよ」
「マジで!?」
「いや、俺、あんまり仕事できる方じゃないから、あまり期待しないで」
「するー」
「あぁぁぁぁ、頑張るわ。土曜休み取れたらまた連絡するから」
「休みが取れるまで連絡してこないつもり?」
「あはは、するって。お前もメールするんやで」
「うん、ウザイくらいする」
「ソレはやめて・・・」
「何?嫌なの?」
「ウザイんだろ?」
「じゃぁウザくないメールを送る」
「それなら大歓迎」


彼の流れに沿うことが幸せに感じた。
想いを伝えるという事に嬉しさを感じる。
暑くなり始めている夏の始まり。
吹き抜ける風と乾いた空気が、私の心を爽快にさせる。


もう直ぐ会えるんだ・・・。



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