67.瞳の深さに惹かれた
翌日、私の裏腹メールの返信が返ってきた。
何故にこんなにも時間が必要だったのだろうか。
<今の俺にしてあげられること、叶えてあげられることはしてやりたい。お前のことずっと好きやった。今までなかなか面と向かったことなかったからなお前と・・・。急速すぎて焦ってるけど。でも・・・俺はお前が思う程いい男じゃないよ。常に矛盾ばかりの嫌な男やし・・・。お前は俺の何を知って惹かれてる?俺はね、お前の瞳の深さに惹かれたんだ>
解かる事は一つ。
あのメールを受けて、彼が私の事を考えてくれたという事。
私も同じ彼の瞳の深さに惹かれた。
何をそんなに悲しんでいるのだろうって・・・。
その瞳を晴れさせてあげたいって思った。
そして、彼の真っ直ぐな強い気持ち。
そんな彼に影響されて、私も素直になれる。
そんな自分が好き。
とっても気持ちがいい。
彼といると強く生きられる気がした。
そして・・・そして・・・。
<私、あなたが好き。でも、好きな所は言えないよ。こっそりと見ていたいの。ほら、言ったら調子のるでしょ~。でも、あなたが思う矛盾してるところも好きだよ。気持ちに正直ってことだよね。どんどん変わる想いに嘘つかないところ好き。それにいい男だよ。私はあなたを好きになったの・・・だから、あまり自分を否定しないで・・・。私の想いが間違ってるのかと弱気になってしまう。あなたは素敵な人だと思う。そんな力を少しでも、私にください。あなたに触れて変わった自分も大好きです>
彼の心を探らなくても、言葉として私に届いている。
心の会話はもういらない。
嘘もカケヒキももういらない。
私の心も、言葉として彼に届けられる。
気付いて・・・そんな風に心の中で訴えることももうない。
ふぅ・・・。
ため息を一つついた。
今まで心にしまっていたモノが零れ落ちた気がする。
嬉しいため息だった。
もしも・・・もしも・・・、私の瞳に深さがなくなったらどうなってしまうのだろう。
もしも・・・もしも・・・、彼の瞳に悲しみがなくなったらどうなってしまうのだろう。
はぁ・・・。
ため息をもう一つついた。
今度は失いたくないと言う恐怖を感じる。
今日は男からの連絡がない。
このまま、なくなってしまえ。
そして、彼の彼女もまた、なくなってしまえばいい。
・・・これは今は叶えられない望みかな。
彼に会いたい。