歌舞伎を観始めたとき「踊りが上手いとはつまりこういうことか」と初めて実感させてくれたのが三津五郎さんでした。
柔軟性という意味だけではない、上半身のしなやかさ、手先の美しさ、間の良さ、そして何よりも踊る喜びが全身から放たれていて、見物をうきうきさせてくれる、包みこむような空気感。またお父様として、師として垣間見えるお茶目な面、厳しい面も伺うことが出来ました。それはご子息である巳之助さんが、トークショーなどでご一緒すると必ずといっていいほど「うちの父は」「うちのオヤジ(江戸弁の発音で)が」と、自然と三津五郎さんのお話をされるからで、本当に絆の強い親子なんだなと思っていました。
お芝居をフラットにみてほしい。
歌舞伎を楽しんでほしい。
これはお二人が共におっしゃっていたことのような気がします。
だから私は今日まっさらな気持ちで、胸を高鳴らせて京都に向かっています。