とおくてよくみえない | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

先日、横浜美術館に行ってきました。
高嶺格(ただす)「とおくてよみえない」
が目当てで。

ダムタイプにいた人、という位の
予備知識だったのですが存分に楽しめました。



なかでも「God bless America」というビデオ作品が印象的でした。


どこかの一室に数組のカップルやグループ?が住み込んで
巨大な粘土を壊して創ってを繰り返している。

多分、何週間かを10分位に短縮しているので早送りになっていて、
BGMのGod bless Americaがひたすら流れている。

作品のなかに窓はないから外の日の昇り沈みはわからないけど
日常の中に創作があって、日常の中に眠りがあって、
日常の中に愛があって、
それは淡々と繰り返されていくものだということを感じた。

美術館内に陳列された数々の作品、これを仕上げるのに
幾度となく狂いそうになったのでは?と思えるものもあるけど、
実際は洗濯物を畳むように、歯磨きをするように、
日常の一部から作品は生まれているのかも。
そのまた逆も然りですが。





そして自分の毎日だって複雑に思えるけど、早送りボタン長押しして
3倍速とかにしたらあっという間なんだろう。

この瞬間なんて「あ」っていう間の
息を吸い込む準備の準備の準備の100分の一の時間位なのかも。




でもでもでも、今、自分にとっては通常に再生されているので
この時間をめいっぱいすみからすみまでずずぃと使わせていただきます。




横浜美術館。
略してよこび。
「最近の美術館はどこも略す傾向にある」と
その人がいうので

じゃあ箱根彫刻の美術館は、










はこちょび









と言うとしばしの沈黙が流れました。