瀬上の森から、、、(瀬上の森パートナーシップ SMP) -5ページ目

谷戸の景観と生きものを支える「水」について学びます

瀬上の森・パートナーシップ-瀬上の小川.JPG
瀬上の森をはじめとする谷戸の景観は、樹林と水辺が形づくって
います。

谷戸の学校では、谷戸の生きものをテーマに扱うことが多いの
ですが、それだけでなく、これまでも生きものの生息・生育環境を
支える地質、ため池、小川なども対象に取り上げてきました。

4月の谷戸の学校は「水」がテーマです。

谷戸の生きものの環境を維持管理するにあたって必要な水の量と
質をどのように調べ、そこで明らかになるデータをどのように
読み取り、日ごろの環境保全活動に結びつければよいのか、
基本的な技術を、実習を通して学ぶ機会です。

講師の三嶋さんは、行政の職員として水質管理のお仕事を続けて
こられ、現在は横浜自然観察の森などで環境保全ボランティアと
して活動しておられます。
水と生きものの両方の視点から谷戸を見る視点をお持ちです。

水も温みつつあります。どうぞご参加ください。

なお、ホタルの上陸(蛹化)の季節になりますので、
水辺に入る場所と人数を制限させていただきますこと、
あらかじめご承知ください。


日時:4月18日(土)10時~12時(少雨決行)

集合場所:横浜栄高校(上郷高校)下ホタルの掲示板

タイトル:「谷戸の水を調べよう」

講師:三嶋義人さん(横浜自然観察の森友の会)

準備:多少濡れてもよい服装。お持ちの方は長靴でどうぞ。
   (長靴がなくても参加できます)

申込:できるだけ電子メールあるいは電話(留守録)で
    事前にお申し込みください。
   segami-ps@hotmail.co.jp
   080-5379-6409

会費:無料(ご無理のない範囲でカンパをお願いします)

SMP事務局

【ヒルサイド情報】昭和20年代の瀬上の森を再現します

瀬上の森・パートナーシップ-ジオラマ製作中.jpg
ご紹介したリハーサルの会場でも一部をご紹介したのですが
本番の「谷戸のくらし野外ミュージアム」の出展には、
谷戸のジオラマが登場します。

横浜には今も素敵な谷戸の景観がいくつか残っており、
どこをモデルにするかボランティアスタッフで相談をした結果、
昭和20年代の瀬上沢を再現することになりました。

まだ舞岡上郷線はもちろん、上郷高校(横浜栄高校)もなく、
中央の谷戸にも枝谷戸にも水田が広がっていた頃の景観です。

当時の地図を参考に、薄い発砲スチロールを積み重ね、
紙ねんどで表面を覆っていくという地道な根気のいる作業が
続いています。樹林や水辺も再現しようとしています。

このジオラマは、谷戸のくらし野外ミュージアムの出展の
シンボル展示の一つとして、「谷戸ってなんだろう」という
コーナーを飾ります。

是非ヒルサイドで、
60年近くも前の瀬上の森に出会ってください。

出展主体:谷戸のくらし野外ミュージアム設立準備室より

【写真は製作中のジオラマの一部】

【ヒルサイド情報】出展リハーサルが行われました

瀬上の森・パートナーシップ-リハーサル1.JPG
既にこのブログでもご紹介の通り、SMPのメンバーを含む
横浜の谷戸の環境保全ボランティアたちが、開国博Y150の
ヒルサイド会場で「谷戸のくらし野外ミュージアム」と
「横浜の谷戸体験」という二つのプロジェクトを出展する準備を
進めています。

海沿いのベイサイド会場は一足先に4月末からスタートします。
ズーラシア隣接地のヒルサイドも7月4日の開場まで3ヶ月を
切りました。

このタイミングに合わせ3月の下旬、若葉台の廃校になった
中学校を使ってヒルサイドのリハーサルイベントが行われました。

二日間にわたったリハーサルイベンントでは主役である
市民出展者の多くが、若葉台の近隣にお住まいの方々を
ヒルサイドの来場者に見立てて、それぞれの出展のメッセージを
伝える試みを行いました。

谷戸のくらし野外ミュージアムと横浜の谷戸体験も合同の
リハーサル出展を行い、想定を越える多くの来場者に
おいでいただきました。

内容は、、、本番のお楽しみ、というところですが、
特にビンゴゲームをしながら谷戸の自然や文化に触れる
コーナーは係員のボランティアが一息つく間も無いほど、
プログラムに反響がありました。

一方で、工夫をこらしたつもりの展示パネルは、ゲームほどには
多くの方をひきつけられず、改善の余地がありました。

実は来場者の中には、主催者のディレクターやスタッフが何人も
混じっていて、終了後、良かった点や改善した方がよい点を
しっかり指摘してもらいました。

ともあれ、準備にかかわっているボランティアたちにとっても、
本番に向かって気持ちを高め内容を工夫する貴重な機会でした。

本番をご期待ください。

出展主体:谷戸のくらし野外ミュージアム設立準備室より

【写真はリハーサルの様子】

キブシの生存戦略もなかなか厳しそうです

瀬上の森・パートナーシップ-谷戸の学校 キブシ.JPG
3月の谷戸の学校は、元横浜自然観察の森のチーフレンジャー
として円海山緑地の保全計画の作成にもかかわっておられた
藤田薫さんを講師にお招きしました。
テーマは、藤田さんが研究対象にもしてこられた、キブシと
野鳥のかかわりを中心に春の谷戸のお話に広がりました。

といってもそんなに難しい講義ではなく、参加者がそれぞれ
ビンゴの用紙を手に持って、谷戸の多様な環境を確認しながら
それぞれの環境で見られる(聞こえる)野鳥とのかかわりを
理解していくという楽しいものでした。

谷戸の春を象徴するキブシが、雄株と雌株に分かれていることを
ご存知の方も多いと思いますが、その間をとりもって花粉を運ぶ
役割を担っているのは、、、という疑問で、キブシの花にネット
をつけて結実の調査を重ねた結果、わかったのは、
小さな昆虫たちも花にくることはあるのですが、受粉の主役は
実は野鳥たちです。

またキブシの受粉戦略上、花をつける時期が大変大事な要素に
なっていて、野鳥を呼び寄せるにあたって、少し時期が早いと
ヤブツバキと競い合うことになりますし、少し遅くなると今度は
サクラと競い合います。ツバキやサクラの方が、蜜という受粉の
お駄賃は豊富で花も目立つのでキブシも楽ではないようです。

春をテーマにしていましたが、ちょっと寒さが戻ってきていたので
途中の陽だまりで日なたぼっこもしながら、円海山緑地の
保全管理計画の概要のお話もうかがうことができました。
それにビンゴゲームにはちゃんと賞品も参加賞の飴玉も用意して
もらっていて、和やかな観察会になりました。

次回の「谷戸の学校」は、4月18日(土)の10時から。
水質調査がご専門の三嶋さんを講師にお招きし、
谷戸の保全や管理のためにも必要な水量や水質の調べ方の基本を
実習を通して学びます。
お持ちの方は長靴をはいてこられるとよいと思います。

SMP事務局

シンポジウムの報告書が完成しました

瀬上の森・パートナーシップ-報告書.JPG
2月7日に開催しました今年度のSMPシンポジウム
「瀬上、谷戸の生きものと外来種」の報告書が完成しました。

この報告書は、約4時間にわたるシンポジウムの基調講演、
報告、パネルディスカッションのすべてをテープから起こし、
講師やパネリストのご確認をいただいて掲載したものです。

A4版で全52ページという大きな報告書になりましたが、
内容的には現在の横浜周辺の谷戸の外来種問題を考える上で、
充分参考にしていただけるものになったと考えています。
また、講師の生の発言を可能な限り生かし、会場での臨場感も
再現できるように編集をしました。

この報告書は共催団体や後援団体を含めた横浜の環境保全活動
グループや行政機関、あるいは近隣の学校などにもお届けを
する予定です。

このシンポジウムを通じて、環境保全ボランティアの間でも
瀬上の森の外来生物問題についての関心が更に高まっており、
これまでのセイタカアワダチソウの駆除活動に加えて、
アメリカザリガニなど手のつくところから外来生物への対策を
進めていく計画も進みつつあります。

報告書にあまり余部はございませんが、ご希望がありましたら、
下記までお知らせください。
ご希望数により増刷ができるようでしたら
実費相当でおわけできるようにしたいと思います。

segami-ps@hotmail.co.jp

SMP事務局

3月の谷戸の学校は「キブシとさえずり」に再チャレンジ

瀬上の森・パートナーシップ-キブシ.JPG
【昨日の案内で、開催日を春分の日と誤解されるような
 表現を含んでいましたので一部訂正しました。
 開催日は3月29日です。】





今年は全般に春の訪れが早いようで、全体に花の開花も早いと
言われています。
昨年の3月の谷戸の学校で予定していたプログラムが悪天候で
中止になり、今年もこの季節にもう一度チャレンジします。
ということで、このご案内も昨年の案内をもう一度使います。

これからの季節、円海山緑地を歩くと、遊歩道沿いで淡い黄色の
かんざしのような花の穂をたくさん目にされると思います。
キブシです。
ヤマアカガエルの卵塊が早春のシンボルだとすれば、キブシは
本格的な春の到来を教えてくれているように思います。

また、シジュウカラ、ヤマガラ、ウグイス、メジロ、ホオジロなど
耳にも心地よい野鳥たちのさえずりも聞こえてきます。

3月の「谷戸の学校」は、横浜自然観察の森のレンジャーとして
円海山緑地の保全にも深くかかわってこられた藤田薫さんを
講師にお招きして、彼女が長年の研究テーマにしてきた
二つの生きもの、キブシと小鳥たちのお話を伺います。

何やらキブシと森の生きものたちには、
不思議なつながりの輪がありそうですよ。

生態系やその保全の視点を大切にした楽しい講座になりそうで、
主催する方が、ワクワクドキドキ、楽しみにしています。

思い切り春の息吹と知的刺激を感じてみませんか。

1.日時 2009年3月29日(日)10時~12時

2.タイトル 谷戸の春、さえずりとキブシに集う生きものたち

3.講師 元横浜自然観察の森のチーフレンジャー 藤田薫さん

4.集合 上郷高校下 ホタルの掲示板

5.申込 当日集合場所でも受け付けますが、準備の関係で
     できるだけ事前に下記までお申し込みください。
     segami-ps@hotmail.co.jp

6.その他
 *少雨決行です
 *行事のフィールドにトイレはありません。

SMP事務局

SMPシンポジウム 「瀬上、谷戸の生きものと外来種」(速報4)

瀬上の森・パートナーシップ-東さん.JPG
SMPシンポジウムにおける講師のお話のポイントを要約して
正式な報告書に先立ち、速報としてご紹介します。
この要約の文責はSMP事務局にあります。

SMP事務局

【横浜自然観察の森 東陽一さん】

横浜自然観察の森の運営にあたって長期目標を立てているが、
その中で「いきもののにぎわいのある森づくり」という目標を
掲げている。「いきもののにぎわいのある森づくり」という
のは生物多様性の保全というとちょっと硬い感じがするので
それを易しく言い換えている。

横浜自然観察の森には、どのような外来種がいるのかというと
目立つのはタイワンリス。開園した約20年前ぐらいは少なかっ
たらしいが、今では園内で普通に見られる生き物になっている。
樹皮をかじったり鳥の卵を食べることもあって在来の生き物に
対していろいろ影響が出ることが懸念されている。

それからもう一つはアライグマ。アライグマはタイワンリスと
違って夜行性なのでなかなか目にすることはないが、センサー
カメラを使って撮影すると、多いのはアライグマ、タイワンリス
野良ネコとか外来種ばかり。在来の鳥や、哺乳類だと野ウサギや
タヌキが映ることはあるが、アライグマのほうが圧倒的に多くて
かなり増えているのではないか。観察の森の園内でも湿地に
足跡がたくさんあってカエルとかを食べているのではないか。

植物のほうで言うと一つはトウネズミモチという植物で自然観察
の森が開園した当時に多数植栽された樹木。開園した頃はまだ
外来生物が問題だとかというような意識が非常に引くかった時期で
トウネズミモチが園内に多数植栽されていた。
この実を鳥が好んで食べてフンと一緒に種が広がっていく。
ちょっと日当たりがよければすぐ発芽する。

あとはセイタカアワダチソウ。有名な北米原産の外来種で在来の
植物を駆逐して増えていく。
ほかにもアメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメ、ウシガエル
植物でもシュロ、ワルナスビなどが園内で確認されている。

駆除活動を行っているものもあるが横浜自然観察の森は大きな緑地
の中の一角で園内だけでの駆除活動では根絶というのは不可能。
減らしていく努力も必要だが、新たに放したり増やしたりすること
がないようにという市民への普及活動というのも重要になってくる。

自然観察の森では、外来種を除去しながら、外来種を学び、
これ以上増やさないようにしていくということに取り組んでいる。
セイタカアワダチソウは04年ごろから毎年除去作業を行っていて
企業の社員ボランティア活動での除去作業や、一般来園者向けには
秋にセイタカアワダチソウを抜こうという看板を立てておいて、
看板を見た方が5本抜いてくると「いきもののにぎわいのある
森づくり参加認定証」というのを進呈している。
子供でも気軽に参加できるし、問題に気づいてもらえる。
毎年このような取り組みをやることでセイタカアワダチソウが
減って、元々の在来種であるススキがだいぶ増えてきてはいるが
根絶できるわけではない。

横浜観察の森でも「生き物は持ち帰らないで」ということを呼び
かけていたが、今では「持ち込まないで、放さないで」という
こともお願いしている。このような活動がもっと広がっていけば
新たな外来種問題の発生というのを防ぐことができるのでは
ないかというように期待している。

講演会「エコ森と横浜南部の自然・環境保全」のご案内

瀬上の森・パートナーシップ-エコ森.JPG
円海山緑地の一角を占める金沢動物園では「森とエコ」を
テーマに「エコ森プロジェクト」を進めています。

プロジェクトはこの動物園の魅力アップと合せて、横浜市の
環境保全施策と連動させた施設の見直しと拠点化をはかりたい
というもので、その提案イベントの一環として、
3月17日の開園記念日に金沢動物園が位置する横浜南部の
自然・環境保全についての特別講演会を実施します。

エコ森の紹介の他、円海山緑地や横浜南部での環境保全の活動
に関わっている講師による講演が行われます。

講師の一人として、SMPの事務局を担当する中塚が、
円海山緑地周辺の実効ある保全の必要性について
お話をする予定です。

日時:  3月17日(火)13時~17時

会場:  金沢自然公園植物区
     「ののはな館」2階 レクチャールーム

テーマ: エコ森と横浜南部の自然・環境保全

講演者:浜口哲一氏(神奈川大学特任教授)
     塩田肇氏(金沢八景―東京湾アマモ場再生会議代表)
     中塚隆雄氏(環境保全ボランティア)
     エコ森プロジェクトチーム 村井良子氏 他

参加費: 無料

なお、会場の「ののはな館」では、エコ森プロジェクトの紹介や
横浜南部で活動している団体の環境保全活動を紹介しています。
4月12日(日)まで。

所在地:横浜市金沢区釜利谷東5-15-1
TEL:783-9101 FAX:782-9972
アクセス:京浜急行「金沢文庫駅」西口から京急バス、
     横浜横須賀道路釜利谷ジャンクション専用ゲート
     または笹下釜利谷道路より正面口駐車場

SMP事務局

SMPシンポジウム 「瀬上、谷戸の生きものと外来種」 (速報3)

瀬上の森・パートナーシップ-樋口さん.JPG
SMPシンポジウムにおける講師のお話のポイントを要約して
正式な報告書に先立ち、速報としてご紹介します。
この要約の文責はSMP事務局にあります。

SMP事務局

「谷戸にすむ魚類の保全と外来種」

【横浜市環境科学研究所 樋口文夫さん】

わたしの話は76年から最近まで市内の河川を中心に調査した
結果と81年から83年まで円海山周辺の源流部を持つ川に
ついての調査を行って瀬上沢も対象なのでその辺のデータを
付け加えたもの。

魚類の組成を柏尾川水系を中心に見ると、84年には源流部では
ホトケドジョウが大部分で次にドジョウというような種類だった。
ところがそれ以降ホトケドジョウは減少の一途をたどっている。
それに反して増えてきているのがアブラハヤ。
柏尾川本川ではフナ類が結構多かったがその後減ってきて、
オイカワが増えてきた。

さらに上流に源流部を限定して瀬上沢の池と水路で81年から
05年までの変化を見ると、池では、当初はトウヨシノボリ
あるいはモツゴというものが多くを占めていたが、
97年になるとブルーギルとかオオクチバス(ブラックバス)が
確認された。実際は80年頃からいるという情報を得ていたが。

瀬上沢の水路は池から下りてきたらしいトウヨシノボリが多く、
ドジョウとかわずかにホトケドジョウが生息していた。
それ以降ホトケが見れなくなってしまった。
(注:SMPでは近年もホトケの生息を確認)

それは生活環境にも大きくかかってくるのではないだろうか。
瀬上沢の水路は岩盤やれきが多いが、以前は水田があって、
ホトケドジョウとかドジョウが好む細い流れがあったが
そのようなところがなくなったということが大きくかかわって
きているのかもしれない。
 
瀬上沢の大きな特徴としては谷戸の源流であっても
ホトケドジョウよりヨシノボリが非常に多いが、
これは池から下りてきたシマヨシノボリと海から遡上してきた
トウヨシノボリが多い。

ブラックバスとブルーギルという外来種が市内に多く見られる
ようになったのは80年に入って各河川でコイが盛んに放流され
一緒にいろいろな魚が持ち込まれた頃。
この両種は、共に池に放流されて大きな被害を与えてきた。

外来魚と在来種との関係ということで、ため池・公園池で
外来種の有無によって在来種への影響がどの程度あるのか
ということを調べた。すると外来種がいないとモツゴが多い。
トウヨシノボリもメダカやフナもいる。
オオクチバスのいる池はモツゴの数が少ない。
それに比べてトウヨシノボリはあまり差がない。

甲殻類では一番影響を受けているのはアメリカザリガニ。
ブルーギルがいる池ではザリガニはほとんどいない、あるいは
オオクチバスと両方いる場所は非常に少なくなっている。
同じ北アメリカ産のアメリカザリガニとブラックバスあるいは
ブルーギルという間では、食う・食われるの関係が
うまく成り立っているのかというような感じも受けた。

瀬上沢はほかの源流部と比べて非常に違った魚種組成を示して
いるとともに多くの魚が住んでいる。そのような点からも
非常に重要な場所だろうし、柏尾川全体の生物多様性を
維持していくためには、このような流域の自然度の高い源流部は
非常に重要なますますクローズアップされてしかるべき所だろう
と感じている。

以上

SMPシンポジウム 「瀬上、谷戸の生きものと外来種」(速報2)

瀬上の森・パートナーシップ-金田さん.JPG
SMPシンポジウムにおける講師のお話のポイントを要約して
正式な報告書に先立ち、速報としてご紹介します。
この要約の文責はSMP事務局にあります。

SMP事務局


【生物多様性JAPAN 金田正人さん】

苅部さんは入ってくるものをどう防ぐかという点について
話をされたが、私は入ってきたものへの対策の話をしたい。

三浦半島の谷戸の注目種にトウキョウサンショウウオという
生きものがいる。谷戸の水辺と斜面林を生息の場所にしている
ので、谷戸が健全であればサンショウウオも健全に過ごせる
ということになる。

三浦半島の生息場所についてはほとんど確認をしていて、
その場所がどうなってきたかということも見てきた。
開発されたり耕作が行われなくなったりペットとして業者に
採集されたりという危機で失われたものも多いが、
サンショウウオを守る活動を続け、ようやくこのままいけば
あと50年か100年は大丈夫かな、と安心しかけた頃、
外来種であるアライグイマによるトウキョウサンショウウオ
の捕食という問題が出てきた。

センサーカメラを使って水辺に現れるけものを調べたところ、
映っているけものの83%はアライグマだった。
アライグマの原産地では有効な対策がとられている、という
話を聞いてアメリカのフロリダまで行って調べたところ、
闇夜には罠をかけ月夜には射殺するという、
ちょっと日本ではできないものだったりしたが。
ただ駆除の方法はあるし、対策をとれば効果はある。

タイワンリスについても、横浜で駆除(捕獲)の実証をやった。
特定のフィールドの中では明らかに効果のあることがわかったが、
効率的に駆除するためには、よく対象の外来種の生態を研究する
ことが必要。罠の作り方についてもいろいろ工夫を行った。

日本でも外来生物法ができてアライグマやタイワンリスを
駆除する法的な裏づけはできたが、実際の運用という意味では、
生活への被害や農作物への被害があれば行政は対応するが、
生態系被害について行政が対策をとるという例は非常に少ない。

今や神奈川県にいる哺乳類や爬虫類の半分は外来種という
状態になってしまったが、まだ手遅れではない。
あきらめた瞬間に手遅れになる。
守るべき生態系が少しでも残っている間に対策をとるべきだ。

以上