Xbox One: クラウドは次世代ゲームのカタチを変えられるのか? (5) | みらいマニアックス !

Xbox One: クラウドは次世代ゲームのカタチを変えられるのか? (5)

クラウド・コンピューティングのもう一つの知られた可能性はAIだ。NPCがダックしたりショットしたりすべきかを判断するような直接的なインタラクションのためではなく、Grand Theft AutoやElder Scrollsのような生きている世界のためのバックグランドAIだ。

これらのゲームの複雑さは、コンソールの持つリソースに常に限定されており、AIはしばしば非常に単純な行動ルーチンにしか持つことができない。クラウドコンピューティングは世界のシミュレーションを行い、プレイヤーのローカルの世界を時間をかけて更新することで、世界を生きたものにし、プレイヤーのアクションに応答できるようにすることができる。

このような複雑なゲーム世界は大きな進歩かもしれないが、これらもまた特定の種類のゲームに制限されている。Gears of WarやForza Motorsportといった、Xbox 360のフラッグシップのようなゲームは、賢いNPCやそういったものをほとんど必要としない。

ではクラウドコンピューティングには、他にどのようなオプションがあるだろうか?

この点で少々当惑させられることは、MSはどうやらアイディアに詰まっているらしいことだ。Xbox Oneアーキテクチャ・パネルで、開発ディレクターのBoyd Multerer氏は、こう言わざるを得なかった:

「もっと大きな世界を持つのを始めることができますし、多くのプレイヤーを一緒にすることもできます。通常であればローカルで行う処理のいくらかをクラウドに置くこともできるかもしれません。...ご存じの通り、この世代は変化と成長を受け入れることが重要ですが、一方でゲーム開発者が求める予測可能性を維持してもいるのです。」

チーフプロダクトオフィサーのMarc Whitten氏は、イベント後のインタビューで語っている:

「クラウドの性能を活用してゲーム体験を作り出すことができます。そしてクラウドは箱とペアを組むことが実際に可能です。クリエイタは生のクラウドの演算性能を用いて、もっと大きな世界、もっと複雑な物理演算、そういったこと全てを実現できるのです。新しいXboxの力と新しいXbox Liveの力を合わせれば、比類のない創造性を見ることになるだろうと思います。

どちらもプレイヤーの数の増加に言及する一方で、どちらもクラウドコンピューティングの機会のための明確なビジョンを提示していない。私たちはまた、ローカルのハードウェアの重要性を認識している。コンソール・アーキテクトのNick Baker氏はAMDのマルチタスクのGCNアーキテクチャの有用性についてコメントし、こう語っている。

「GPUは同様にマルチタスクですので、複数のレンダリングを行い、クラウドの全てが効果をもつようにスレッドを計算し、レンダリングを実行しながら、AIやコリジョン判定をGPUで平行して実行することができます。」

これはある種の混乱したメッセージだ。新境地に立って新しい領域への道を切り開いているとMSは言いつつ、一方ではゲームに従来通りのソリューションを提供している。MSより少し創造的に考えてみるならば、クラウドにはMSが思いついていないいくつかのオプションがある。手続き型コンテンツ生成は現世代が始まるときに手を振られたバズワードで、結局実現されることはなかったのだが、テクスチャやモデルの生成をオンラインで行い、街をさまざまな人々や建物で埋めることは可能だ。

PS4とXbox One(推測だが)で利用できるアルゴリズムによる質感生成エンジンは、ローカルの処理能力を用いてアルゴリズム的にテクスチャを作成する。成熟してゆく人々や環境、古びた世界などのアセットを生成するのに、クラウドでこれと同じ技術を使うことができる。

Peter Molyneux氏の何年も前からの野望である世界のライフタイムを通じた永続性を考えると、Fableをクラウドにし、プレイヤーの世界を育てることをサーバーにさせることは良く適合しているものと思われる。コンソールの処理能力が著しく高くなり(テラフロップスはやはり大きな処理能力だ)ローカルでこの処理を行うほどになっていたとしても、この処理はゆっくり行うことができるものであり、ゲームの他の処理と平行して流せるものであるからだ。

また手続き的に生成されたスピーチも想像できる。適切な調査をすれば、サーバは、非常に要求の厳しい音声シミュレーションに用いることができる。際限なく繰り返される録音済みの音声を再生するのではなく、ゲームに適応する現実的なおしゃべりをNPCにさせるのだ。


もう一つの可能な用途は処理性能を無視して、クラウドの事実上無限のストレージに焦点を当てるものだ。Google Earthを使ったGeoGuessrのように、全世界をプレイスペースとして使用する簡単なゲームはすでにある。技術の進歩をマッピングすれば、将来的には遥かに詳細な表現が期待できる。Project Gotham Racingでは、Bizarreによってキャプチャされた環境は、ディスクに収まる範囲に限定されていた。Google EarthのデータとBizarreのモデリング技術が次回作のForzaに活かされることを想像してみてほしい。プレイヤーは世界のどこの場所でも選択でき、ドライブを開始することができるのだ。

クラウドストレージによってディスクのストレージの限界を突破すれば、それは確かに可能だ。EuclideonのUnlimited Detail技術は、3Dでスキャンされた世界の未来を示唆するが、一方ではGoogleがKinect-スタイルの3Dカメラを使って世界を全ての次元でスキャンするまでにはどのくらいかかるのだろうかと考えざるを得ない。



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NS: Eurogamer  In Theory: Can the Xbox One cloud transform next-gen gaming?