Xbox One: クラウドは次世代ゲームのカタチを変えられるのか? (1) | みらいマニアックス !

Xbox One: クラウドは次世代ゲームのカタチを変えられるのか? (1)

噂によれば、Xbox Oneはリビングルームに置かれ、1.2テラフロップス(TF)という少なくないコンピューティングパワーではなく、約5 TFというNVIDIAのフラッグシップである、£800もするタイタングラフィックカードと同じくらいの性能をたたき出す。それだけではなく、時間が経てば経つほど速くなっていく。少なくとも、最新のMSのPRキャンペーンがを信じる限りそうなのだ。だが「クラウド」側にゲームの処理を移し、開発者が利用できるリソースを増やし続けるという方法は現実的でなのか?MSの主張は、現実にはどのような根拠を持っているのだろうか?優れたPS4のスペックに対抗するための戦術的な演技なのだろうか、それともこれは実際には単なる希望的観測なのだろうか?

Xbox Oneの発表に先立って、ゲーマーはすでにXbox Oneのハードウェアスペックについてはよく知っていた。これは主にVGLeaksに投稿された、MSのホワイトペーパーリークのためだ。PS4と比較するとCPUこそ同じだが、メモリ帯域幅は狭くGPUでも劣ることから、知られていたように、Durangoは大幅に性能の低いハードだと思われていた。だが発表とMSのLarry Hryb氏によるそれ以降のアーキテクチャのインタビューを見た誰もが、MSと連携した「クラウドのパワー」について幾度となく言及したのを見るだろう。

Marc Whitten氏(chief product officer)は、Liveを30万のサーバーにアップグレードすることについて述べ、このサーバ群は、1999の基準で判断するならば、世界中の全てのコンピュータをあわせたものに匹敵するCPUパワーをもつと示唆することで、この演算性能をわかりやすく示した。Matt Booty氏(general manager of Redmond Game Studios and Platforms)が最近Ars Technicaにこう言っている。
「私たちがよく使う経験則でいえば、リビングルームに置いておけるXbox Oneの一台一台は、クラウドの中にさらに三台分の処理能力を持っているのです。」

つまり、ゲームのためには5TF程度の処理能力があるということだ。
Adam Pollington 氏(Australian Microsoft広報担当)はこれをセンセーショナルに繰り返し、Xbox OneはXbox 360よりも40倍もパワフルだと断言している。

実際に使えるものとしては驚異的な性能であり、Xbox Oneは潜在的にはPS4よりもさらに2.5倍も高性能で、高価なトップエンドのゲーミングPCに比肩することになる。だがこれを実現する上での技術的な障害は数多く存在しており、MSの発言の妥当性について疑問を生じさせている。

MSが「クラウドコンピューティング」という言葉で何を指すのかを、簡単に見てみよう。PRやマーケティングの関係者が派手な流行をもたらす前には、MSの言う「クラウドコンピューティング」は、「分散コンピューティング」として知られていた。これは計算負荷を切り分け、ネットワークを介して利用できるプロセッサ全体にそれを分散させるというものだ。

クラウドコンピューティングの考え方は、汎用的な処理能力を充分に備えた大規模なサーバー群を構築し、必要に応じて1つのジョブから別のジョブへとそれらを振り向けていくことだ。MSの既存のクラウドプラットフォームはAzureと呼ばれ、2010年に開始された。アマゾンやGoogleの競合サービスに対して、着実に市場シェアを成長させている。開発者がクラウド処理を使えるようにするためには、MSはゲーム・コードをジョブにするための構造と、サーバとインタフェースする手段の両方を設ける必要がある。このようなゲーム・コードのモデルは、この世代のマルチコアプロセッサで既に開拓されている。開発者はPS3のCellプロセッサで動作させるジョブにゲームを分割し、スケジューリング・プログラムを使ってジョブの優先順位を設け、利用可能なリソースにジョブを振り分けることを素早く学んできた。サーバインタフェースに関してMSは「Orleans」を開発しており、これはHaloに使われたことが知られているが、詳しいことは分かっていない。

これらの部品を集めれば、開発者が計算リクエストをサーバーに送り、無限の処理能力にアクセスすることができることは確かに可能だ。MSがサーバーにどの程度予算を投じるかによるが。だがパズルにはまだ二つの重要な部分がある。遅延と帯域だ。MSは前者が難題であることは認めているが、後者については、それはコンセプトにおける根本的なボトルネックであるのだが、一切コメントしていない。



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NS: Eurogamer  In Theory: Can the Xbox One cloud transform next-gen gaming?