スコットランド独立の是非を問う
住民投票が実施された翌日、
9月19日の朝にラジオのニュースで
「独立反対派が勝利、
スコットランドは独立せず」の報を聞いた後
わが夫(英国人)がまず最初にしたことは
前の日に購入していたスパークリングワインを
そっと冷蔵庫に入れることでした・・・

「あっスパークリングワインと思っていたら
これ、本当のシャンパンじゃないか!
君がこんなお大尽様とは知らなかったぞ!」
「いや、特価販売だったんです、元値の半額!」

ともあれ、夕食前に瓶のコルクを抜く際
「この場合の掛け声、
『独立否決おめでとう!』は
独立賛成派の皆様に
喧嘩を売るようで申し訳ないから
『統一英国おめでとう!』
くらいにしておくべきだろうかね」

私の提案に夫は首を横に振り
「いやもうひたすら『ああ、よかった
Thank Goodness)!』という気分ですよ」

ええ、本当に、ああよかった!

ところで私は昨日、こちらのシャンパンを
グラスに1杯飲んだだけなんですけど
気がついたらボトルが空になっていたんですが
私は夫へのケアを間違えていますかね?

そんなこんなで。

あの、非常に申し上げにくいんですが、
その、今回の独立がどうのこうのの件、
ついうっかり時流に乗り遅れて何がなんだか
いまだによくわかってないんですけど、
もう誰かに質問するのも恥ずかしいし、
結局あれって何だったんですか?
というそこに貴方にお薦めなのが
こちらの英国高級紙ガーディアンが作成した
非英国人に説明するスコットランド独立』ビデオ。

英語がちょっと早口かもしれないのですが
基本的にとてもわかりやすい内容だと思います。

(こんな説明ビデオにも
しれっと『王室ジョーク』を入れてくる
英国人のユーモアのセンスの
アレさもご堪能いただければ幸いです)

このビデオが発表されたのが住民投票の前日、
で、翌日の投票の結果、スコットランドは
「独立しない」ということになったのです。

さて、独立反対派だったわが夫、
今回の結果を受けて現状にはもはや不安なし、
少なくともこれからしばらくの間、
英国の未来はバラ色です!みたいな
認識かと思っておりましたら
「いえ、今回の投票の結果には安堵していますが、
今回のこのスコットランド独立運動の結果、
スコットランドの人とそれ以外の英国民との間に
溝が生まれてしまったことを
僕は非常に残念だと思いますよ」
「その溝はやはり生まれてしまったかね」
「ええ、生まれてしまったと思いますよ」

独立賛成派の多くは純粋に
独立を希望する人たちであったと信じたいが、
一部の独立賛成派の真の狙いは
『国家としての英国の弱体化、人心のかく乱』
にあったのではないか、というのが
わが夫の割と早い段階からの懸念でした。

国家独立というのは
人の感情、心に訴える思想であることを
私は今回再確認した思いで、
それはある種の政治運動の
強みにはなるんですけど、同時に
「我々の思いは正しい。
故にこの正しい思いに
反論したり疑問を呈したりする人間は
すべて正しくない」という態度は、
「そんな理性を欠いた
対話の可能性を認めない姿勢は
はっきり言って危ないだろう」
と一部の人々の反発を買ってしまう。

昨日の記事でも触れました
独立賛成派の運動手引書
小さな青本』についてわが夫は
「僕、たとえばこの本の中の
『経済』の章の記述のひとつひとつに
反論しようと思えばできるんです。
彼らの論拠や主張の誤りを
その気になれば
1行ごとに提示できるんです。
でも僕はそういうことをしたくないんです。
だって今大事なのは
独立賛成派と反対派の間、
スコットランドと
その他英国地域の間にできてしまった
感情的な溝、対立を埋めること。
賛成派の根本的な間違いを指摘することは
生産的な結果をもたらしませんから」

今回の一連のスコットランドの
政治的な動きについて説明しようとするときに
「スコットランドは英国からの独立を希望した」
という書き方を我々はどうしてもしてしまいますが、
しかしその時忘れてはならないのは
「同時に英国からの独立を
希望しないコットランド人も存在した」という事実。

「英国の負債は英国の負債、
スコットランドには関係ありません」
と独立賛成派が主張していたからといって
すべてのスコットランド人がその主張に
賛同していたわけではないということ。

「僕が個人的に一番怖いなと感じたのは
今回独立賛成派の一部の人が繰り返し
『英国はイングランドの国家。
そしてイングランドは
スコットランドを見下している、
馬鹿にしている、嫌っている』
という扇動を間接的に行ったことです。
こうした扇動はスコットランドだけでなく
イングランドにまで届きます。
その時イングランドの一部の人が
この扇動をまるっと信じて
『スコットランド人はイングランド人に
嫌われている、馬鹿にされている、
見下されていると信じている。
そして英国はイングランドの国家、
つまりスコットランドは英国ではない、
と信じている。ならば結構、
君たちはその憎しみを抱えたまま
永遠の二級市民として存在するがいい。
我々は君たちの望み通り君たちを
嫌い、馬鹿にし、見下そうではないか』
と考えてしまう確率はゼロではありません。
もちろん一部の人たちが、という話ですよ!
でも影響を受ける人が一部であろうがなかろうが、
僕はそういう考え方は英国という国家の
国益にとって不利益をもたらすと思うんです」

陳腐な言い方になっちゃいますけど、
憎しみなんて、何ももたらさないのよね!
(スレッガー中尉のノリで)

非生産的な悪感情の連鎖は
意識的に個人レベルで
押しとどめていきたいものです、
そうでなければ僕たちの
この出会いは何なんだ・・・!
(アムロ・レイの情熱をこめて)

そんなわけで、わが夫はこれからしばらく
イングランドとスコットランドの
愛の架け橋役を務める所存らしいです。

夫よ、君はひどく単純な理想家だな、
その楽観主義は何なんだ。

そんなところを愛してる!

というわけで、
スコットランド独立をめぐる
お話は以上でした!


そんなわけで、これにて
スコットランド独立関連の記事は一段落

明日から通常ネタ
(主に家の話)に戻る予定です

(こういう予告をすると何故かしばらく
ニュースネタが続いてしまうのが
わがブログの基本傾向ではあるんですが)

しかし上の本文を書いていて思いましたけど
『偏らない文章を書くこと』って難しいですよね

「スコットランドはこの時」
とか私もついつい書いちゃいますけど
国名をそういう風に使っちゃうのって
本当に危険と隣り合わせですよね

今後も忘れず気を付けたいと思います

さて、スコットランド独立のニュースは
日本でもここ数日間大きく扱われていたとのこと、
おかげさまで昨日一昨日と
多くの方が当ブログをご訪問くださいました

『独立』についての見聞を広めようとして
『ひきこもり』ブログに来てしまうというのもまた人生

よろしければまたのお越しをお待ちしております

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ええそう、今日もまた誤字があったわ少佐・・・

ご指摘ありがとう、しかし認めたくないものだな
自分の粗忽さゆえの誤りというものは・・・

本当にいつもありがとうございます