「お話して」の攻撃力

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去年の夏に引き続き遊びに来た

台湾人少年(6歳)に

嘘ばっかりついていたような印象を

皆様に与えたかもしれない私ですが

彼にはちゃんと『嘘じゃない話』もしたのよ!

 

(ここで『本当の話』と言わない辺り

自分の限界がよくわかっていて

潔いと我ながら思ってしまう夏の夕暮れ)

 

話題は主に我が家の

猫についてでございました。

 

 

黒猫との距離をある程度縮めることに

成功はしたものの、白黒猫には

手の届く範囲に近寄ってももらえない

少年の傷心を慰めるために

「あの猫はね、私も最初の7週間は

頭を撫でることも出来なかったから」

 

「7週間?どうして?」

 

これが私のシェヘラザードへの道でした・・・

 

少年に求められるがままに

私と猫との初対面の日々、猫の日常、

黒猫の誇り高さ、白黒猫の見かけ倒しぶりなど

面白おかしく話しておりましたところ

少年は我が家の黒猫サイドスワイプが

白黒猫サンストリーカーに比べ

ひとまわり体が小さいにもかかわらず

力関係では上位にあることを知り

「・・・サイドスワイプ君のほうが強いの?

体が小さいのにどうして喧嘩に勝てるの?」

勇気があるからだね。あと頭もいいし」

 

過去に我が家の前庭に

他所の大猫が迷い込んできた時

サイドスワイプ君は体格差をものともせず

堂々の立ち回りを演じ侵入者を追い払ったのに

サンストリーカー君はその間中ずっと

『縄張り争いに気が付かないフリ』を続け

後からサイド君にこっぴどく

叱られていたものなのでございます。

 

その話に大笑いした少年は

「サイドスワイプはその後、

サンストリーカーを許してあげたの?」

「その日は本気で怒ったらしくて

サンストリーカーが家に入ろうとすると

鼻を鳴らして追い払っていたんだけど、

ちゃんと翌朝は一緒にご飯を食べていたよ」

 

「サイド君は優しいんだね」

 

「そうだね、私にもよくネズミを捕ってくれるしね」

 

「サイド君、ネズミも獲れるの?」

 

「凄腕だよ。それで時々こっちにも

お裾分けをくれるの、太っ腹だから。

あと彼は猫としてとても清潔だよね。

サンストリーカーはお尻とお腹と前足を

2回ずつ舐めたらお風呂終了だけど

サイドスワイプは時間をかけて

自分をきれいにきれいにするんだよ。

だから彼からはいつも花の匂いがするでしょ」

 

「あのねえ、僕もお風呂は好きだよ!」

 

「それはいいことだね」

 

「あと僕もお菓子は友達と分けるよ!」

 

「素晴らしいね」

 

「サイド君はあとそれで優しくて強いんだよね?

体は小さいけど。あのね、僕ね、僕は

サイドスワイプ君に自分が似ていると思うよ」

 

後から少年の母上にお聞きしたところ

彼はクラスで小柄な方なのだそうでございます。

 

そこらへんも関係するのか彼はとにかく

我が家の小柄な強者サイド君の

栄光と笑いの物語に心をくすぐられたらしく

その中でも特にお気に入りとなったのが

上記の『侵入猫とサイド君一騎打ち

(サニー君は役立たず極まりなし)』話と

フクロウを狩ろうと屋根に上ったサニー君

しかし高所に怯えて深夜に悲鳴。

それを聞きつけたサイド君が救援に向かった

(そして足を滑らせて屋根の傾斜を滑り落ち

窓枠からぶら下がる羽目に陥ったが

それは飼い主として見ないフリ)』話、

そして『初めての獣医さん、普段は愛想のない猫が

その日は全力で可愛い鳴き声を披露、

サニー君がキャリアーから抜け出して

私の膝と夫(英国人)の顔にお漏らし』話。

 

・・・この3つの話をね、私は

数日の間に何度繰り返したか・・・!

 

確かに我が家にはテレビもない、

子供向けの本もゲームもない、

晴れていれば外で遊べるが

雨が降ると忍者修行以外にすることがない。

 

滞在初日、外に雨が降り始めると

少年は唇をとがらせて大の字になり

「僕、つまんない!すごく退屈!」

と不満を吐露していたのが2日目からは

「Norizoさん、僕することなくて暇だから

猫の話をして。サイド君の話をして。

他所の猫と喧嘩をして勝ったやつ。

ちゃんと喧嘩の始まりから終わりまで、

あとサニー君が喧嘩に参加しないで

後からサイド君に怒られたことも話して。

でも次の日にはサイド君がサニー君を

優しく許してあげたところまで話して」

 

「君、もう全部内容を

覚えているみたいじゃないか」

 

「覚えているけどもう一度聞きたいの!」

 

そういうことなら、と同じ話をもう一度繰り返すと

少年はお腹を抱えて大笑いをし、肩で息をしながら

「僕、この話、大好き!もう一度話して」

 

「えっ?同じ話を?また?」

 

「うん、最初からね。どこも抜かさないでね」

 

私は久々に『話のし過ぎ』で喉が痛くなりました・・・

 

夜、寝支度を整えた少年が

「寝る前に猫のお話して!

『フクロウと屋根』のお話をして!」

 

「・・・してもいいですが、じゃあこれが

本日の最後のお話ということでいいですか」

 

「今日最後の『フクロウと屋根』のお話ね。

ちゃんと最初から最後まで話してね。

サイド君が窓枠にぶら下がる所は

その恰好を僕と一緒にやってね」

 

6歳児って怖いなあと思いつつ

爆笑のうちに話にオチをつけ

「はい、じゃあこれが本日最後のお話でした。

では少年、おやすみなさい。よい夢を」

 

「・・・違うよNorizoさん、今のは

今日最後の『フクロウと屋根のお話』だよ。

これからNorizoさんは僕に今日最後の

『黒猫と侵入猫の喧嘩』の話をするんだよ。

本当はその後『猫と獣医さん』の話も

聞きたいけど、それは僕、我慢するよ。

だから『黒猫と侵入猫の喧嘩』が

お話として今日最後ね。はい、始めて」

 

怖い・・・

 

6歳児って本当に怖い・・・!

 

久々に『話疲れ』をした私でございました。

 

シェヘラザードはこれを

千と一夜続けたわけか・・・

 

たいしたものでございます。

 

 

心温まる少年との

交流話が続いておりますところ

最後に少しだけ時事話でお願いします

 

米国でヒラリー・クリントンさんが

大統領候補としての

指名受諾演説をしたじゃないですか

 

あの時、演壇にヒラリーさんを呼ぶ際の

アナウンスの声と演出が

なんかまるで某K-1グランプリの選手登場時の

それみたいじゃありませんでした?

 

ヒーラリー・・・(タメ)

クッリン(語尾を上げて)!ットーン・・・!

 

ラジオでこれを聞いて

いつゴングが鳴るのかと

私は姿勢を正してしまいましたよ

 

(動画を貼りつけたかったのですが

本日我が家のネット環境がイマイチで

検索することができない悲劇)

 

あれは何だったのかしら

私は寝ぼけていたのかしら

 

7月も今日を入れてあと2日

 

明日で少年との交流話を終え

8月体勢に入りたく存じます

 

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この夏我が家に滞在した6歳男児。

 

彼が猫やニワトリやガチョウを相手に

やんちゃな行動を見せているうちは

大人たちも笑って見過ごせていたのですが、

敷地の隅に積み上げられた材木の山を

彼が登っている姿を発見した時は

流石の私も冷や汗をかきました。

 

・・・君、それは間違いなく危険よ。

 

しかしここで大声を出して少年を驚かせたら

それこそ重大事故が発生してしまうのでは、と

私は努めてさりげない声音を振り絞り

「これこれ、君はそんなところで

いったい何をしているのかね」

 

「猫が!黒猫が

この材木の奥にいるんだよ!」

「あら、そう。でもね、そこね、ちょっと

足場が危ないからね、君、一度下りてきたまえ」

 

「大丈夫だよ。猫もここを登っていたもの」

 

猫と自分の体重差について思考するのは

6歳児にはまだ難しいのかしらね?

 

ともあれ少年は素直に材木から下りてきて

「もう二度とあの山には登りません」と

大人たちと約束をしたのですが、

この事態を重く見たらしいわが夫(英国人)が

その日の晩真面目な顔をして少年に

「去年の夏にここらへんで君と同い年くらいの

男の子が一人、行方不明になったんだよ。

僕も捜索に参加したけど見つからなくて、

それが冬になって、ああいう風に積まれた

材木を焚火に使おうとして動かしたら

その下からその男の子が出てきたんだよ。

ぺちゃんこだったよ。だから君ももう絶対

ああいう材木のそばで遊んじゃいけないよ」

 

勿論この悲劇は夫の作り話なのですが、

これを聞いていて私はしみじみ

ああ、昔話で山に鬼が出るとか

峠に山姥が棲むとか海には海坊主がいるとか

ああいうのはきっといたずら盛りの子供を

なんとかしてそういう大人の目の届かない

危険な場所に行かせまいとする

先人たちの苦労の結晶であったのだな、と。

 

 

 

 

なおこの話を聞いた男の子は

怯えの色を見せつつも好奇心に輝く瞳で

「ぺちゃんこって、それは

どのくらいぺっちゃんこだったの?」

 

6歳男子、いい着眼点だ!

 

 

それにしてもこういう『大人の嘘』は

どのくらいまでが許される範囲なんでしょう。

 

私が子供だった頃、わが母は

子供達が歯磨きをしながら

ふらふら歩き回るのを嫌がり

「あのね!そうやって歯磨きをしながら

歩いていて転んで、喉に歯ブラシが刺さって

死んじゃう子が、お母さんの出身の福井では

毎年1人はいたの!危ないから止めなさい!」

 

『お母さんの出身の福井では』という

このディテールの設定が見事であったと

大人になった私は思う。

 

さて当家の御客であった6歳少年は

もともと根はいい子なのでその後

材木の山のそばで遊ぶことはなく、

しかしある晩暇を持て余し

廊下を走り回り大騒ぎを始め

彼の両親の眉を顰めさせました。

 

「こら!走るんじゃありません!」

 

「僕、走ってないよ、走ったらもっと凄いよ」

 

(何かしらこのデジャヴ)

 

少年の切り返しに少年のお父上は

厳しい顔をして立ち上がりました。

 

・・・このままでは少年が叱られてしまう、

懸命に農作業を手伝い

動物の世話をし美味しくご飯を食べた

今日一日の思い出が叱責で終わってしまう、

それは傍から見ていて心が痛む、と

思った私の心が通じたのがわが夫が

「少年、そこの廊下のその部分、歩くと

ギシギシいうでしょ。それは何故だと思う」

 

「えっ、あ、本当だ。変な音がする。

どうして?どうしてこんな音がするの?」

 

正直な正解は『建付けが悪いから』なのですが

夫は大人の余裕と演技力で

「悪い人がこっそり家に忍び込もうとしても

そうやって音がしたらすぐわかるためだよ。

日本の昔のお屋敷が

こういう廊下の作りなんだよ」

 

『ウグイス張りの廊下』と来たか・・・

 

「本当なのNorizoさん、日本の家は

本当にこんな廊下をしているの?」

 

「昔のお武家屋敷や忍者屋敷はね」

ここで私は妙案を思いつき

「そういう廊下は忍者の訓練にも

使えるんだ。忍者、わかる?」

 

「ニンジャ?わかるわかる!」

 

「忍者はそういう作りの廊下を歩いても

足元からギシギシ音がしないんだ。
ちょっと試してごらん、普通の速度で

歩いた時とゆっくり歩いた時では

ギシギシの音の大きさが違うでしょ。

ゆっくり歩いたほうが静かでしょ。

これが訓練を積んだ忍者になると

足音が全くしないんだよ。

忍者は足音を立てない。コツは

ゆっくりとした滑らかな体重移動だ

・・・そこで練習をしてもいいよ」

 

その日、少年は就寝時間まで

ずっと廊下で忍者訓練に没頭。

 

訓練内容からも静寂は必須で

おかげさまで我々大人たちは

その後静かな空間の中存分に

お酒を楽しむことができたのでした。

 

閻魔様もこれくらいの嘘は

許して欲しいものでございます。

 

 

あそこで咄嗟に『ウグイス張り』を

思いつけた夫を私は褒めたい

 

なお忍者訓練はその後効果を発揮し

ガチョウと散歩をするような時に

「はい!そこ、忍者歩きで!」

と指示すると少年は即座に反応、

つま先立ちのすり足でゆっくり動くように

 

建付けの悪い廊下をお持ちの皆様、

お子様の行動訓練に是非のご活用を

 

足音の大きい貴方も小さい貴方も

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子供は急に歩けない

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カレーに興奮した子供(6歳)が

我が家の家禽に興味を示さない

はずはないわけでございまして。

 

「ニワトリ小屋でたまごを探したい人ー」

「ハーイ!」

 

「ニワトリに餌を上げたい人ー」

「ハイハイハーイ!ねえ、僕、

手から餌をやっていい?この家の

ニワトリ、手から餌を食べてくれる?」

 

「ガチョウに餌をやってその後

寝床まで誘導したい人―」

「ハーイ!ハイハイハーイ!

僕!僕がやる!僕、誘導するする!」

 

まあニワトリのたまご探しは

問題なく何とかなったんです、

ニワトリは小屋の外に出ていたので

たまごを探す少年の姿に

驚くこともありませんでしたし。

 

問題は餌やりでございまして、

手のひらいっぱいに

ニワトリ用の穀類を握りしめ

「こおーっこっこっこー!

ゴハンの時間ですよー!」

 

うむ、少年よ、そのニワトリの鳴き真似は

都会育ちのニワトリ初心者にしては

なかなかの出来である、が、しかし。

 

「Norizoさん!餌をあげようとしているのに

ニワトリが皆逃げていくよ!どうして!」

 

「・・・それは君がニワトリに向かって

一直線に走って行ったからだよ」

 

「僕、走っていないよ!」

 

己の行動の客観視は6歳児には

まだ難しいのかしらね?

 

「じゃあわかった、その場に座りたまえ」

「僕はニワトリに餌をあげたいんだよ!」

 

「君がそこにしゃがんだら

その近くにニワトリを寄せてあげるから」

「・・・そんなことNorizoさんできるの?」

 

任せておきたまえ、と少年をその場に座り込ませ

近くに餌を撒いてニワトリを呼んだところ

まずは雄鶏閣下が恐る恐る近寄って来てくれまして

「よし、今だ、君の手から餌を投げてみたまえ

・・・何故上手(うわて)投げるのだ!」

 

大きく振りかぶった少年の姿に

閣下以下ニワトリご一行は即時退散、

藪に潜りこんでもう出て来ない。

 

「少年よ、こういう時は下手投げが基本だぞ」

「でも僕、上から投げる方が得意なんだよ・・・」

 

こうしてニワトリと少年の間には常に

約3メートルの距離が出来たのでありました。

 

 

その点ガチョウたちは

傍若無人というか好戦的というか

餌を入れた容器を持つ男児の姿に気が付くと

首を下げ半戦闘態勢を取って威嚇音を発声。

 

「ねえ、ガチョウ、噛まないよね?

ガチョウって危ない動物じゃないよね?」

 

「危ない動物じゃないけどガチョウは

噛むし、噛まれたら痛いし、あと

翼で思い切り横殴りにされることもあるよ」

 

「・・・翼で殴られても痛くないよね?」

 

「いや、痛いよ、青痣になるよ。

大人で青痣だから君くらいの大きさなら

顔を殴られたら大怪我しちゃうんじゃないかな」

 

少年は見事に腰の引けた状態で

恐々(こわごわ)とガチョウに餌を与えていました。

 

 

がつがつと餌を貪る

ガチョウの姿に見とれつつ少年は

「それでこのガチョウたちを

どうやって小屋に誘導するの」

 

少年のへっぴり腰ぶりを

微笑んで眺めていたわが夫(英国人)が

「『ゴスゴスゴス』って声をかけながら

集団が小屋のほうに向かうよう

後ろからついて歩いてあげたらいいんですよ」

 

「わかった!ゴスゴスゴス―!」

 

叫びながらガチョウの群れに突進する6歳男児。

 

いきなり何事か!と

恐慌状態に陥るガチョウ集団。

 

それを見て驚く夫。

 

「君!少年!走っちゃ駄目!

走ったらガチョウが驚くでしょ!」

「僕、走っていないよ!」

 

(既視感のある会話)

 

「物凄い速度で走っていましたよ!」

「走っていないよ、僕、本気を出したら

もっとすごい速度で走れるもの、見せようか?」

 

(私、手を叩いて大笑い)

 

この後夫は幾度も少年に

『ガチョウの後ろを歩くときの正しい速度』を

教えていたのですが、やはり子供はどうしても

目の前にあのピコピコ震える

ガチョウの尻尾を見てしまうと

辛抱たまらなくなって早足になり前傾姿勢になり

気が付くと腕を振りそして走りはじめてしまう、という。

 

背後から疾走してくる6歳男児の姿に

追い立てられるようにガチョウ集団が

翼をはためかせこちらも疾駆し始めると

さらに足の回転を速めてしまう少年の本能。

 

「妻ちゃん、僕は子供のことを

よく知らないんですが、子供って

教えないと歩けないものなんですか?」

 

「あのエネルギーを

何かに活用できないものかねえ」

 

滞在中、少年は頑張って

我々のお手伝いに邁進してくれました。

 

 

聞くとどうも本気で彼は

「自分は走っていない」

と思っているらしい

 

・・・いや、君ねえ・・・

 

子供って面白いですね

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猫、愛の受難

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日本式カレーに心奪われた

台湾人少年(6歳)(少年のお父上は

英国人なので正確には

『英系台湾少年』あるいは

『台湾兼英国少年』なのかもですが

居住区が現在台湾なのでこれでゴー)は

我が家に来る車の中で何度も何度も

「これから行くのはカレーのおうちだよね。

去年僕がカレーを食べた家だよね」

と親御さんに尋ねていたそうです。

 

あら可愛い。

 

またそれと同時に

「あとさ、あのおうち、猫がいるんだよね。

黒い猫と白黒の猫。2匹いるんだよね。

猫は僕のことを覚えていてくれるかなあ!」

 

少年の顔を見た瞬間、我が家の

黒猫サイドスワイプはその場に凍りつき、

白黒猫サンストリーカーは一目散

窓から外に逃げていきました・・・

 

誤解なきよう申し上げますが

少年は別に去年

猫を虐待したわけではありません。

 

むしろその逆というか。

 

ただ彼の愛の表現がほら、何、

愛は惜しみなく奪う、みたいな・・・?

 

しかし私には彼の気持ちがわかる。

 

犬や猫が大好きなのに家にはいない、

そんな生活を送る子供が

何かの拍子に実際に動物を間近に見た時

その心がどれだけ踊るものか、

私は実体験から知っている。

 

まあでもあれよ、過去の私も

猫には散々嫌われたものなのですが

今振り返ればその理由は明白。

 

過去の私の轍をこの6歳少年も踏んでいて

1.声が大きい(だって猫に興奮しているから)

2.動作が素早い(だって猫に早く触りたいから)

3.逃げる猫を追う(だって猫が好きだから)

 

猫の生態をご存知ない皆様、これが

三大『猫にやっちゃいけない行動』でございますよ!

 

それでもこういう時サイドスワイプ君は

「・・・まあ自分は飼われている身ですから」

と静かに諦めてくれる度量の広さがあり

兄弟猫サンストリーカー君のように

さっさとお客から逃げ出したりはしない。

 

 

飼い猫の義務として5分くらいは

お客に挨拶をし愛想を振りまくべきか、

たとえ相手が子供であっても、と

観念した様子のサイド君を腕に抱えて

わが夫(英国人)が少年に

猫との接し方をレクチャー。

 

「いいですか、猫の頭、

耳の近くを撫でてあげるんです。

優しく静かに、毛の流れに沿って」

 

指示に従う少年の動きに

害はないとみたか目を閉じる黒猫、

その姿を確認するなり少年は

興奮に上ずる高音

「見てっ!猫、喜んでるっ!」

 

次の瞬間夫の腕から飛び出し

出窓に避難したサイドスワイプ。

 

「猫に大きな声を出したら駄目ですよ、君」

「出してないよっ!僕の今の、普通の声だよ!」

 

「猫は耳がいいから、君のその

『普通の声』が大きいんですよ。

ひそひそ声で話をしてあげないと」

 

なお出窓に逃げたのは

サイド君の記憶力の良さを示す行為で

うん、去年はその窓に逃げたら

当時5歳の少年は

もう君に手が出なかったよね。

 

窓が高いからね。

 

でもね、今年の少年は1年分

体も頭も成長していて、

猫をしばらく見上げていたかと思ったら

えっちらおっちらと椅子を抱えて

出窓に近づき椅子の上に立ち上がり

・・・その様子を絶望の眼差しで眺める

サイドスワイプ君の哀れさよ。

 

「少年よ、それ以上猫を追うと

君は猫に嫌われることになるぞ」

 

「僕は猫を追っかけたりしないよ!

猫のために窓を開けてあげるだけだよ!」

 

6歳児は不器用な手つきで窓を開け、

猫はそこから外に飛び出していきました。

 

その背中に向かって少年は

わが夫に言われたとおりひそひそ声

「ね、僕、君のために

窓を開けてあげたでしょ?

僕、いい子だったでしょ?

だからまた家に入って来てね!」

 

君は健気だなあ。

 

本年の我が家滞在期間中に少年は

サイドスワイプ君の肩に手を回し

自分の額を猫の鼻面に

擦りつけることに成功しました。

 

来年はもしかしたら彼の

『膝の上で猫を抱っこ』の夢が

かなうかもしれません。

 

大志を抱いてこその

少年時代なのでございます。

 

 

 

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少年と家禽についてはまた明日

 

猫撫でに自信のある貴方も

猫の扱い経験ゼロの貴方も

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少年、カレーに出会う

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去年の夏、夫(英国人)の古い友人が

家族連れで遊びに来ることになりまして

「お子さん、何歳だっけ?5歳?

5歳の子に何を食べさせたらいいんだ?」

 

いえ、世間の5歳児が何を食べるのか

私は本気でわかっていないところがあるんです。

 

夫は私に輪をかけて

そこらへんがわかっておらず

「・・・何でも食べるんじゃないですか?」

 

いやもしかしたらそうなのかもしれませんけど

「たとえばお肉をローストするにしたって

我々の好きなパキスタン風ソースは

あれは子供には刺激が強すぎて駄目だろ」

 

「大人のぶんだけご馳走を作って

お子様にはパンとバターでどうでしょう」

 

「友、遠方より来たるあり、でパンと

バターはいかんだろ!いくらなんでも!」

 

そう、この友人一家は台湾という

英国からしたら遠方も遠方に

普段は住んでいらっしゃる方たち。

 

夫の友人は英国人なのですが

奥様は台湾の方で、待てよ、台湾・・・

 

確か以前『台湾では

日本風のカレーが大人気』という話を

私は耳にしたことがあるような・・・

 

というわけで私は大鍋いっぱいに

日本式にカレーを作り(つまりルゥを使用)

「妻ちゃん、子供に刺激物はよくないって

話だったんじゃないんですか」

「大丈夫だ、これは子供のぶんは

牛乳で薄めればいいんだ」

 

「僕はどうせカレーならタイ式の

緑色のカレーが嬉しかったんですけど」

「私の腕ではあの刺激は薄められない。

まあ任せろ、カレーの力を信じろ。

いいか、カレーが嫌いな子供など

日本には基本的に存在しない。

フィッシュ&チップスが好きじゃない子が

英国には基本的にいないのと同じ理由だ」

 

「・・・台湾と日本じゃ食文化も違いません?」

「そりゃ違うさ、しかし日本と英国、あるいは

台湾と英国の食文化差に比べたら

日本と台湾には割と

共通する食嗜好があると思うんだよ」

 

そんなこんなで友人一家がご到着、

挨拶を交わしお互いの自己紹介を終え

(奥様とお子様とは私はこれが初対面)

さあでは食事にしましょうか、ということになり

登場したのがわが自信作『日本のカレー』。

 

さあ、子供よ!喜びたまえ!

 

しかし肝心の五歳児はお皿に盛られた

白米とカレーと福神漬けを見ると

怪訝な表情で母親にしがみついて

「ママ、これ・・・何?」

 

 

えっ。

 

「あら、これはカレーよ。

そうよね、Norizoさん?」

 

「そう、そうです。日本のカレー。

あのもしかしてカレーはお嫌いですか」

 

「ううん、私は好きよ。ただうちの子が

これまでカレーを食べたことがないだけ」

 

ええっ。

 

「もしカレーが駄目なようでしたら

台所にパンとバターと

チーズくらいはございますが・・・

ごめん、5歳にカレーは早かった?」

 

「子供用のカレー、これは

牛乳で割ってくれてあるのよね?

じゃあ大丈夫だと思うんだけど・・・」

そこで彼女はお子様に向かって

「一口だけいただいてみなさい。

食べられないようなら

残りをママが食べてあげるから」

 

恐る恐るスプーンを握りしめる子供。

 

うん、予備知識なしに見たらカレーって

結構得体のしれない外見をしていますよね。

 

具は豚肉と野菜だったんですけど

その何もかもが茶色いドロドロ

覆われてしまっているわけですし。

 

あとこの匂いも、初めての人には

もしかしてかなり強烈なんじゃないかしら。

 

「少年よ、無理はせずともよいぞ」

 

私の言葉に小さく頷いて5歳児は

勇敢にスプーンに少しだけ

その目の前の茶色い液体をくっつけ

おずおずと舌で舐めるようにしました。

 

固唾をのんで見守る大人たち。

 

少年は静かに口の中に入ってきた

『日本のカレー』の味を確かめ、次の瞬間

目を丸く見開き口を半開きにし

虚空を見詰めて鼻から深い呼吸をし、

忙しげに舌を小刻みに上顎に

くっつける動きを繰り返しました。

 

「どう?食べられそう?」

 

愛する母親の声も耳に入らない様子で

少年は二匙目をスプーンに盛り

(今度はかなりの量)、

ためらうことなくそれを口に。

 

次はゴハンを。続けてカレーを。

 

『一心不乱』という言葉が

あんなに似合う子供の姿を

私はそれまで

見たことがありませんでした・・・

 

(というか私は最初彼が

フレーメン反応を起こしたのかと)

 

人間、何の心構えもなく偶然に

『美味しいもの』を味わった時って

本当にあんな風に驚くものなんですね・・・

 

いや、いいものを見せていただいた。

 

結局彼は皿を舐めるようにきれいにし

(実際舐めようとして母親に叱られていた)

お鍋に残っていたカレーもすべて

『おかわり』で食べつくし、私は

調理人冥利を味わったのでございます。

 

夕食の後、彼の両親から

「うちの子、割と食が細い方で、

今日みたいにこんなに

モリモリ食べる姿は珍しいんだよ」

というお世辞までいただき

私はすっかり調子に乗って

もう私が豚だったら相当高い枝まで

木を上っていましたね。

 

そんな彼らが今年もまた英国に

遊びに来るということになったので

私は当然のごとくカレーを用意。

 

「妻ちゃん、僕はてっきり今回は

前回と違う料理を準備するものとばかり」

「うん、普段なら前回とメニューが

かぶらないようにするんだけどな、

安全策ということで。もしかしたらこれで

『カレーしか作れないおばさん』と

少年には認識されてしまうかもしれんがな

・・・やっぱり違う料理に

しておくべきであったかなあ」

 

私の悩みをよそにお客様が登場。

 

6歳になった少年は1年前に比べると

格段に言語能力が発達していて

はきはきと挨拶を済ませると

「それでね、ねえねえ、Norizoさん」と

私の服を引っ張りひそひそ声になり

「またカレーを作ってくれる?

今年僕がここにいる間にもう一度

あのカレーを食べることはできる?」

 

勝者の微笑みを私は夫に投げかけてから

少年の目線を捉えなおして

「もちろん!もうお鍋にいっぱい作ってあるよ」

 

「じゃあ今日の夜ごはんはカレーなの!」

 

「カレーだよ!」

 

・・・『嬉しくて小躍りする』人間、というのも

思えば私は初めて目撃した気がします。

 

日本式カレー、台湾人少年を籠絡。

 

日本のカレーはすごいなあ、という話です。

 

 

今年のカレーの具は牛肉と野菜

 

ルゥはこれでした

 

夜ご飯にカレーをパクパク食べた彼は

布団に入る直前、夜9時をまわったところで

「・・・僕、お腹が空いちゃった」

 

「ああ、じゃあ牛乳でもあっためる?」

 

「あのカレー、残っている?残っているよね?

僕はね、あれを食べたい・・・!」

 

親戚のご高齢者が会うたびに

「貴方は子供の頃これが好きでね」と

毎回同じものを食べさせようと

してくることってあるじゃないですか

 

それはね、貴方が子供の頃

本当に美味しそうに幸せそうにその何かを

食べたのよ、その人たちの前で

 

たとえば私が80歳くらいになった時に

この台湾人少年が訪ねてきてくれたら

私は反射的にカレーを作ろうとすると思う

 

美味しいご飯の基本は愛だ

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