隣人のお誕生会に招かれまして、
一次会は地中海料理屋、
二次会の会場がクラブでした。

お出かけ当日、真面目な顔をして
耳栓をポケットに仕舞いこむ夫(英国人)。

まあクラブといっても
スコットランドの片田舎にあるそれですから
(これって悪口になっちゃうのかしら
それともちゃんと謙遜になっているのかしら)、
建物の半分は半野外テーブル席で
そこでは男女が普通に飲み騒いでおりまして、
で、残りの屋内フロアにDJブースがあり
有志がその前で踊っている、という感じで。

そういう場に足を踏み入れること自体が
久々でございましたので
それはそれで楽しかったんですが
いかんせん選曲がイマイチでして・・・

微妙に古いかつてのヒット曲を流すんですよ、
マドンナの『マテリアル・ガール』とか
DJ、お前それはもしかして冗談なのか。

しかしああいうところの真理は
『踊った者勝ち』でございますので、
私も普段の慎みをかなぐり捨て
仲間の娘さん達と跳ね回っていたのです。

それにしてもですね。

私、はっきり申し上げれば
エアロビクスは
割と上手なほうなんですよ。
少なくとも『下手ではない』んです。
あれって鏡を見て踊るから
そこらへんはしっかり
自分で確認できるじゃないですか。

でも、こういうクラブで自分がいったい
『どのくらい踊れているのか』って、
あれはどうやって
判断すればいいんでしょうか?

『いかに異性に声をかけられるか』が
バロメータのひとつだとすれば
(私はこれを
『山田詠美理論』と名付けています)、
あの日の私は全然
躍れていなかったことになります・・・

まあいいんですけどね!
他人に何を思われようと
ああいうところでは
とにかく楽しく踊るべきなのです!

そんなこんなで、時計が深夜を回り
1時近くなったところで
私と夫は帰ることにしました。

友人達に別れを告げ
「ちょっとトイレに寄っていい?」
という夫を待つため、クラブの入り口で
ひとりイベント情報を眺めつつ
スピーカーから流れてくる曲に
耳を傾けておりましたら
・・・DJ・・・ここで突然
マイケルの『BAD』って
だからそれは客に喧嘩を売っているのか。

いや、いい曲だとは思うんですけどね!

まあ皆様ご存知の通り
私は一応マイケル・ファンですから。
DJの選曲センスに色々言いたいことはあれど
『BAD』が名曲であることに変わりはない。



このキレ、やっぱりただごとじゃないわ

というわけで私はそっと
マイケルのことを思い出しながら
人気のないゲート裏で
あの振り付けを踊っていたのです
(私の年代の人間は皆、間違いなく
『BAD』と『スリラー』の
基本の動きは練習したことがあると思うの)。

周囲に人がいないことをいいことに
『キャーモン!』とか、あの表情まで
(わかる人はわかってくれるはず)
しっかりトレースしながら
すっかり気分はマイケル本人になっていたら
突然背後からドアマンのおじさんに
「ヘイ、お嬢さん、気分でも悪いの?」

・・・私の踊りって他人の目には
本当にどう映っているのでしょうか。

マイケルのつもりだったのに!
全盛期の彼と同じくらい
イケている(死語)つもりだったのに!

第三者の視点からしたら
『吐き気と闘う酔っ払い』にしか
見えなかったとでもいうのかいっ!

帰り道、夫に
「なあ、素直に言ってくれ、
私の踊りって実は変?みっともない?」
「いえ、そんなことはないと思いますよ」

「じゃあ何故あそこでドアマンのおじさんに
あんなことを言われちゃうのだ!」
「ああ、それはね、君は
普通に踊っているときは
ちゃんと普通に踊れているんですけど、
一連のマイケルの動きはちょっとね、
マイケルだ!とこちらが理解するまでに
少々時間がかかるんです」

「でも前回私が酔っ払って
マイケルの真似をしたとき(前述
君はすぐに『これはマイケルだ』って
わかったんでしょ?」
「いえ・・・あのときも実は
僕は最初、君がジョン・クリーズ
真似を始めたものだとばかり・・・」



わがコメディアンの理想像です

ムーンウォークとシリーウォークは
ショウビズ界において
対極にあるムーヴメントだと思うのですが、
そこのところ皆様どう思われます?

それはともかく。

次回クラブに行くときは
地元の適当なお店でお茶を濁したりはせず
グラスゴーあたりの有名店に
出かけることに決めました。

やはりもう少し
今風の音楽のほうが嬉しいの・・・

ケリー・ローランドの新曲
(When Love Takes Over)
みたいな感じでじゅうぶんですから
(私の趣味はものすごく
大衆的なことで有名です)
(サビの部分が
ものすごく気持ちいい曲なので
皆様も機会があったら聴いてみてください)。

なお夫はこの夜まったく踊ることはなく、
ではクラブで何をしていたのかと聞きますと、
初対面の男性とフロアの片隅で延々
『趣味としての植林の素晴らしさ』
について語り合っていたのだそうです。


英国では現在
すべてのお店が完全禁煙なので
クラブで散々踊っても
髪とか服とかが煙草臭くならないんだぜ
これ、すごく気持ちがいいんだぜ
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