今回、文中の一部に

割と生々しい描写がございます


血、内臓、手術系の・・・


苦手な方はここでお帰りください

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ありがとうございます


普段はスプラッターとは無縁のブログですから

また明日にでも遊びにいらしてくださいませ


では、本編開始


夫(英国人)の父、つまりわが義父が

大切に飼い育てている牝牛たち。

現在怒涛の出産ラッシュを迎えております。


スコットランドひきこもり日記-母と子


たいていの場合は何の問題もなく

自然分娩 にて子牛が産まれてくるのですが

やはり時には難産、ということもありまして。


先日、一頭の牝牛の陣痛が

あまりにも長引いたので

獣医さんに連絡を取ったところ

診察をした先生が

「あと2時間経ってもこのままならば

帝王切開に踏み切りましょう

「わかりました」

「その場合は助手が2名必要です。

人手はありますか」


ちょうどわれらが末の義弟が

折りよくというか運悪くというか

その日は実家に帰っておりまして。


というわけで

助手その1:末の義弟

助手その2:わが義母

という布陣で

手術は開始されたのです。


義弟と義母に対し獣医さんは

まず肩まである長い手袋を渡し、

装着が完了したところで消毒を行い

「じゃあ助手一号、義弟君はこちら、

私の隣、牛の左腹のほうに来てください。

助手二号、奥さんは右腹へ」


牛は例の鉄製のSMケージ の中に

すでにスタンバイしており


「・・・よし、麻酔も効いています

まず牛の腹回りの毛を刈って

消毒を済ませた後にオペ開始。


義母の側からは切開箇所

直接見えなかったらしいのですが

・・・義弟は特等席におりましてね・・・


皮膚が切られ、皮下組織が切られ、

筋肉が切られ、そしてとうとう獣医の手が

牛の子宮を探り当てるのを、義弟は

至近距離で目撃することに成功してしまいまして。


義母いわく、そのとき義弟の顔色は

「だんだんと緑色になっていった」そうです。


しかしそんな義弟の動揺など

獣医さんが構っていられるはずもなく

「・・・助手一号!ぼさっと立っていないで

牛の中身が零れ落ちないように

ここ、ここをしっかり押さえて!」


反射的に獣医に指示された箇所を

手で押さえる義弟。


「ではこれから子宮を切開します

・・・よし!助手、子牛が見えるな?

じゃあ私が君に代わって内臓を押さえるから

・・・そしてここをこうして・・・

はい!子牛を受け取って!よし!

違う違う、そのまま

子牛を君の頭の上に持ち上げて!


一説によると出産直後の子牛というのは

目方にして約30キロはあるそうな・・・


しかし火事場の馬鹿力とは恐ろしいもので

義弟は言われるがままに

子牛をそのまま頭上に掲げたのだそうです。


当然・・・血の雨が降り落ちて来ましてね・・・


その間に獣医はへその緒やら何やらを処置し

そしてやっと義弟は

子牛を地面に下ろすことを許可されたそうな。


この一部始終を

牛の背中を挟んで目にしてしまった義母は

心の底から

「先生、私、家に帰っていいですか!

もう無理です!色々無理です!

と叫びたい気分だったらしいのですが

当然状況は

義母の心よりも牛命優先なわけで。


「ではこれから縫合を開始します!

助手二号・・・奥さん!貴方の番です、

まず私が子宮を縫い合わせますから、

その間貴方は牛の

皮膚と内臓を押さえていてください!」


縫合には

ものすごく時間がかかったそうです・・・


「でもね、『先生、急いでください!』

って言えるような状況でもないでしょう?

母牛のことを考えたら・・・だから私も

黙って内臓を押さえ続けたわ、

もう最後のほうは

指の感覚も腕の感覚もなくなっていたけどね!」


義弟と義母の奮闘の甲斐あって

帝王切開手術は無事に完了、

牛達は母子ともに現在も健康だそうです。


スコットランドひきこもり日記-術後3日目の様子


スコットランドひきこもり日記-縫い目をクローズアップ


この間夫の実家に遊びに行ったときに

私はこの血沸き肉踊る話を

義母から聞いたのですが

(義弟は・・・この件に関して無口でした・・・)

そこでふと疑問に思ったことが一つ。


「あのところで・・・その手術の際、

お義父様は何をしていたんですか?」


君、それを私に尋ねるか、という表情で

静かに私を見詰める義父。


「私かね?私はあれだ、

母牛の正面に立って

彼女のことを心から応援していた」


「お義父様・・・それは・・・」

「不測の事態が生じたときに

いつでも他に助けを求めに行けるようにな!」

「それにしても奥様と息子さんが

血まみれになって

全力を尽くしているときにそれは・・・」

「あと、そうだ!手術が終わった後

皆でお茶を飲むために、

やかんを火にかけるのも私の役目だった!」


義父の名誉のために申し添えておきますが

前回の牛の帝王切開のときは

義父がひとりで助手を務めたらしいです。


「その時に比べたら

今回の手術はまだマシだったぞ。

私のときは事前説明も何もないまま

獣医がいきなり牛の腹を切って

『はい、これを落とさないように抱えていて!』

って私に内臓の山を押し付けたんだぞ!

ものすごく重いし熱かったんだぞ!」

「まあ話半分に聞いておきましょう」

「ちなみに内臓は

ものすごくきれいなピンクでなあ。

あんなに真っ黒な牛の中に

こんな色が詰まっているなんて、と

私は感動したものだよ」


次回の帝王切開手術の際は

私が助手役になる予定です。


「というか、今回我々が

どれだけ君の不在を嘆いたことか。

Norizo、君、志願したいだろ、助手に」

「もちろんですとも!

電話機の横に獣医の緊急番号と一緒に

私の携帯番号を書き留めておいてください!

連絡をいただいたら

すぐに電車に飛び乗りますから!」


30キロを持ち上げられるように

今から腕立て伏せの練習をしなくては!

やる気に燃える私なのです。



それにしても

義弟と義母はよく頑張った!

感動した!

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