3月のマトマイニのドロボー事件の時、町の警察署に報告に行ったら、「3日でいいから、この子を預かって欲しい。すぐに迎えに来る」と、少女を一時的に引き取るよう頼まれた。それがウィルタ。推定年齢は8歳。
3日の約束が4ケ月になるが、何度催促しても警察から迎えは来ない。
公立学校の先生のストは、問題山積のまま、一応解除になった。「給料をあげろ!」と拳を振り上げている風景はテレビでよく観た。
一方、ケニア教組のように「給料をあげろ!」と大声で言えない立場にいるのが、警察官である。取り締まる側だから、ストもデモもしたくても出来ない。
下級警察官の給料は、学校の平の先生と同じで、月15000円程度だろう。そこから税金等など徴収されて、手取りは3000円位らしい。
「うそ!」と思うなら、マザレスラムの青年団のリーダーのカマンデ君に聞いて欲しい。青年団の活動拠点の横にケニア警察の官舎があり、その生活ぶりはほとんどスラム住民と変わらないのだ。
「お金が欲しい」と物乞いするわけにもいかず、ストもデモも出来ない。じゃあどうずるか。そこで、ポリスマンはゴー・スローという抵抗をしている。つまり、制服を着て仕事場には行くけど、すべてスローで、まともな仕事をしないという作戦である。
お金になりそうと見たら素早く行動する。例えば路上を走る車を止めて「タイヤがすり減っている」とイチャモンをつけ、「裁判所に行くよりここで俺に払えば許す」と言ってお金を要求する。
昨年ゴー・スローをした時「給料をあげる」と政府は約束したが、未払いのため、今、また、ゴー・スロー作戦が始まった。
だから、ますますケニアの治安は悪化の一途をたどるわけである。