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ケニアから日本のあなたへ伝えたいこと
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僕は降った

テーマ:こども・まご
2010-01-30 02:32:59

小学校を終えた大きい男の子達が、「試験以上の難題だ」と、ぼやきつつ机に向かっている。

初等教育終了試験の結果を受け、次のステップをどうするか、迷い、考え、現在まさに五里霧中。

セカンダリーへ進むか、職業訓練へ行くか、小学校8年生留年か…

いずれにせよ必要となるのが「出生証明書」だ。

この難敵を前に、眉間にしわ寄せ、ただいま格闘中なのである。

彼らは、まだ文字も書けなかった幼い時に、スラムやサバンナからほぼ身一つでやって来た。ほとんどの子が、その身を明かすものを一切持たない。

ないから作らなければならない。

A4一枚の簡単な申請書だが、見慣れない書類を前にみんな緊張の面持ちだ。

まずは氏名。ゴクリ。鉛筆での下書きもたどたどしい。

続く「生年月日」の欄でピタリと手がとまる。


…僕はいつ生まれたんだろう?


その後も、鉛筆は動かない。代わりに、あちこちで困惑の声。

父親の名は、えーと、David… でも、本当に彼が父なのかなぁ。

母さんの名前なんて、覚えてないや

連署人て、おばあちゃんは年寄りで、字も書けないし…

僕は生まれたんじゃない。空から降ってきたんだ!雨のように。出生証明書なんて、クソクラエッ!

こうして、空欄だらけの申請書が完成(?)する。

出生を証明するということに、これほどの混乱と悲しみが伴わなくてはいけないのか。

おまえはいつ生まれた?

父親は誰か?

どこで生まれたのか?

母の名は?

これらの質問に、何の迷いもなく答えられることが、ただそれだけで、やはり心から感謝すべき幸運なのだと思い知らされた。

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-BirthCert.

食ってしまえ!

恐るべし強敵、出生証明書申請書。

父と母は正式に結婚したか?

亡くなった兄弟姉妹の数は?

等の質問、日本にもあるのかな?

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埃と宝

テーマ:ひとびと
2010-01-27 02:18:05

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム

散りばめられているのは、宝かゴミか。

マザレスラムにて。

スラムで過ごしていると、さりげない気遣いが日常のあちこちに散りばめられているのに気付く。



1軒目、ムトニ家。

朝、私が起きたのに気付くと、それまで聞いていたキクユ語のラジオチャンネルを、英語放送に切り替える。16歳、娘さんの気遣い。



2軒目、アチェン家。

携帯を黙って取るので、ゲームでもするのかと思って見ていると、充電器へとつないでくれた。電池残量が少ないのに気付いてくれたのだ。10歳、息子さんの気遣い。



3軒目、アオコ家。

夕刻、軒先で座っていると、「寒いでしょ」と、布をふわりとかけてくれた。蚊が出る時間帯だし、非常に有り難かった。若いママ、グレースさんの気遣い。


どの家を訪ねても、親切のシャワーを浴びせられる。

砂埃で汚れていく足元とは裏腹に、気持ちは洗われていく。

社会のテスト

テーマ:教育
2010-01-21 03:47:41

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム

いざ行かんっ! ジョヤはマトマイニの元気印だ。

KCPEでギリギリ合格点に達したジョヤ。先日、お姉さんが進路相談に来た。

「中央州とニャンザ州の学校を2つ考えているんだけど、中央州はムンギキが恐いし、ニャンザ州はルオの土地だし…」

中央州では殺人秘密結社ムンギキが活発に若者を勧誘しているという。誘いを断った若者が殺された例もある。かといって、恐喝や殺人すら平気で行うというムンギキ、メンバーになるなんてとんでもないっ!

更に、民族間の問題。ニャンザ州にはルオの人が多く住む。そこにキクユのジョヤが一人行くのは、確かに大きなチャレンジに違いない。かつては悪口を言い合いつつも、共に暮らしてきたキクユとルオの人々だが、今や明らかな敵対グループとして認識されている。2007年末の大統領選挙を発端とした暴動以来、民族間のぎこちなさは増し、どんよりとしたわだかまりが人々の心の中で息を潜めている。

「あの辺にはいい学校があるのよ。でも、ルオ人の敵意の中、学ばなきゃいけないかと思うと…」

暴動の裏には、選挙の不正だけでなく、土地問題や貧困等、様々な原因があったといわれる。

長年溜まった社会の膿が、一気に噴出した事件だったように思う。その傷跡は未だ深く、国の未来を担う子ども達の道にまで及んでいる。

腹立たしい限りである。


さて、本当に崖っぷち合格だったジョヤ。

彼を救ったのは、得意な「社会」のテストだった。

ジョヤ、次は紙のテストじゃないよ。今後幾多と直面するであろう、ケニアに渦巻く社会問題。

その底抜けに明るい笑顔で立ち向かっておくれ。



暴動から2年経った今年元日、ジョヤが言った言葉には確かにマトマイニ(希望)があった。

「人々は、ことあるごとに政府に頼り、あげく悪口を言うけど、そんなんじゃダメだ。コミュニティで、自分達自身で、出来ることがあるはずなんだ」

一歩が背負うもの

テーマ:教育
2010-01-17 05:40:56

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム

KCPEを受けた8年生7

紅一点のワンボイ以外、無事ロンゴノット山も制覇した。


年末のロンゴノット登山。頂上で携帯が鳴った。

「ジョヤです。ギリギリだけど、合格点でした。」

飛び上がって喜ぼうとしたけど、おっとっと。こっちの崖もギリギリだ。

ひとまず小さく拍手する。

昨年11月に行われた初等教育終了試験(KCPE)の結果、第一報だった。

でも、そっか。ギリギリかぁ。普段はもう少しいい点を取っていたのに。

やはり天下のKCPE、本来の力をなかなか発揮できないのだろうか。他6人の結果が心配になってきた。

山頂からの下り道、考えれば考えるほど、気持ちも下降線を辿っていく。

ジョヤでギリギリなら、他の子は…

案の定、ほとんどが「従来以下」の結果となった。

500点満点中、マトマイニで定めている「合格点」300点以上を取った子は、7人中2人のみ。それが本来の力であろうとなかろうと、その結果を背負って次の一歩を踏み出さなければならない。

学校の成績ばかりが人生じゃないさ、と言いたいとこだが、ケニアは極端な学力主義の国。

小学校から、授業は基本の5教科だけ。教師も生徒も、ただひたすらKCPEでいい点をとることのみ目指す。図工も音楽も体育も無し。子どもの個性を伸ばそう、可能性を見つけよう、そんな言葉、教育省の連中は聞いたことも考えたこともないんじゃないだろうか。

と、ケニアの教育事情、今更嘆いても仕方がない。

山登りでは、一歩一歩進むことの大切さが身にしみる。7人の今後も同じこと。

何があろうと、前へ進み続けるしかないんだ。

大丈夫、踏み外したからって死ぬわけじゃなし。

ケハラハラ

テーマ:くらしむき
2010-01-10 02:12:05

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-キソゴ

    今年もよろしくお願いします。


子ども達がマトマイニへと帰ってきた。

新学期。休み中にのびきった髪の毛も、キレイサッパリつるつるにして登校する。


そんなつるつる頭同士が交わすのは、「明けましておめでとう」の挨拶ではない。

ただ一言 「ケハラッ!」


「ケハラ」が今、マトマイニでちょっとしたブームなのである。


朝から「ケハラ」の合唱が聞こえる。

「ケハラッ♪ ケハラッ♪ ケハラッ♪」


訳すと、

「ハゲッ♪ ハゲッ♪ ハゲッ♪」

なんともひどい歌である。


お餅も門松も年賀状も、お正月らしいことが何一つないマトマイニの年明け。

せめて雰囲気だけでもと、千真沙さんと百人一首を使い「ぼうずめくり」なる遊びを開始する。

この遊びをご存知だろうか。

お坊様の絵柄の入った札が、ようするにババ抜きのジョーカーのような、厄介な役割を担うのである。


これが子どもらにも大ヒット。

坊主札が出てくるたびに、キャーという雄叫びと大爆笑が沸きおこる。 ボニなど、お餅をのどに詰まらせたかのように、苦しそうに笑い転げる。


そのうち、他の人が坊主札をひくようにと、「ケハラ~」の呪文が熱心に唱えられる。


かくしてマトマイニではケハラ熱が流行り始めたのである。


それにしても、本当は尊敬されるお坊様が、坊主呼ばわりされ、厄介者扱いされて、失礼極まりないゲームである。


けれど、賑やかな子ども達の笑い声は、朝の鳥の囀りに似て、始まりを予感させる清々しい響きをもつ。一年の始まり、ケハラ交じりの笑い声も悪くない。


禿:正確には「ウパラ」らしいのだが、子どもが言うと「ケハラ」にしか聞こえない。毛、ハラハラ!?

縁取るもの

テーマ:こども・まご
2010-01-04 23:45:05

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-クレーター

山頂より。右がクレーター。左が来た道。左に小さく千真沙さん。


去年のクリスマス休みにマリンディへ行って海で泳いだ思い出が、ドナとワフラには忘れられない。

「今年はどこに行くの?」ワクワクした顔できいてくる。


さぁて、どうしようかな。

生まれたばかりの仔牛をおいて長く外出は出来ない。クリスマスには映画館に行ったしチキンも食べたし、少し体を動かそうか。

海の次は山である。


そんなわけで年末、ドナ、ワフラ、マギー、アン、マウラ、千真沙さん、私、及びマギーの甥っ子ンドゴ君10才とでロンゴノット山へと向かった。

「大丈夫かなぁ?登れると思う?」ンドゴ君を連れて行くべきか否か、マギーはずっと迷っていた。

登れる!登る!絶対登る! ンドゴ君は主張して聞かない。


「登れないのは、脂肪を抱えた叔母ちゃんのほうさ」

ぬぬっ。

…マギーへの言葉だ。聞かなかったことにしよう。

そして開始した登山だが、実はあまりの駆け足登山に、詳しい描写が思い出せない。

2776mの高さを、水休憩も入れず、立ち止まることもほとんどなく、ものの50分で一気に登りきった。

ひゃー、きつい、と千真沙さんは地面に横になる。

私も若干膝が笑い気味。

一方ワフラは、近所に散歩にでも来たかのような余裕の笑顔。

ドナとンドゴ君もピンピンとして、クレーターの周囲を巡ろうよと私達をせかす。

ロンゴノット山は火山であり、クレーターの縁がつまりは山頂である。クレーターをぐるりと縁取る道の両側は崖が続く。キャンプで大きい男の子達6人が登った時も、皆険しい崖と強風に恐れをなして、唯一アモスのみが、この道をマウラと辿ったという。

その道を今、チビのドナとンドゴ君が、マウラとじゃれあいながら先頭を切って進んでいく。

子どもの限界というものを、大人が勝手に決めてはいけないんだ。

さて、マギーはというと、アンとお菓子を食べつつおしゃべりしつつ、私たちの遥かかなた後方を、のんびりゆっくりと登っていた。

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-山頂3人

マウラ:クレーターの穴に、落としてやろうか!

ドナ:ギャー!やめてよーう!

ンドゴ(奥):ねえー、早く行こうよー。

ワフラは既に道の先。

鈍感力

テーマ:ひとびと
2009-12-29 02:27:50

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-ギゼリ

マトマイニでも食べているギゼリ。

いつかグレースさんのギゼリもご馳走になりたい


「スラム住民」と呼ばれる人々の多くは、誰にも負けないホスピタリティーをもって客人を歓迎してくれる。


ナイロビのマザレスラムに住んでいるグレースさんは、その鑑のような人だ。


彼女は、早朝にギゼリ(豆ととうもろこしの煮込み)を作り、1日がかりでマザレ内を歩きそれを売って回る。


けれど、彼女が私にギゼリを振舞ったことはまだない。


ある日のお昼は、私が好きだといったスクマ(ケニアの健康野菜)料理と、卵料理と、ウガリ(とうもろこしの粉で作った主食)を振舞ってくれた。見ると部屋の奥の大鍋には、大量のギゼリが入っていた。

ひとすくい温めてお皿に盛れば、簡単なのに。わざわざ別の品を一から作ってくれたんだ。

料理はとても美味しかった。


食後、「さあ、アチェン家も呼んでるよ」と2軒隣りの家へと促される。グレースさん宅にはテレビがない。アチェン家で午後のドラマでも観てリラックスなさい、とその間自分は片付けをする。


彼女は、働く姿を私に見せない。料理をする姿も、お皿を洗う姿も。「手伝います」と言うチャンスをくれない。申し訳ないと思う隙すら与えない。額に汗を光らせつつ、いつもおおらかな笑顔を見せるので、安心して甘えきってしまう。



でも少し困っている。

グレースさんとアチェン家は、いつもそれぞれ食事を用意して待っててくれるのだ。

「もう食べちゃいました」

「うんうん、いいから、いいから」

いやいや。朝、昼、晩と、32軒、計6食も振舞われるとお腹も混乱状態に陥る。



気配りなグレースさんだが、ただ一つ、私のお腹の張り具合には鈍感を決め込んでいる。

笑顔のうしろ

テーマ:こども・まご
2009-12-27 02:43:13

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-ジェモワンボイ

笑顔の似合う、おしゃれ好きな2人。

去る前にジェームスがくれた手紙には、ニッコリと微笑みながら、大粒の涙を流している男の子の顔が描いてあった。

ジェームスとワンボイ兄妹には、不器用という言葉が似合う。


共に小学8年生を終えた2人は、「クリスマス休暇」ではなく、「巣立ち」の準備をして、キベラスラムの兄の元へと帰っていった。

2人への門出の言葉には、笑顔というキーワードが外せない。

つっけんどんな物の言い方をしつつ、はにかんだ笑顔が優しいワンボイ。

マトマイニの兄貴分で、ケニアの陽射しのようにまぶしく笑うジェームス。


どちらも、明るい笑顔の一方で、いつもどこか不安定さがチラついていた。巣立ちが近づくにつれ、その不安定さも増していった。

「話そうよ」と近づいても、ニコニコとすり抜けてしまう。

マトマイニを去る前夜、ようやく悩みを打ち明けてくれた。


彼らの言葉をそのまま借りたい。



「もし、一緒に住んでいる奴らが、一日中煙草を吸って酒を飲んで、夜通し目が痛いほどに煙たい部屋で過ごさなきゃならない場合、どうやって自分を守ればいい?」

「僕はなんとかなる。でもワンボイは女の子だし、一人で出歩くわけにもいかないんだ」

「私、居場所がないの。帰りたくない。」

「マトマイニに来る前、僕は人と関わらないよう生きてきた。だからキベラには友達もほとんどいないんだ」

「あそこには信じられる人は誰もいない。実の兄すら信頼出来ない」



まずは様子を見ようとキベラに帰したが、やはり状況は厳しく、今2人は田舎の祖父のもとにいる。彼らの口の端に上ることのなかったおじいさん。仲良くやれるといいのだけど。

雪と雨と鳥と

テーマ:出会い
2009-12-25 22:11:28

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム

ビスケット、ケーキ、ソーダにお客様。

少人数のクリスマスは、アットホームにゆったり過ごした。

道産子のお嬢さん(後列中央)の名は雪音さん。

マトマイニ生まれの仔牛は鳥音とでも名付けようかな。


クリスマスを控えて、マトマイニに嬉しい訪問客が2つあった。


北大の植木玲一さんが、奥様と娘さんと一緒に、はるばるお越し下さった。そして植木さんの到着と共にもうひとつの嬉しい訪問。乾き始めていた大地に恵みの雨!大雨! 


雷で倒れた木が道路を塞ぎ、空港からの道は大渋滞、おまけに到着時は停電でお出迎え。

それでも雨はありがたい。


雨上がりの朝は鳥達もはしゃいでる。

「ハタオリドリだけでも何種類かいますね」

理科の先生でもある植木さんは、早速図鑑を片手にバードウォッチング。


モズ2種類、ハト2種類、ツバメ2種類、ハタオリ3種類、タイヨウチョウ5種類、トキ、メジロ、トビ…等々、あっという間に識別してゆく。


「まだまだ、この図鑑に載ってないのもいます。多様性がすごいなぁ」へーえ。

赤い鳥、笑うハト、盗み食いする黄色い鳥、尾の長いヤツ、地味なヤツ、の5種類くらいしか見覚えのなかった私は、新たな視点に感心するばかり。

子ども達はどうだろう。どうせクリスマスのチキンくらいにしか興味ないでしょ、と思ってたら、図鑑を指差して識別のお手伝い。


「この鳥と同じヤツで、他に白黒のもいるよ。コレには載ってない」

へぇーえ。


そういえば、ドナもワフラも、大の動物好き。


頼れる親戚もいずマトマイニに残った2人は、よくヤギと格闘ごっこしたり、犬と昼寝したりしてるけど、単なる暇つぶしではなく、生きた知識を日々身につけていたのね。

子羊も仔牛も生まれたし、鳥達とは顔見知りだし、このクリスマス休み、寂しくなんかないよね!

アメザー

テーマ:できごと
2009-12-20 18:54:13

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-仔牛とジョナ

ジョナと母娘牛。三者とも、お疲れ様でした!


まだチャイも沸いてない早朝、ジョナの第一声は弾んでいた。

「ンゴンベ(牛)が産まれました!」「かわいい女の子です」

早速かけつける。わぁ、本当にかわいい!

おがくずが敷かれた小屋の一角で、母さん牛の足元に白い仔牛が行儀よく座っている。まだぬれた毛に、冷たい朝の空気が少し寒そう。

深夜0時から3時間かけて、夜警さん2人とジョナとで取り出したようだ。 ほとんど寝ていないというジョナは、晴々とした顔ではあるが、やはり少しお疲れ気味。

そんな彼を横目に、母さん牛は朝食に夢中。

出産直後は餌をうけつけない牛もいるというのに、このお母さんは食欲旺盛!ムシャムシャ、バクバク、口のまわりを餌だらけにしつつ、「ブモー」と幾度も振り返っては仔牛を気にしている。

「いい母親ですね」

「はい。いい牛かどうかは、出産時によく分かります。この母親はとても落ち着いていました。本当にいい牛です」

ジョナはとっても嬉しそう。

ほめられてるのを知ってか知らずか、母さん牛はひたすら食べ続ける。

やがて日が昇り、暖かくなってきた。

ふと、仔牛がヨロリと立ち上がる。

今度はワタシの番よ、とお乳を飲み始めた。お母さんはあいかわらず餌だらけの口で、仔牛をやさしく舐めてあげる。なんとも微笑ましい光景に、ほんわかしたのも束の間、母さん牛が座り込んでしまった。仔牛はまだ飲み足りないとおねだりするが、お母さんはどっさり腰をおろしたまま。

「おなかもふくれたし、あたしゃちょいと休むよ」

かわいいわが子の潤んだ瞳にも動じない、たくましいアフリカンママの誕生だ


マトマイニ・チルドレンズ・ホーム-仔牛


アメザー:スワヒリ語で、「彼女は産んだ」の意。

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