ご無沙汰しております、「03系大解剖」シリーズ。
今回は、第09編成を除くと、03系ファミリーの中でも一番の少数派、第28編成を取り上げます。


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第28編成の先頭車・03-128

「3編成だけの少数派」というのは、この第28編成を含めた第26~28の3編成のことで、これがなぜ少数派なのかというと、

VVVFインバーター制御を採用していながら5扉車

という仕様がこの3編成だけだからです。
その後、第29編成以降の最後期型は、5扉をやめ全車3扉に戻されていますから、03系全体で5扉車を含む編成の数は20。そしてそのうち17編成(第09~25編成)がチョッパ、3編成(第26~28編成)がVVVFインバーター制御となります。ちなみに、第29編成以後は全てVVVFインバーター制御になっています。

ちなみに、03系を増備した東京メトロの前身・営団地下鉄は、抵抗器を使わないチョッパ制御を実用化した会社で、03系以前の車両は6000系や7000系、8000系などチョッパ車となっています。
それがなぜ、チョッパを放棄してVVVFインバーター制御の採用に至ったかといえば、やはり交流誘導電動機を使用することによる、メンテナンスフリーの魅力には勝てなかったということだと思います。チョッパ制御もエネルギー効率という意味では決して悪くはないのですが、直流電動機を使用する点で、従来の技術の延長線上にしかなく、主電動機の保守の必要という呪縛からは逃れられませんでした。VVVFインバーター制御は、その呪縛を解き放った制御方式だったわけです。
それと、南北線用の9000系がこの制御方式を採用して世に出ていますが、その理由は南北線には後発路線の悲哀として、既存の地下構造物を避けながら進むため急勾配が多いことで、VVVFインバーター制御の方が粘着特性が優れていて、こちらが急勾配のある路線に有利であるとされたことでした。そして9000系の成功によって、VVVFインバーター制御が地下鉄に適した制御方式であるとされ、このために他形式にも採用されるようになったと思われます。

このグループは、以前の第25編成までのグループと比べると、内装には変化はありませんが(第09編成の非バケットシートは例外として)、外観には顕著な差があります(したがって、今回は内装の写真は割愛します)。
それは、クーラーキセの形状と、車体側面上部のスピーカー穴がなくなったことです。

比較の対象として、第25編成以前の5扉車のサイドビューをまずご覧ください。


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クーラーの形状と車体側面上部の穴にご注目(以前の記事から転載)

クーラーキセはカクカクしていますよね。
また、窓の上に通風孔のような穴がありますが、これが車外スピーカーの穴です。

では、第28編成の5扉車のサイドビューをご覧いただきましょう。


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すっきり平滑

クーラーキセも丸みを帯びたものに変わっていますし、車外スピーカーの穴もありませんよね。

角度を変えた写真でご覧ください。


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平滑なサイドビューがわかる(以前の記事から転載)

では、車体側面から姿を消した車外スピーカーは、いったいどこへ行ったのか?

答えはこちら↓


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クーラーキセの端にある縦長の通風孔のようなのがそうです

なんと、クーラーキセと一体化されていたんですね。それで車体側面が平滑化されたわけです。

前述のとおり、このグループの増備によって、03系の5扉車組み込み編成は20編成となります。その後の第29編成以降は、最終増備車の第42編成に至るまで、全車3扉に戻されています。これは、座席数が減少し閑散時にはサービスダウンになってしまうことと、ラッシュに必要な編成数を満たしたことと、2つの理由があります。

この「03系大解剖リターンズ」、最後に第29編成以降の最後期型を取り上げて終了したいと思います。

◇「03系大解剖リターンズ」の過去の記事
№2256.その1 第1編成の特徴 
№2265.その2 最初の「5DOORS」・第9編成 
№2338.その3 北千住方先頭車は2代目、VVVF改造も~第02編成 
№2389.その4 量産型5扉車・第14編成と第22編成