すっかりご無沙汰になっていました、「03系大解剖リターンズ」。今回は5扉車を取り上げます。

以前に取り上げた5扉車のパイオニア・第9編成は試作的要素が強かったのですが、その後は量産型といえる仕様で世に出ました。
5扉車は、第9編成も含めて4種に分類することができます。

1 試作型 第9編成
2 量産型Ⅰ 第10~15編成(このグループから客用扉を複層ガラスに変更、またこのグループまで行先表示が幕)
3 量産型Ⅱ 第16~25編成(このグループから行先表示をLEDに変更、車椅子スペース設置)
4 量産型Ⅲ 第26~28編成(このグループから制御装置をVVVFインバーターに変更、車外スピーカーをクーラーキセ内に搭載)

となっています。3のタイプから車椅子スペースを新造時から備えていますが、2のグループ以前の車両も、改造によって備えています。

まずは、幕式の行先表示を持つ第14編成。


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顔は42編成とも変わらない(中目黒で09/08撮影)

初期型からある、第2車両の連結面の開閉可能な窓↓


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この窓を備えているのは第15編成まで(南千住で12/15撮影)

現在はこの開閉窓も無用の長物となってしまい、しかも外側に転落防止用の外幌が取り付けられましたので、なおさら目立たなくなってしまっています。

こちらは行先表示がLEDになった第22編成↓


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行先・運行番号表示ともLEDに(菊名で09/05撮影)

現在の車両はフルカラーLEDを備えたものも多くなっていますが(営団・東京メトロでは、行先表示に3色LEDを使った最後の車両は系列では10000系、車両では9000系最終増備車)、03系のこのグループが製造されたのが平成3(1991)~4(1992)年ですから、まだLEDといえば3色LEDだった時期ですね。
第3のグループでは、第2車両の連結面はこのとおり↓


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固定窓になっている(南千住で12/15撮影)

このころから必要がなくなったので開閉窓をやめています。
ちなみに、なぜ開閉窓を装備していたかというと、ソケット式の装置を使用していたため(保安装置?)、その取り外しの便宜のため。平成4年ころからその装置を使わなくなったため、ほかの車と同じように車端部を固定窓にしたものです。

ところで、前回第9編成を取り上げたときに、5扉車に取り付けられた換気装置がはっきりわかる写真を載せていなかったかと思いますので、今回ご覧に入れます。

屋根の真ん中の四角い箱がクーラー、そのクーラーの両側にある箱のような物体がそうです。


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クーラー手前の四角い箱がそうです(南千住で12/15撮影)

5扉車の内装は、第9編成がバケットシートを採用していないことと単層ガラスの客用扉を採用していること、第16編成以降に車椅子スペースを装備したこと(それ以前の車も改造で装備)以外は差がありません。
まず、第10編成以降一貫して採用されている、複層ガラスの扉。


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これは第22編成のもの(以下同じ。以下すべて菊名で09/08撮影)


そして扉間の座席。バケットシートとなり、座面にはお尻を乗せる凹みがあります。


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写真でお分かりいただけるだろうか?

そして、バリアフリーの趨勢の中必需品となった車椅子スペース。


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車椅子スペースにも座席がある

03系は車端部でも奥行きがあることから、車椅子スペースをとってもなお、2人分の座席を設けていますが、これが車端部3人がけの10000系などだと、ここは完全な無座席スペースになります。
余談ですが、同じ5扉車の東武の20050系は03系5扉車と座席配置がほとんど同じであるものの、この車椅子スペースだけは異なっているのです。20050系は、車椅子スペースは完全な無座席。よって座席定員が03系5扉車よりもさらに4人(2人×2箇所)少なくなるという鬼畜な仕様なんですよね。

03系は、冒頭に挙げた「量産型Ⅱ」、つまり第25編成までがチョッパ制御で落成しました。その後の第26編成からは制御装置が変更され、さらにその後の第29編成からは再び全車3扉に戻されることになります。
私としては、早いところ「VVVFでありながら5扉車」を取り上げたいんですけどね。しかし、3編成しかないので、いかんせん遭遇率がorz

◇「03系大解剖リターンズ」の過去の記事
№2256.その1 第1編成の特徴  
№2265.その2 最初の「5DOORS」・第9編成 
№2338.その3 北千住方先頭車は2代目、VVVF改造も~第02編成