1月下旬特選映画【3】★映画のMIKATA「ザ・ウォーク」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。










まず初めに前回と同様に、DVD特選映画「障害者と映画」のテーマで見た下記作品4本を取り上げます。その内に「障害者と映画」論をまとめることに向かって、徐々に少しずつ鑑賞しています。取り敢えず、いつものように簡単な紹介とコメントを載せました。最終的にこのテーマは、ヒトラーの障害者虐殺「T4」作戦を言及しなくてはならないでしょうーね…!!!先日、ETV特集再放送の「障害者虐殺70年目の真実」は、いままで闇に包まれ沈黙が守られていた真実、ハダマー精神病院その他で20万人以上の障害者がユダヤ人殺戮以前にガス室で殺されたいた真実をドキュメントしていました。「最終的医学処置」か…ウハァ、大変衝撃的な番組でした…。


➀子供の頃よりIQが少し劣り、足にギブスをはめた知的障害者だが、足の速さと耐久力と純粋で誠実な人柄の主人公フォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)が、たまたまバス停の隣のベンチに座る待ち合い人に、問わず語りに自分自身の人生と数奇な体験を話す、一睡の夢のような回顧譚の映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』 (1994年ロバート・ゼメキス 監督)です。「フォレスト・ガンプ」の「ガンプ」(gump)は、アラバマ方言で「うすのろ」「間抜け」の意味の様です。ただ、彼の人生は「ガンプ」である以上に、本当に数奇でした。いじめっ子から逃げている習性から、逃げ足は誰よりも早くなり、その俊足を買われてアラバマ大学では、フットボールチームで活躍する…、大学卒業後、アメリカ陸軍に入隊、ベトナム戦争で生き残り、彼の人生を運命づけるエビ漁師のバッバやダン中尉と知り合う…、軍隊生活は戦地ではなく、卓球全米チームに入り中國で活躍するー、しかも、戦友を救った勇敢な行為に対し栄誉勲章を送られる…、除隊後、バッバの故郷でエビ漁の会社「バッバ・ガンプ・シュリンプ」を設立…、突然衝動的に、ジェニーからプレゼントされたランニングシューズを履いてアメリカ横断を繰り返すー、彼のその姿が、「平和を願って走る男」とアメリカ中の話題になり…そしてついにジェニーと再会して結婚する。ガンプの名セリフがバス停の隣人に語られる、«人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない≫と。ベトナム戦争を体験したアメリカらしい映画、荒廃したアメリカの魂に希望を与える、流石にロバート・ゼメキス 監督ならではの映画ではないでしょうかーね。


②兄の身代りでひき逃げ犯で服役したした前科者のジョンドゥは出所後、被害者の家族に謝罪に行き、そこで重度脳性麻痺のコンジュと出会い、交通事故の加害者と脳性麻痺の障害者の奇妙な絆と触れ合いを描いた韓国映画『オアシス』 (2002年イ・チャンドン監督)でした。 脳性麻痺特有のチック症状と仕草を美しく可愛いーと、褒めて車いすで連れまわすジョンドゥの常軌を逸した行動は、鑑賞しているとに不思議な感覚に襲われますー。これは監督独特の表現なのか、韓国人特有の「変り者の姿」なのかなー?


③野戦病院のベッドで、顔も体も白いシーツに覆われて静かに横たわっている負傷した軍人が主人公です。第一次大戦の中、彼はほとんどの器官を失う大怪我を負い、脳さえも損傷してここに運ばれてきた…。暗闇の中で医者も匙を投げた再起不能の負傷兵ジョーは元気なころを回想する。釣り好きだった父と過ごした日々や、出征前夜に恋人と交わした愛の営みなどを。やがて一人の看護婦がジョーの胸に指で書いたアルファベットの文字に喜び、自分に意識があり正常であることを外界に伝えるのだが…。


ジョニーは戦場へ行った』 (1971年ダルトン・トランボ監督)は、恋人カリーンに別れを告げて恋人が止めるのを振り切って第一次大戦の兵士に志願し、塹壕の中でドイツの放った砲弾の直撃に被爆し、脳の機能を失って肉体の塊として野戦病院のベッドで横たわり、暗やみの意識の中で回想する戦争負傷兵ジョーの映画です。原作は第二次世界大戦勃発の1939年にダルトン・トランボによって発表されたが、アメリカ政府によって「反政府文学」と弾圧されて、1945年に発禁処分となった。しかし、ベトナム戦争最中の1971年、再びトランボ自身が脚本・監督して映画化された有名な作品です。トランボは、アメリカ議会の「赤狩り」の最初の標的とされるハリウッド映画界の「ハリウッド・テン」の中に数えられる著名人であり、時代を超えた反戦映画の名作です。流石に見ていてひき込まれますーね!


④妻と娘が家出するという家庭内の不和を抱えたサラリーマンのアリーは、イライラと車を飛ばしているときに、養護施設を脱走したダウン症の青年ジョルジュの犬を撥ねてしまいう。死んだ母親の幻想を追いかけるジョルジュを送り届けるために車に同乗させたが、母の亡くなった実家、最早結婚して夫と子供を抱えた姉の自宅を放浪することになる発達障害者が主人公の映画『八日目 LE HUITIEME JOUR』 (1996年ジャコ・ヴァン・ドルマル監督)でした。


さて、漸く1月下旬の特選映画をアップロードできました。今月はアップが遅れました。映画を自由に見る時間が減り、仕事で拘束される時間が増えたためと、ここ数日風邪を抉らせたたためです。

今回3本を映画館で観賞、今月1月は通算で11本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、ゼメキス監督の『ザ・ウォーク』でした。サーカスの綱渡り「ワイヤーウォーカ」という«マージナルマン≫を主人公に、人間の可能性を表現する、流石にロバート・ゼメキですーね。



1

メルビルの原作「白鯨」が老朽の捕鯨船ピークォッド号に乗り込み、巨大なマッコウクジラに片足を喰いちぎられ、その白鯨を倒す執念に憑かれた復讐の狂

気に燃えたエイハブ船長が主人公であったが、1本目の海洋冒険映画『白鯨との闘』(ロン・ハワード監督)は、1850年、アメリカの新進作家メルヴィルが、捕鯨基地ナンタケットを出港した捕鯨船エセックス号に乗り組み、巨大な白いマッコウクジラと戦った人々の最後の生き残りトマから壮絶な実話を聞き出すメルヴィルがどちらかというと主人公であった。


だからハーマン・メルビルの「白鯨」を原作にしているのではなくて、メルヴィルの「白鯨」の裏側にあった生存の秘密、妻にも真実を話せなかった人肉を食べて生き延びた船員たちの生存の真実に迫るナサニエル・フィルブリックのノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描かれた海洋映画でした。


「白鯨」が人間を押しつぶす巨大な自然の驚異だとするならば、クジラに食いちぎられた片足の「エイハブ船長」と、それを銛で仕留めようとするエイハブの執念は、人間のあくなき自然征服欲だ…。ならば、「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」はメルビルの原作「白鯨」のテーマからはるかに遠く離れてしまっているといえます。最早、「白鯨」はロン・ハワードの白鯨なのだろうーね。


2

1974年にワールド・トレード・センターでの空中綱渡りに挑戦した、フランス人大道芸人フィリップ・プティの原作を、偶然「The Man Who Walked Between the Towers」という絵本を読んだロバート・ゼメキス監督が映画した『ザ・ウォーク』(脚本:ロバート・ゼメキス&クリストファー・ブラウン)でした。


2本目は、2001年9月11日の9/11の同時多発テロによって崩壊して「グラウンド・ゼロ」の超高層のトウィンタワーの間に張られたワイヤの間を一歩一歩渡る曲芸師フィリップ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の危険な 綱渡りの冒険を描いた作品です。


ロックフェラー一族の掲げる理想「World Peace through Trade」貿易を通じて世界平和を実現するという資本主義と富の象徴であったワールド・トレード・センターは、アメリカの富によって蹂躙された民族にとっては、「憎悪」と悪の象徴であるかもしれないが、ロバート・ゼメキス監督は、それをバランスを崩して一歩間違えれば地上411メートルから落下して命を失う若者の冒険と可能性の夢とロマンスを実現する象徴に変えてしまった…と言えます。


3

3本目は、1986年のテレビドラマ第1作、劇場版第7作のシリーズで、2005年の前作「まだまだあぶない刑事」以来およそ10年ぶりに製作された、ダンディー鷹山ことタカ(舘ひろし)と、セクシー大下ことユージ(柴田恭兵)の刑事コンビが5日後に定年を控えて、縄張りを広げる凶悪な中南米マフィアと対決するドンパチ殴り合いの刑事アクション映画『さらば あぶない刑事』(村川透監督)でした。


今更「あぶない刑事」を見て、心躍る人は少ないだろうー。そのくらい時代錯誤の古さを感じました。まあ、でも昨今、ニヤツイタ二枚目や饒舌な三枚目が活躍する甘ったるい推理だけの刑事ものが幅を利かせ、殴り合いもアクションもない刑事ものを嘆いて、辛口の刑事ドラマを求めているマニアならば、「あぶない刑事」に一服の清涼剤を感じるかもしれません…。ただ、どうしてヒロイックなアクションものが好まれるのだろうかーというわたくしの疑問は依然まだ残りますーね。




尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


(ご案内)下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第6章連載№8までを掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!http://blog.goo.ne.jp/sasuganogyosuigyatei