1月中旬特選映画【2】★映画のMIKATA「はなちゃんのみそ汁」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。





まず初めに前回に続けて、DVD特選映画「障害者と映画」のテーマで見た作品3本を取り上げます。取りあえず、簡単な紹介とコメントを載せました。「障害者の映画」は次々と新作が公開され、過去の作品も未だ鑑賞していないDVDもあり、その数は夥しいです。この映画ブログでコメントし、掲載した新作も想像以上にたくさんありました…。ざっと列記すると、『ツリーの国』『エール』『抱きしめたい -真実の物語-』『最強の二人』『チョコレートドーナッツ』『博士と彼女のセオリー』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『マンゴーと赤い車椅子』等々などがありました。このテーマを完結するためには、さらにもう少し時間がかかりそうですーね。詳細なコメントとブックレビューは後日に回します。


➀有望な新人ボクサーとして期待された芦原太一は、オートバイ事故で下半身麻痺、車いす生活を強いられる境遇に生きる気力を失う「AIKI 」(2002年天願大介監督)でした。そんな時、神社の境内で行われた古武術の奉納演武で合気柔術を見た太一は、武術に開眼し、サラリーマン師範の平石に入門する。この作品もスポーツ系障害者映画です。が私も、大東流の武田惣角や合気道の創始者・植芝盛平に関心を持ちました。

②盲目のドイツ人教師サブリエ・テンバーケンは、盲人として初のエベレスト登頂を成し遂げたアメリカ人登山家エリック・ヴァイエンマイヤーにサポートを依頼。彼女の盲学校の生徒たちと共にエベレスト登頂を目指すドキュメンタリー映画「ブラインドサイト ~小さな登山者たち~」 (200年ルーシー・ウォーカー監督)でした。古くからの迷信で盲人への差別が根強いチベット社会で、障害者の子どもたちへ生きる自信を与えるエベレスト登頂へ挑戦するドキュメント映画は、チョット異色の作品でした。日本人監督にはできない傑作だな…。

③山田洋次監督の「学校」シリーズは学校を舞台に第4弾まで制作されています。昼間の公教育にとって学校とは何か?そもそも人が人にものを教える教育とは何か?教師と言う職業とは何か?そこに教師を管理する管理体制が必要か?…。人間にとって学校と教育とは何か?を深く考えさせる、いずれも秀作でした…。ただ、山田洋次監督は、あと2本、塾を舞台とするシリーズ第5弾と、公教育の管理体制と過酷なサービス残業とモンスターペアレントの重圧に、学校に絶望して脱落する若者を主人公にする第6弾を製作する必要があるのではないかーと、元塾の教師の私としては要望したいですー。学校は今、新しい社会的舞台と学校の問題が噴出していますーね!


学校」(1993年) シリーズ第1作で夜間中学を舞台に教師・黒井を主人公にした作品。「学校Ⅲ」(1998年) シリーズ第3作では、 不況で会社をリストラされ、再就職のために職業訓練校へ通う紗和子を主人公にした作品。「学校IV」(2000年) シリーズ第4作は、不登校の中学3年生の川島大介を主人公に、屋久島の縄文杉を目指してヒッチハイクをする作品。そして、「学校II」 (1996年山田洋次監督)では、 北海道の高等養護学校を舞台に、青山竜平役に西田敏夫が演じる作品で、西田以外は務まらない作品です。


さて、1月中旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月2016年1月は通算で8本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『はなちゃんのみそ汁』でした。今回は「人生の約束」、「の・ようなもの のようなもの」など、邦画も力作が多かったです。私の心を震わせたのは、阿久根知昭監督でした。この監督の人情ものは、山田洋次監督以上に日本的「家族」のペーソスを描くのが上手ですーね。家族の持つ独特の泣き笑いのツボを心得ていますーね。


1
1本目は、富山県射水市の古くから続く「新湊曳山まつり」を舞台にして、大手IT企業のCEO中原祐馬(竹野内豊)の携帯に掛かる、今は袂を分けたが嘗ては共同経営者であった親友・航平からの無言電話に懸念を覚え、突然航平の帰郷先・富山県新湊へ車を飛ばす所から『人生の約束』(石橋冠 監督。吉本昌弘脚本)が始まった。



西町から四十物町へ曳山を呼び戻してくれーという親友が死の直前まで切望していた新湊曳山まつりをたった一枚のネットへアップした手紙が、射水市の祭りのエキサイトに火をつけた・・・。ただねー、それを「人生の約束」というのは、少し大仰すぎないですかーね。


2

結婚して幼い娘と夫(滝藤賢一)と共に幸せな結婚生活をしていた安武千恵(広末涼子)は、ある日、25歳で乳がんと診察される。一度は癌は消えたが再

発して、既に手遅れなほど全身に転移して余命わずかと診断される。2本目は、幼い娘にみそ汁作りを通し母としての愛情と娘と夫へ残す『はなちゃんのみ

そ汁』(阿久根知昭監督)でした。


阿久根知といえば『ペコロスの母に会いに行く』の脚本を手掛けた人です。これまで癌により余命短い命を描いた映画も、病妻ものも数々あったが、涙もろい私は、ホロリとするこの人情映画は大好きです…。久々に見た広末涼子の演技は、明るく清純な母のイメージにピッタリでした。夫との出会いと娘を授かって成長を見守る母親としての自分の人生を振り返って「ツイテタネー」と言い残せるのは、短い命でも幸せですね…。


3

3本目は、10歳のとき死んだ母の幽霊が娘のイーディス(ミア・ワシコウスカ)のベットに現れる幽霊映画『クリムゾン・ピーク』(ギレルモ・デル・トロ監督)でした。


でもオドロオドロしいゴーストが娘を脅かす怨念のこもった幽霊ではなく、母の愛情の憑依したゴーストは、「クリムゾン・ピークには気を付けろ・・・」と、幼い娘に謎の言葉と警告を残すものだった。それ以来、彼女は亡霊の存在を信じ、幽霊の小説まで書くようになる。イギリスから資金援助を実業家の父に頼みに来たトーマス(トム・ヒドルストン)と出会い、父親の謎めいた死を機に彼と結婚。赤粘土の影響で雪が赤くなるクリムゾン・ピークと呼ばれるトーマスの豪邸に、トーマスの姉ルシール(ジェシカ・チャステイン)と共に移り住むことになる…。


しかし、クリムゾン・ピークの城は、トーマスに騙され結婚した女たちの怨念の幽霊が彷徨ていた…。光と音で妙に観客を脅かすホラーではなくて、ストーリとしてもサスペンスの面白さもあり、大変な傑作なゴシック映画ですーね。


4

4本目は、『の・ようなもの のようなもの 』(杉山泰一 監督。堀口正樹脚本)でした。元々の森田芳光監督の、『の・ようなもの』(監督・脚本・企画の森田芳光。企画・製作の鈴木光)に対して、その時の森田組の俳優陣が全員集合で、2011年12月に亡くなった森田芳光時代に助監督であった杉山泰一 作品を盛り上げています。森田芳光の力が大きかったのだろうーね、主演の松山ケンイチは配役ミス、特に東北訛りが薄れ、放言の訥々とした面白さが消えた伊藤克信の演技は、ただぎこちなさだけが目立ち、新鮮味と表情がのっぺらとしていました。申し訳ないが駄作でした。


私は16日の公開初日に川崎のチネチッタで舞台挨拶があるというので駆けつけましたが、期待以下で面白いとは思いませんでした。落語家を主人公とする映画は、余程古典落語も含めて落語に精通していないと監督と脚本が難しいですーね。主演を演じる落語家もまた落語家の独特のパーソナリティーを演じきれないと、尚更に演技も難しいですーね。


嘗ての森田芳光監督のスタッフであった杉山泰一監督と、師匠・出船亭志ん米(尾藤イサオ)に住み込ん

でいる志ん田役を演じた主演の松山ケンイチと、志ん魚役の伊藤克信の演技がぎこちなかったです。歴代名人の落語テープを全て聴いただけの私が、こんな口はばたいことなどいえないのだけれどもーね、やはり、落語映画ナンバー1は、TOKIOの国分太一

が演じるた「しゃべれども しゃべれども」 (2007年、平山秀幸監督、佐藤多佳子の原作小説) ですーね。

ただ好演は、今、ダイゴと結婚して話題の渦中にいる、師匠の娘・夕美を演じた北川景子の雰囲気が、時代劇に出演していた頃のあの新人らしい堅い演技とはうって変わって、何となくソフトで余裕味のある演技だなーという印象がありました…。

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…



(ご案内)下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第6章連載№8までを掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!http://blog.goo.ne.jp/sasuganogyosuigyatei